土木を見る先生と歩く
前回に引き続き渋谷を一緒に歩いてくれる八馬智さんは千葉工業大学創造工学部デザイン科学科の先生であり、『日常の絶景』『ヨーロッパのドボクを見に行こう』などの著書がある都市の景観のスペシャリストだ。
八馬さんがふだん訪れないという渋谷の変容っぷりに一緒に驚きつつ歩いたのが前回の記事。土木と建築の違いを知り、新しくなった銀座線の入り口のすごさを教えてもらった。
今回はその続き。銀座線渋谷駅の上が歩けるように今通路を作ってる途中らしくて、新しいスポットになってるという。
渋谷駅の知られざる憩いスポット
林:ヒカリエは2013年にオープンしたんですけど、最近4階の工事がようやく完成になったと言ってました。
八馬:それまでは暫定だったんだ。渋谷は暫定の街なんだな。意外と渋谷おもしろいですね。単に食わず嫌いでいた自分を後悔してます。
八馬:ここが歩けるようになるんだ! なるほど。もうできてるんだ。これはすごい。
林:谷を埋めちゃってる感じなんですよね。宮益坂と道玄坂に挟まれて谷になっているのをこれが平らな道にして。
八馬:地面に直結させるつもりなんですね。
林:だからもうここの下の大勝軒とかおれたちがよく行く天狗も地下みたいになるんじゃないですか。
林:ビルの4階だからそこそこ高いですよ。
八馬:ここの風景面白いですね。
林:(鎌倉の)切通しみたいですね。
八馬:すごくかっこいいな。完全に裏ですもんね。
大北:なるほど、新しくできた道だからビルが全部裏なんだ!
林:あそこ喫煙所ですよね。ビルの裏側でタバコ吸っていた人もまさか再開発でこっち側に人が通るとは思ってなかったでしょうね。あのビルも見られると思ってなかったから荷物置いてますね。
八馬:あれなんだろう?
林:室外機のところから。でも電気のコードですよね。
八馬:電気関係ですかね。まさかこんなに見られるとは。
林:そうですよね。誰も見てないと思って。
八馬:ほんとに渓谷みたいな感じですね。しかも意図的なきらびやかさがない自然の渓谷に近い。全然自然じゃないけど。
林:こう見るとヒカリエって湯河原とかの温泉街の崖に建ってる旅館なみに斜めのところに建っているんですね。
八馬:こんな地形のところにあったんですね。渋谷は谷なだけにこんなに起伏があるんですね。
林:たぶん高速道路が一番平らなんじゃないですか。
八馬:うんうんうん。渋谷すごいな。
中路式歩道橋を見る
林:宮益坂を上りきったところでようやく平らになる。ここから渋谷を見るとグーッと下がっていく。
八馬:面白いな~。東京は地形の変化を味わいながら散歩する人が多いけど本当に楽しいんですね。
大北:谷でボコってなってるんですね。
八馬:こういうのは昔ながらの歩道橋ですね。脚細いですね、これ。さっき銀座線のところで見たやつは主構造の桁が通路の上にありましたよね。あれは下に路面がある下路式というタイプなんですよ。よくあるタイプは上路式、主構造が下にあって上に路面がある形です。
八馬:で、これは中路式。床版の波板が桁の中間にありますよね。なので中路式。桁が高欄(※欄干、人が落ちないための手すり)も一部兼ねているので、全体的に薄く見えるというメリットもあります。
林:デザインでそうしてるんですか?
八馬:歩道橋はできるだけ路面の高さを低くしたいというのがまずあります。全体的にコンパクトになるので安くなる。
大北:その理由でいくとだいたいの歩道橋は中路式になりそうですが。
八馬:中路式の歩道橋は多いですね。いわゆる標準設計という全国で一律同じものがたくさん作られたように思います。これが標準設計かどうかはわからないですけど。
大北:脚がまっすぐじゃないですね。
八馬:テーパーが付いてますよね(徐々に細くなったり太くなったり、角度がついている)。
大北:理由があるんですか?
