身近な絶景 2022年11月6日

阪急西院駅・配管天国の記憶

街は変化しつづけている。何年にもわたって同じ場所を見ていると、その変化に気付くことができる。

たとえば、阪急・西院駅にある不自然な白い壁。その内側には、かつて大量の配管がむきだしになった「配管天国」があったことを私は知っている。

1983年徳島県生まれ。大阪在住。散歩が趣味の組込エンジニア。エアコンの配管や室外機のある風景など、普段着の街を見るのが好き。日常的すぎて誰も気にしないようなモノに気付いていきたい。(動画インタビュー)

前の記事:街区表示板が2つ並んでいると街の境界が見える

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西院駅の白い壁の内側に

京都市内にある阪急電鉄・西院駅。なんの変哲もない駅なんだけど、少しだけ気になるところがある。「何かを隠しているような壁」が、駅構内のところどころにあるのだ。

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ホームへ続く階段の脇、明らかに後付けされた、ついたてみたいな白い壁がある
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天井も、同じように白いパネル状のものが後付けされている

これを見ると、白い壁の内側の景色に思いを馳せてしまう。さかのぼること数年前……この駅は、配管天国だったのだ。

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ホームへと降りる階段。現在は白を基調とした明るい空間だけど
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5年前の同じ場所にタイムスリップすると、そこには無数の配管が! 雰囲気が全然違う

比べてみれば一目瞭然。あの白い壁の内側には、配管(配線もあると思うが、ここではまとめて配管と呼ぶ)があったのだ。

全体的に配管数が減って少しさっぱりしている。それでも減らし切れなかった配管を、白い壁で目隠ししているのだと思われた。

配管天国の記憶

当時は工事をしていたので、その影響があったのかもしれない。とにかく、配管の圧がすごかった。

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都市高速の衛星写真か? と思うような、流れるような配管の束
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立体的なので、角度を変えて見ればそのウネリ具合が堪能できた
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ちょっとしたジャンクション、もしくはミニ四駆のコースを彷彿とさせる
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構造物があるところでは回り込みが発生し、ギュッと締まった感じに。アナコンダ型と呼びたい
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ふと見上げれば、そこにも何重にも重なった配管たちが
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プラントの配管を見ても同じことを思うのだけど、その一本一本に意味があって、それぞれ機能をまっとうしていると考えると、果てしない気持ちになる。同時に、これを生みだした人間すげえ、ってなるよね
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壁の向こうにかつての絶景を見る

西院駅の白い壁の内側を、いまでは見ることができない。でも以前の光景を知っている者にとっては、その壁が記憶の扉を開くスイッチになりえる。「ああ、ここにはかつて大量の配管があったなあ」と、絶景の記憶が呼び覚まされるのだ。

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これは過去の景色で、
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こっちは現在の景色。明らかに、壁の向こうにかつての絶景が見える。見えるぞー
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隠し切れずに、一部の配管が露出している部分もあった。そのチラ見せ具合がじれったい

世の中にはいろんな絶景があるけれど、逆に見えないことで想像力が発揮されるタイプの絶景もあるのだ。西院駅へ行くたびに、白い壁をじっと見つめてしまっている。

 身近な絶景 

友達と歩いてるときに「ねえここの電柱珍しくない?」って見せるような、よく見るとおもしろい景色をとりあげます。あえて「絶景」と呼んでみました。

2022年のゴールデンウイークに集中的に集めて、そのあとは少しずつ追加しています。

 

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