広告企画 2025年1月23日

公衆トイレの待ち行列に並び、順番の抜かしあいでバトルする新感覚ゲーム

メタバース上にあるフリーダムなコンテンツを紹介するコーナー。

ネットの黎明期にテキストサイトが流行ったように、いまメタバースには野放図かつ初期衝動にあふれた創作物がたくさんあるという。

このシリーズでは、有識者をナビゲーターに迎えて、そんな「メタバースの端っこ」を体験しに行きます。

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

前の記事:ハンドメイド「とまれ」~ 今週の「これすごくない?」

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ナビゲーター
田中 創一朗

メタバースサービス「Roblox」に詳しい有識者。GeekOut株式会社 代表取締役。デイリーポータルZとは長い付き合い。
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伊藤 はる香
GeekOut株式会社 PR担当。Robloxのアバターカスタマイズにハマり、けっこう課金している。
 
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体験する人
べつやくれい

イラストレーター。反射神経を使わなくていいゲームしかやりたくない(できない)。好きなゲームは「上海」と「がんばれ森川くん2号」と「シムアース」。
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筆者
石川 大樹

デイリーポータルZ編集。インディーゲームが好き。ネットのジャンクコンテンツが好き。
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左:田中さん、右:べつやくさん。ゲーム用のアカウントを本名で登録しようとしたら弾かれたという話をしているところ。(個人情報保護のため本名登録できなくなっている)
ちなみに林さんも同じことを言っていた。WEBサービスのIDを本名で作りがち夫妻。

 

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子供にめちゃくちゃ人気のメタバース

メタバースとは、ネット上のバーチャルな三次元空間のこと。数あるメタバースの中から、このシリーズではRobloxというサービスを紹介していく。

Robloxは「ゲーム版YouTube」とも言われる。ユーザー数が3億人くらいいて、メインのユーザー層は13歳前後。たくさんのエクスペリエンス(ゲームやチャット空間)があり、それらのうち大半はユーザーが作ったものだ。

今回はその中から、べつやくさんにピッタリのゲームを体験してもらう回、後編です。(前編はこちら

左がべつやくさんが作ってきたアバター(自キャラ)。ドーナッツにアヒル??
その後、田中さんのアドバイス(?)により、メタル好きのべつやくさんはギターを背負うことに
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ゲーム化する必要ある!?トイレ待ちシミュレーター

田中:今回はね、人生観変わるかもしれないです。Bathroom Line Simulator

ゲームを始めるといきなりトイレに並ばされている

田中:トイレ待ちの行列を体験するゲームです。

べつやく:ひたすら待つゲームってこと?

田中:そうですね。

石川:ゲームで体験する必要ありますかね!?

田中:必要あるかないかでいうとないと思いますけど(笑)、このゲームめちゃめちゃ流行ってます。

石川:なぜだ…。

 

現実のトイレと同じく、先頭の人がトイレに入るので少しずつ列は進んでいく。現実と違うところは、ボーっと並んでいても永遠にトイレには入れないところである。なぜなら…

後ろに人に交代させられるから

この交代がゲームのキモ。並んでいると少しずつお金がたまっていって(これも「なぜ?」だが)、 そのお金を使うと前の人と強制交代できるのだ。

金を払って前の人と交代したところ

田中:抜かしたり抜かされたりしながら、前に進んでいきます。

べつやく:なるほど…??

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デマを流して素早くトイレに

石川:一人ずつ抜かしていって、ちまちま前進するしかないんですか?

田中:もっと派手な技もあります。リアルマネーを課金すると「ファイヤーアラーム(火災警報)」が使えて、鳴らすとみんなが混乱して列がシャッフルされるんです。

べつやく:「火事だ!」ってデマを流してトイレに早く入ろうとするんだね。

田中:そうです。どさくさに紛れて。

伊藤:あ、いま誰か使いました!

使った人が前に出るのではなく、全員ランダムでシャッフルされるので平等にチャンスがある

 べつやく:5番だ!けっこう前に来たよ!

その後、列が進んで田中さん1番目、べつやくさん2番目まできた!
と思った瞬間、すごいサクサク抜かされる

べつやく:ああぁぁぁぁぁ……。

石川:漏らしてしまったかのような声が(笑)
実際、ぜんぜんトイレに入れなくて漏らすことはあるんですか?

田中:漏らすことはないみたいです。じゃあ何のために並ぶのかという哲学的な問いはありますが。

 

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2種類のマネーが飛び交うトイレ待ち行列

それからしばらくゲームを続けるも、前のほうに来るほど後ろからの強制交代が激しくなり、なかなか前に進めないべつやくさん。

べつやく:もうファイヤーアラーム使います。大人の財力で。

※繰り返しますがファイヤーアラームはリアルマネーです。

トイレに行くために火災報知機を鳴らした女の末路

べつやく:すごい後ろ行っちゃった!!