八馬:構造的には脚が下に向かって細くなるほうが正解だと思います。剛結されてるラーメン構造(※前回の記事参照、脚が桁とガチッと固められている)なので隅角部、コーナーの部分が一番力がかかるんですね。ここは幅があるほうがいい。下はそんなに力がかからないから細くできるので理にかなっている。
大北:へえー、そうなんですね。上のほうが力は強くかかる。
八馬:そうそうそう。強くしないといけない。
林:下も上と同じく太くするといけないんですか?
八馬:いけなくはないかもしれないですけど,材料のコストが上がっちゃいますよね。
大北:土木的なものは本当にギリギリまで材料のコストを削るんですか。
八馬:かつてはそうでしたけど、すでに人件費のほうが高いので手がかからない方になってることが多い。いずれにしてもコストにはシビア。
林:これの評価は安全面とコスト。かっこいいとかはあまり関係がない。
八馬:発注者からかっこよくしようとはあまり言われないし、それをやるとお金がかかると思われちゃってるんですよ。上手くやればそんなことないんですけどね。それにかっこよくしたほうが地元にとってはいい影響があると思うんですけどね。
林:かっこいいは数値化できないですもんね。
八馬:そこを銀座線の橋脚は乗り越えていたので、もっと積極的に評価してもいいポイントなんじゃないかと思います。
林:この歩道橋、斜めのところに立っているから、向こう側の階段までがすごい長いですね。
八馬:確かに。すごい長い。この下をたぶん通さなきゃいけなかったんでしょうね。
林:ガソリンスタンドね。ここに歩道橋の形を変えさせるぐらいの力があったのかな。
八馬:歩道橋ができる前から営業してるということですね。
林:さっきの穴掘ってたところ、24階建てのすごいビルができるんだな。しかも2年後にはできちゃう。
八馬:建築は早いですね。土木はすごい時間がかかる印象があるけど。業界のスタンスが違うのかな。
林:土木も工事を請け負う会社はゼネコンだから同じなんですよね。
八馬:同じ会社ですが、部門が違うようです。
大北:土木は国が作ってくれっていうんですかね。
八馬:そうですね。国道だったら国だし、都道だったら都だし。まず都市計画を決めるわけですね。都市計画を決めてここには橋が必要だってなって、それを発注するわけですよね。
大北:それはゼネコンに?
八馬:建設コンサルタントって呼ばれる設計会社ですね。調査や設計は建設コンサルタントに発注されて、施工はゼネコンに発注されます。設計者と施工者は基本的に分離しています。設計施工を一括でやる事業もあるんですけど。
大北:コンサルのところが設計をして、次はどこにしようかっていうのは。
八馬:それは発注者たる役所が中心に考えます。
若者が待ち合わせスポットとして評価
八馬:やっぱりさっきの曲線効いてますね(※前回の記事で言及)
大北:コスト面だと直線がいいけど、人の動きを考えて曲線にしたんだろうという話でしたね。さすがに歩きやすい!
八馬:歩きやすいですね。やっぱり曲線にした成果は出てる気がします。気分良く歩けるというか。
林:ここけっこう若者の待ち合わせ場所になってます。
八馬:いい空間になってるということですね。
林:いい場所があるとみんな待ち合わせを始める。
八馬:若い人ってそこらへんの感度が高いですよね。若い人の待ち合わせ場所をトレースしていくというのはけっこう正しいと思います。
大北:わかりづらかったりしますからね。
林:ここ待ち合わせ場所になったのは成功ですね。
八馬:あ、川だ。ここも裏感がすごいですね。素敵素敵。室外機もいい感じで。
大北:新しい渋谷の道はだいたい裏側向いてるんですね。
八馬:ほんとですね。
林:でも、上等カレーはこれ付けましたね。
八馬:隠しましたね。見ちゃいけないものを。そこらへんとかたまらんですね。あの室外機はなかなかああいうふうには付けられない。
林:これ耐震補強ですか?
