特集 2021年11月17日

「辞表を叩きつける」をとりあえずパスケースで実現

最終兵器(たぶん自分含めた全方位への)

このご時世、煩悶を抱えつつ会社に通い続ける人も大勢いよう。

こんな道具で、いつか来る日のため心の準備をしておくのも、もしかしたらアリかもしれない。

1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。(動画インタビュー)

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ある意味、ビジネスギア

私はといえば、人生のうち4社ほどで正社員だったことがあるけども、はて、退職届さえ出したかどうか。そのうち2社は向こうが勝手に潰れた。
だいたいの場合、まず上司に伝えて、それからじわじわと準備を整えていった形で、こんな風に、叩きつけるようにして届を出した記憶はないのだった。

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「辞表を叩きつける」を辞書で引くとこういう挿絵が出てくる(嘘)。

辞める理由には多かれ少なかれ、モヤモヤとした憤懣やら諦観やらがあったはずで、こうやって感情を叩きつけるようにして最後っ屁をかますことに多少の憧れはある、気がする。

そこで、パスケースですよ。辞表みたいなパスケースを作るのだ。毎朝の通勤時の改札で「辞表を叩きつける」ことになり、いつか来るX デーの予行練習もできるのではないかと、こう思うわけです。

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部品を100円ショップで調達。何のため買ったか全く覚えのない白い合皮が、うちに数メートルもあった。怖い。
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ごめんね、透明塩ビだけ欲しかったの。お借りするわ。

さてこれからこの白い合皮を、辞表の入った封筒型に縫製をしていくわけだが、そもそもこういう届はどんな封筒で出すものだろうか。

イメージとしては大きめの白い封筒だ。クラフト封筒ではない。ラブレター入ってそうな横型でもない、断じて縦型だ。そして間違っても、郵便番号を書く欄があってはならないと思われる。

しかし大きめにすると、パスケースとしては取り回しが悪い。

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どっちを参考にしようかしら、と考えている。イメージとしては左の方くらいの大きさを採用したいが…
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結局右の、スリムな方を採用。切り開いて型紙とする。
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塩ビと合皮を重ねたらミシンで縫いづらく、手縫いする。辞表パスケースを、手縫い…

さて、タイトルからすでに辞表辞表言っているが、調べたら「辞表」は「役員が職を辞するとき」と「公務員が辞めるとき」に使うんだそうだ。会社員なら「退職届」だった。ありゃ。

しかし慣用句的に「叩きつける」の上の句は「退職届」より断然「辞表」だと思うので、辞表で行くことにする。

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すべりにくい生地用のアタッチメント発見。写真ではわかりにくいが、ギザギザの足がぐいぐいと生地を送ってくれる。鉄道でいうとアプト式みたいなやつだな。

 

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文字を合皮にどうやって綺麗に転写するか。結局、紙に出力した文字を油性マーカーでゆっくりなぞって写したぞ。
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ほら写った。普段なら「やっちまった!」な行為だ。

単に文字をマーカーで書くのはパスケースとしては芸がないと思ったので、擬似的「印伝」(皮に漆で模様を盛る伝統細工)を施すことにする。こら、どこへ向かおうとしているんだ。

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油性マーカーで塗った文字の上から、ボンディックなどのUV接着剤をたらして…
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文字の領域を丁寧に埋める。地味にすごく楽しかったのでまたどこかでやりたい。
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そこに紫外線を照射すると、文字が盛り上がって印伝みたいになる!
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ネオ・匠の技。

 

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衝動と規範の狭間をぬって通勤

さて要るのか要らないのか全くわからないさまざまな工夫を盛り込んだ「辞表」パスケースがついに完成した!

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バーン!(成果物で毎回こういう写真を撮りたかった、夢が叶った)
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疑似印伝で、辞表の文字も鮮やかに。カバンからの出し入れに便利なスプリングホルダーもついて、使いやすく設計されております。
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裏を返せばもちろんSuicaが収まる。お?封が開いているが…
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何か文書が入っている。お守りの中身みたいな禁忌的雰囲気だが、出していいものかどうか?
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中には本物の退職届を忍ばせられる仕様になっております。
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この届を胸に、私は今日も…

お守りがわりに、いつかのために、退職届を忍ばせて通勤。つまりこのパスケースを本当に上司に叩きつけてもかまわない。その際は、スプリングホルダーは必ず外しておきたい。ビヨーンってなる。つまり戻ってくる。

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「(…今日こそは会社を辞めよう)」
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「(会社員自体私には向かなかった)」
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「(辞めてナレーター学校に行くのだ(実話))」
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「(朝、決定的に起きれない私にはそもそも通勤自体向いてないのだ)」
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「(向いて、ないのだーーーー!!)」ビッシュウウウウーーーーッッッ!!!(効果音)
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…そーっと(ピッ!)

そうです、自動改札にパスケースを叩きつけてはいけません。寸止め感覚で、軽くタッチしましょうね。 

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早回しで激オコ改札風景みたいだが、あくまでソフトタッチで通過しているぞ。

 

 

いつかのためにと叩きつけたいが、実際は寸止め。他、いろいろな意味でアンビバレントなパスケースのご提案となったが、いかがであろうか。くれぐれも社内でポトリと落とさないように。

他にも「果たし状」バージョンなどあれば、お侍さんにもXデーのため使っていただけると思う。

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いくぶんいっちゃった目で通過するとさらに効果的。何に?

 


まとめ

モノはすばらしくよくでき、日常使いにも耐えうるものと自負しているが、日常で使うと明らかにアブない感じのものができてしまった。

これくらいわけのわからないテンションで、日々いろいろな物事に立ち向かっていきたいと思った。

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辞表ぶらさげて会社をサボるイメージ写真。

 

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