石川:最後尾(笑)

 

ファイヤーアラームに使うのはリアルマネーだが、いっぽう前の人と交代するのに使うお金はゲーム内マネー。こちらは並んでいると時間とともに溜まっていく。

前の人と交代する以外にもアップグレードに使うこともでき、お金がたまる効率が上がったりする。

 

田中:いま前の人を抜かすのにゲーム内マネーが16億ドル必要です。

べつやく:インフレしすぎだよ。これ、トイレに入るとどうなるんですか?

田中:トイレはトイレです。用を足す。

べつやく:ははははは。で、トイレが終わったらまた並ぶの?

田中:はい、もちろん。

石川:無間地獄!

 

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やきもきの再現度がすごい

このゲームは不思議なプレイ感がある。後ろの方に並んでいるときは抜かされてもワハハハって感じだが、前の方に出てくると、トイレに行きたいときと同じ、あの特有の切羽詰まった緊張感が沸き上がってくるのだ。

「入りたい、トイレに…」
弱々しく声をあげるべつやくさん

べつやく:また抜かされたぁ…。現実のトイレがこのシステムじゃなくてほんと良かったね。

田中:そうですね(笑)

べつやく:みんなちゃんと並ぶ人たちで本当に良かった。

田中:恵比寿の公衆トイレがこんなだったら最悪。

石川:すごいやきもきするゲームですよね、これ。大金ゲット!みたいな爽快感が一切ない。なんでみんなプレイしてるんだ…

 

今までこのシリーズでいろんなゲームを体験してきたが、今回ほど「あぁぁぁぁぁ…」という失意の声を高頻度で聞いたことはない。

 

べつやく:やってると課金してでもトイレ行きたい気持ちになるね。ハマる感じはわかるよ。

田中:でも、子供にとっては課金難度が高いですよね。「トイレに行きたいから課金したい」ってお母さんに言えないですよ。

べつやく:「そんなゲームやめなさい!」って。私がお母さんでも言うわ。

やきもきが募るにつれ、新技「ファイヤーアラーム返し」が考案された。ファイヤーアラームを鳴らされ後ろに行ったときに、即時で自分もファイヤーアラームを使うという技。一瞬の復讐心にためらいなく課金できるのが大人の財力である

これまでプレイしてきたゲームに増して、ほんとうに一切の生産性がない。しかしトイレに行きたいときのやきもき感を尿意の有無にかかわらずいつでも味わえるという意味では、秀逸なゲームともいえる。

数ある「なんとかシミュレーター」のうち、シミュレーションの再現度はかなり上位にあるといっても過言ではない。

バスルームパーティーが始まる!

一進一退を繰り返し、「プレイ初日のユーザーがトイレに入れるような甘いゲームではないのかもしれない…」というあきらめムードが漂い始めた頃のことだ。

他のプレーヤーがバスルームパーティーを始めた!

説明しよう。バスルームパーティーとは、そこそこまとまった額の課金をすることで、ゲームにいるユーザー全員がトイレに入れるという大盤振る舞いイベントなのである!

パーティーが始まった瞬間、すべてのプレーヤーが一気にトイレに詰め込まれるためアバターが重なって大変なことになる

べつやく:わははははははは

田中:(課金したプレーヤーに)ありがとう!!!

 

トイレに滞在できる時間は5分。その間に全力でトイレを満喫する必要がある。しかしこのトイレ、とても5分で満喫できるボリュームじゃないのだ。

なんたってプールもあるし
スポーツジムもある
なおパーティー中なのでアバターはずっと自動で踊っている
最奥には足場渡りゲームまで用意されている
そしてもちろん個室トイレも…

伊藤:アイススケートリンクもありますよ!

べつやく:このトイレすごくいいですね。

伊藤:今までさんざん焦らされてきただけに、カタルシスがありますよね。

石川:このパーティー開くの、リアルマネーでいくらかかるんですか?

田中:1600円。

石川:そこそこだ(笑)

田中:これモテますよ。好きな女の子と一緒にゲームやってて、サプライズでバスルームパーティー開催したら。

石川:そうかな!?

べつやく:できればもっと違う手段でモテたいよね。これでモテるのは最終手段だよ。

 

実はエポックメイキングな作品

このゲームの大ヒットにより、Roblox内では似たような「並ぶ系」ゲームが大量に登場したらしい。

石川:他に何に並ぶゲームかあるんですか?

田中:天国に並ぶやつとか。

石川:他人を蹴落として自分だけ天国に行くんだ。地獄に落ちそうだな。

田中:そのゲームは、ファイヤーアラームに相当するのが「サタン召喚」です。

べつやく:ははははは。でも天国に行くときはみんな心穏やかなんじゃないですか。トイレは早く入らないと人間の尊厳がかかってるから、こっちの方が辛いよ(笑)

編集部より見どころ
毎回変なゲームが出てくる特集ですが、今回はとびきり変なのが登場しました。ですがしっかり世界観に馴染んで、行列の進みに一喜一憂するべつやくさん。「課金してでもトイレに行きたい」とまで言ってます。(石川)

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