八馬:僕も気になっているんですけど、もしかして耐震補強をかっこよくやったのかな。
林:かっこいい耐震補強ですね。
八馬:あ、後付じゃなく新築の構造部材でこの格好なんですね。かっこいい。柱が斜めになってる。
林:下、すごい無理した作りになってる。高床式みたいですね。大丈夫なのこれ?
八馬:すごいですね。
大北:完全に浮いてるんだ。すごい。こっち側に柱はなさそうですか?
八馬:なさそうですね。外骨格で外側の骨格で支えているようです。
林:そんなことしなくてもいいのにと思うんだけど。
八馬:そこがロマンじゃないですか。
林:やっぱお金がある程度かけられたら、変わった形にしようかって気持ちは出てきますかね。
八馬:当然出てきますよね。
大北:土木はコストをぎりぎりまで削るからそこがないんだ、なるほど~
八馬:ここらへんになるとだいぶ渋谷感がなくなってきますね。
林:そうなんですよ。郊外っぽさがある。
八馬:ずいぶん古い橋ですね。味わい深い。今まではボルトや溶接で鋼同士を繋ぐって話をしてきたと思うんですけど、これはリベットなんです。古い技術、失われつつあるテクノロジー。
林:リベットって穴に通すんですか。
八馬:カチンカチンに焼いたリベット(溝のないネジのようなもの)を鋼板にあけた穴にぶっ刺して、先端を丸い型があるハンマーでガンガンガンって叩いて丸めるんですね。
言葉だけだとわかりづらいのでリベットを実際に打っている動画を参考に。
林:ものすごい大変じゃないですか?これだけの量を人の手で叩くって。
八馬:橋を作るのは大変。一個一個やるので。
大北:強度を出すためにこれだけの数を打ってるんだ。
八馬:この時代は大きな鋼板を作れなかったから、小さな鋼板をつなぎ合わせて大きな構造物として一体化するためにリベットを使って接合する。今はでっかいもの同士をボルトでつなぎ合わせたり溶接したりする形になっているんですけど。そう考えるとけっこう味わい深いですよ。
大北:それにしても多くないですか?
八馬:多いですよね。
林:あの板、あんな小ささしかできなかったんだ。これも棒が。紐が張ってありますね(※黒いボールペンの先みたいな部分)。
八馬:あれは落橋防止装置ですね。地震時にずれ落ちないように。後付ですね。
林:あれはボルトかな。黒いとこ、たしかに下に向いているところがボルトっぽいですね。
八馬:たぶん後からボルトで付けたんだと思います。
林:あとめちゃくちゃ上に書いてますね。旧山手。明治通り。って書いてある。
八馬:たぶん床板の健全さをチェックしていた時に書いたのでしょう。ふにゃふにゃした線がクラック。そのチェックをチョークで示しているんだと思います。
林:その時の位置関係がわかるように。
八馬:点検をしているんですね。実際にあそこらへんなんかは補修してありますよね。あれはたぶん欠損が大きかったんだと思います。
林:このアーチは丈夫にするためのアーチですか?
八馬:だと思いますね。板状でやってもいいんだけど、材料を少なくするために間を抜いてアーチにして強くしてるっていうことだと思います。
大北:アーチじゃなくふんだんに材料を使うと10年20年さらにもつとかあるんですか?
