特集 2025年5月27日

夜のクモを100匹見つけるまで歩き続けるウォーキングが楽しい

夜にウォーキングをしていると、地面にキラキラ輝くものがあることに気づいた。近づいて確認してみるとクモの目だった。どうやらヘッドライトの光を反射しているようだ。

一度知ってしまうとクモの光ばかりが気になってしまう。数メートルの間に2,3匹いるのだ。こうなったら一晩で100匹見つかるまで歩き続けたい。探そう。

1993年生まれ。京都市伏見区出身、宮崎県在住。天性の分からず屋で分かられず屋。ボードゲームと坂口安吾をこよなく愛している。

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夜のウォーキングはクモがやたらと見つかる

痩せるために歩き始めたらウォーキングにハマってしまい、余裕があるときには2時間くらい歩いている。街灯すら控えめな田舎道には金儲けのためにわたしの注意を奪う刺激的な広告が一切なく、とても気分がいい。

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あらわれる生き物が癒やし

広告のかわりに目に入ってくるのが生き物たちである。山間部すぎて人間はほとんど見ないが、いまはちょうど田んぼに水が張られている時期なのでカエルとよく出くわす。

また、冒頭でも触れたようにクモの光る目がやたらと見つかるのだ。ヘッドライトの明かりを反射して輝くクモの目は、キラッと光るタイプの隠しアイテムみたいで探すのが楽しい。狩猟・採集で生計を立てていた太古の血が騒ぐ。

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光った!(嬉)
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キラッと小さな点で光るクモの目のイメージ。
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光を反射するクモの目

クモを観察してみると、前方についている2つの目が光を反射しているようだ。数メートル離れたところからでもわかるほどの輝きで、クモが後ろを向いていてもピカピカ光るので見つけやすい。

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こちらはクモの形態模写です
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時間と距離を基準にするのはもう古い!クモの数だけ歩け!

それではキリのいいところでクモを100匹見つけるまで歩いてみよう。何分何キロ歩いたとかはもう古いですよ。令和のウォーキングはクモ100匹です。

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行きます!
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いました!
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近づくとむしろ目の光が分からなくて見つけづらい
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アップルウォッチで数を記録していく

これが、おもしろいのだ。まず、先に触れたように隠されたものを見つける楽しさがある。

光に近づいてみるとアスファルトの白い模様だったりしてガッカリすることもあるが、そうかと思えば立て続けに3匹見つかったりするギャンブル性もいい。

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近づいてみると地面のこういうものだったりして燃えてくる

続けていると技術が高まってより遠くのクモが見つけられるようになるのもいい。

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クモを見つける技術が超能力じみてきた
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ほらいたぁ!目が少し光っている

見つかるクモは巣を張らずに徘徊して獲物を捕らえるタイプが多く、逆にそれを捕らえるのは生き物として優位性を感じられていい。

そして、光を反射しながら動くクモの目は流れ星みたいできれいだ。地上の星とはクモのことだったのだ。だからクモを食べるツバメに地上の星の所在を聞いていたんですね。納得です。

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とりあえず50匹
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2時間かかった
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ハイになってきた
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クモ100匹ウォーキングはスクワットとしてきつい

クモを探し続けてかれこれ2時間歩いている。

長い時間歩くのは慣れているのだが、見つけたクモの写真を取るためにしゃがんでまた立ち上がるときの動作が足にきいてきた。単純にスクワットとしてきつい。クモ100匹ウォーキングはスクワット100回ウォーキングだった!

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あと家もガードレールもないような森に迷い込んでしんどい
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いかにホワイトな職場環境であるかをアピールするためだけの看板

下ばかり見て歩き続けて、気づけば家もなにもないような場所に来ていた。イノシシとおぼしき獣の気配がする。墓がある。

こういうときに恐怖を感じないコツは、わたしは神様に愛されているから不都合は何も起こらないと自信を持つことです。たいていそれで乗り切れます。

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カニもいた(ノーカウント)
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クモを100匹見つけるまでウォーキングすると3時間40分歩くことになる

歩きはじめて3時間を過ぎたころ疲れで意識がぼーっとしてきた。ワンデイコンタクトの目が霞む。眠い。それでもクモの光を捕らえる能力は冴えまくっている。気持ちよくなってきた。潜在能力の使い道よ!

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フルタイム労働のあとでクモを探して3時間歩くバイタリティを買ってください。朦朧。
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そんな中、これが数m先から見つかるんだから冴えまくっている(中央あたりにいる)
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これも冴えていた
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この距離で2匹いるのがわかる

長時間歩くことによる足の疲れはあるものの、ほかにない満足感があるからこのウォーキングは不思議だ。眠気と体力さえなんとかずっとやっていられる。もう人間の趣味はこれだけでいい。

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そんなこんなで最後の一匹
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やったぜ!!!

最後の一匹を見つけたとき、時刻を確認すると0時を回っていた。

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演技のいい数字だ!

かかった時間は3時間39分39秒。サンキューサンキューで縁起がいい。距離は8.88kmでこれまた縁起がいい。8の羅列は「パチパチパチ」という拍手の音を表すものとして動画サイトで使われることがあるのだ。ほら、神様から愛されているでしょう。楽しかった。

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それから4日経ちましたが疲れが全く取れていません助けてください
編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
クモの目が光るなんて知りませんでした。すごいですよね。こうなったら100匹見つける、という展開がやや唐突です(こうなったら?)。 が、「隠されたものを見つける楽しさ」「生き物として優位性」など楽しさをかみ砕いて説明しているので唐突は納得感に変わりました。
「恐怖を感じないコツは、わたしは神様に愛されているから不都合は何も起こらないと自信を持つことです。」
ここ、汎用性のある大事なことを書いている気がします。(林)

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