身近な絶景 2022年11月26日

皇居東御苑の百人番所は植木も百人番所

皇居の東側に広がる東御苑は公園として一般開放されている。武道館や博物館のある北の丸公園と比べると地味な存在なので、都内に住んでいても足を踏み入れたことのない人も多いのではないだろうか。

そんな東御苑の中でもひときわ目立たない場所にその植木はひっそりと植えられている。


連載・身近な絶景
わざわざ言うほどでもないけどちょっと面白い景色、ついでのふりして人に見せたい景色を短く紹介する記事シリーズです。
記事一覧はこの記事の末にあります。

1992年東京生まれ。普段は商品についてくるオマケとかを考えている会社員。好きな食べ物はちくわです。最近子どもが生まれたので「人間ってすごい」と本気で感じています。(動画インタビュー)

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ご褒美感と奥ゆかしさによって成り立つ絶景

かくいう私もちゃんと東御苑に足を踏み入れたのはおそらく初めてである。江戸城の天守台は以前見たことがあったような気もするが、レッツエンジョイ東京で見ただけかもしれない。

今回はちゃんと見た。再び天守閣を作ろうという声もあるようだが蘇る日はくるのか。
他にも前天皇陛下の発案で交配したヒレナガニシキゴイがいたり、
夜中に絶対勝手に歩いてそうな禍々しくもカッコいい街灯があったり、
徳川家康時代には海が見えた坂があったりと案外見どころは多い。

はじめて訪れたこともあり公園内をじっくり見て回っていたら、面白いものを見つけた。

まずこちらが大手門からほど近い場所にある百人番所

百人番所とは江戸城警備のための検問所であり、幕府直轄の精鋭部隊、鉄砲百人組が有事に備えて控えていた詰所でもある。江戸城の中で数少ない江戸時代から現存する遺構だ。

この建物自体も価値のあるものだが、見てほしいのは百人番所の奥にある植木である。

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百人番所のかたちを模して剪定されている!
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二重の軒もしっかり表現されておりなかなかの再限度

特筆すべきはこの植木がある場所である。

百人番所は見てわかる通り横幅が50メートル以上もある横長の建物なので端から端までけっこう遠い。大手門からの道はこの植木とは反対側にあり、奥に進む道も同じ側にあるので、さらっと百人番所を見ただけではこの植木に気が付くことができない。実際ほとんどの人がこの植木の場所までは行かずにその先に進んでいた。

わざわざ50メートルの道のりを歩いて反対側まで来た人だけがこの植木に出会えるのだ。ちょっと遠回りしないとゲットできないRPGの宝箱のようだ。

とはいえ50メートルなので、別にすごく価値のあるものってわけではない。でもなんかちょっと良いものを見た気がする。まさにちょうどぴったり50メートル分のおもてなしである。

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選定した植木職人さん、ちゃんと気づいてますよ。

これが看板とかパンフレットで大々的に「百人番所型の植木あります!」と書かれていたら、正直ふーんとしか思えないだろう。

しかし公式な案内のどこにも記載がなく、現地にいって初めて気が付くそのご褒美感と主張しない奥ゆかしさによって「絶景」が成立している絶妙なスポットである。

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東御苑にきたら売店で50円で買えるこの地図もおすすめです。この地図を片手に散策するだけで軽く情緒が出ます。

 身近な絶景 

友達と歩いてるときに「ねえここの電柱珍しくない?」って見せるような、よく見るとおもしろい景色をとりあげます。あえて「絶景」と呼んでみました。

2022年のゴールデンウイークに集中的に集めて、そのあとは少しずつ追加しています。

 

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