八馬:いろんなパラメーターが入ってくるから一概には言えないですね。丁寧に作れば長持ちはするし。でも構造的に無理してないほうが長持ちする。
林:これは擁壁(※土を留める壁)なんですかね。
八馬:これは古いものなんですよね。石垣。立派な石積みですね。落書きされちゃってるけど。
林:これは昔誰かが手で積んだんですか。
八馬:そうでしょうね。おそらくは。
大北:石でこれ作るの大変そうだなって思いますね。落書きしてる場合じゃない。
八馬:たぶん山手線を作る時にここの台地を削って土留として石積み擁壁を作った。
林:これなんですよ。これが残っちゃってる。
八馬:これ謎ですね。
八馬:あくまでも予想ですよ。たぶん順番としてはこのビルを建てたときに駐車場の入口のために道路に直角の擁壁を作ったんだと思います。そのときはまだ左側には石積みが連続してたんですよ、きっと。
林:あれとこれが繋がって。
八馬:次に左側のオーナーが自分のところもマンション作るからって石積みのところに駐車場の入口を作って、ちょうどコンクリートの擁壁が土地の所有区分的に中途半端な位置にあって、しかも頑丈に作っていたものだから、壊すにもお金がかかるので残しちゃったってことですかね。
林:高いところにフェンスがありますね
八馬:あのフェンスが境界でしょうね
大北:中は土が入ってるんですか?
八馬:たぶん中は土が入ってます。そこまで削る必要もないしっていうので、残っちゃったのかな。
林:電車から見るたびになんだろうって思ってました。
八馬:これは謎めいてますよね。
林:無いほうが良いんですよね。
八馬:もちろんないほうがすっきりしますが、なにかをつくる度に残したものがずるずると残って、建物が代替わりしてるからよけいに変なふうに見えていく。
大北:左側を後から作る時はそんなに土がないからそこまで斜めにしなくてもいいのか。こっち空いてるからスパーンってやっちゃおう。
八馬:全部撤去するには隣地と交渉しなくちゃいけないし、金払ってもらわないといけないからめんどくさいなって。ということだと思います。地下駐車場のためにへんなのが残っちゃったってことなんですね。
林:壊すのにもそこそこ何百万とかかかるんですよね。
八馬:おそらくかかりますよね。
大北:渋谷のどうでもいい遺産が。
林:偶然遺産が。
八馬:偶然遺産は多そうですね。渋谷は。つぎはぎで発展して、開発されていることが今日もよくわかったので、つぎはぎ感がいつまでも残ってる。
林:登れないところに塀があって仕切ってるのがおかしいですよね
八馬:全く無用の。トマソンみたいで面白い。渋谷の象徴みたいな感じがしてきました。更新し続けている。
林:たまに住宅地にこういうのあるじゃないですか。いつできるんだろう。
八馬:用地買収って本当に時間がかかるので買える時に買っておくみたいな。用地買収の難しさを示してますよね。都市計画決定がなされていずれここは道路になるということはここらへんのオーナーの方はわかってるんですよ。
林:代替わりしないと売ってくれないですよね。
八馬:売ってくれないというのが何十年も積み重なってる。郊外でもやたら広い道が急に一車線になってくねくね道になったり、道路の軸線上に家があったり、よくある話ですよね。でもわからなくはないですよね。先祖代々受け継いできた土地はそう簡単に手放せないと。日本ってどうしたって平地が少ないので、土地に対する執着は文化的にあるんだと思います。
大北:なるほど、オーストラリアの真ん中の方だったら好きに道路作ってくれって感じでしょうね。
林:ここにもいい壁がありました。横の壁が。謎の壁が。
八馬:ちょっとさっきよりもおしゃれ。
大北:おしゃれな擁壁(笑)
林:もっと細いんじゃないですか。謎感が際立ってる。
八馬:ほとんど意味をなさない水抜き穴が並んでる。もともと土地があったときには水抜き穴が必要だったんでしょうね。
林:土だった時はしみた水が。
八馬:水は悪さしやすいので浸透した水が染み出してくる水抜き穴を作っておくんですけど、いまさら必要ないですよね。
八馬:これは素晴らしい! めっちゃ不自然ですね。しかもいくつも残ってるんですね。
林:向こうにもありますね。
八馬:おもしろい! これもさっきの理屈と同じで、こっちが先だったんですね。ここは擁壁が残っていたんだけどこっちを開発したから、変な残り方した。
林:こっち側は縦にスパンと壁を作って。
大北:これも水抜きですか?
八馬:水抜きです。ルール的には作らないといけないということで作ってると思うんですけど。だけどそんなに。
林:どこに水が入るんですか。
八馬:こっち側なんて斜めのかどっこですもんね。ほとんどないんですよ。
林:工事した人も面白半分に。
八馬:飾りかもしれないです。
林:言われたから作るけどみたいな。
八馬:ルール通りにやったらこうなったみたいな。
林:向こう側が斜めになった壁がありますよ。
八馬:この壁は普通の壁ですけど、あの壁すらいわくつきの壁なんじゃないかって見えてきました。ここもなんとなく斜めになってるな。
林:この壁も不自然に高いですよね。
大北:これは土は入ってないんですか?
八馬:土はもう入ってないでしょうね。この薄さだったら。
八馬:これもしかしたら理屈としてはここ(左)にもまだ斜めのやつが残っていて、こっち(右)ができた時にわりと直角に近い壁を作って、さらに左側が今のビルを作る時にこの土をきった。
林:薄い三角の。
八馬:その土の部分を切って、ここだけが残った。三工程目が入ったんじゃないですか。
大北:すごい。進化系だ。
林:不自然に高いですもんね。
八馬:これはほんとにびっくり物件ですよね。きっとそうなんだろうな。
林:で、これはけっこう古いですね。
八馬:古いですね。ここが最初の開発地で、次にここをやったってことですかね。
林:これもしかして一番最初の壁ですかね。
八馬:切ったものの始まりかもしれません。たぶん。わからないけど。元の石垣は残ってないですもんね。
林:最初はここからあって、向こう全部繋がっていたんでしょうね。
八馬:でしょうね。
林:ここから通路ですね。
八馬:ほんとに開発しまくってるんだ。
八馬:うわー、超工事中の風景。
林:また錆びさせるやつありますね。
八馬:これも仮設なので再利用できるようにしてる。
林:ここすごいな。
大北:ここすごいですね。なんか映画の街みたいですね。
八馬:渋谷えげつないな。全く期せずして渋谷観光をしてしまった感じ。渋谷観光ですよ、僕にとっては。こんなに動いてるんだ。
大北:このポスターは映画のあれですね。
八馬:これ攻殻機動隊ですよね。ほんとに狙ってるんだ。サイバーパンクの街なんだ。ほんとに。
林:全然ここわけわからないですね。
八馬:いや~、ほんとに渋谷を堪能した感じです。僕にとってはアウェイの街だったんですけど、親近感が湧いてきました。
林:渋谷こんなにビル建てて、床面積がどんどん増えてテナント入るんですかね。
八馬:古いビルのところからどんどん撤退しちゃうみたなことが起きるんですかね。そして古いビルもどんどん更新してくみたいなことになっていくんでしょうかね。
林:薄い壁が残るといいですね。
八馬:どんどん薄い壁が生まれてくるといいですね。
林:隙間の。
八馬:これからますます隙間物件が増えていく。
大北:ビルの裏側見たり、薄いものを見たりとか、そういう時代の遺構みたいな。
八馬:街の履歴が現れたものを見ていくといいかもしれない。それが駅前でこんだけ複雑な工事をやってるから、何がなんだかよくわからなくなっちゃいますよね。
渋谷の工事を初めて楽しむ
渋谷の工事をよく言ってる人を見たことがない。迷子になるとか歩きにくいとか、私の知る渋谷でなくなったとか。今日の八馬さんの視点はとても新鮮でこうやって見ればよいのかという発見があった。
渋谷、ひいては東京の街の本質が「アップデートされる」ことであるなら、この細長い無意味な擁壁の遺構のように移変わること自体を見て楽しめばいいのだ。昨日とは違う今日はそれだけで少し贅沢であるのじゃないか。一方、その理論でいけば私たちはおもしれーおもしれーと言いながら地球をボロボロにしそうなのでやっぱなしで。