コーヒーにはいろいろな精製方法があるらしい
一年くらい前からコーヒーが好きになった。週末ごとに各地のコーヒー屋さんを巡っている。
お店にはいろんな種類のコーヒーが置いてあり、それぞれがどんなコーヒーなのかを説明するカードが置いてあったりする。
こんなやつ。ここに書かれている味の説明(ビルベリーとかブラックカラント)で例えられているフルーツがよく分からないので、買ってきて食べたりした。
→以前の記事:コーヒーの味の説明がわからない
じつはもう一つ分からないのが、豆の精製方法を示した「プロセス」という欄だ。

木から収穫したコーヒーの実を、どういう過程で豆にするかで味が変わるらしく、ナチュラル、ウォッシュトの他にもハニー、アナエロビックファーメンテーションなど色々な方法があるらしい。
じゃあたとえば「ウォッシュト」とは何なのか?と思って本などを調べると、こういうふうに書いてあったりする。

よくある現象だが、調べるとさらに分からない言葉が出てくる。ミューシレージってなんだ。図解によると、コーヒーの果実に含まれる粘液のことらしい。

こんなふうに、調べれば文字や図による資料は豊富にある。しかし、いまいち実感できないというか、よく分からないのだ。「水洗で果肉とミューシレージを除去」って具体的にどういうことなのか? そもそもコーヒーの果実ってどんなものなのか?

よく見るこれはコーヒーの果実から種子を取り出して焙煎したもので、果実の見た目とは全然違うようだ。
コーヒーの果実を一度見てみたい。そして実際にそこから「ミューシレージ」とやらを除去したり、いろんな精製方法を実際に試して実感してみたい、と思うようになった。
しかし前提として、コーヒーは基本的にエチオピア、ブラジルなどの暖かい国でしか栽培されていない。コーヒーの体験収穫みたいなことは日本ではできないのだ。

千葉県にコーヒー農園があるらしい
そんなある日、NHKでお昼のニュースを見ていると、千葉県八千代市のコーヒー農園から体験焙煎のようすをレポートしていた。コーヒー農園!
なんと、日本にもコーヒー農園があるのだ。急いで調べるとヤチ★フォルニア農園公国という名前の農園らしい。
コーヒーの木は温室で栽培されており、誰でもお金を払えばオーナーになる権利があるという。実ったコーヒーの実は、基本的には農園側で収穫するが、オーナーが収穫してもいいという。そしたらあとは好きなように精製したり焙煎したりできるということだ。
これしかないと思った。
八千代のコーヒー農園へ
オーナーは随時募集しているというのでさっそくメールで応募してみた。説明して契約するのでいつでも来てくださいとのこと。さっそく八千代に飛んだ。去年(2024年)の6月のことだ。

北総線の小室駅にやってきた。農園が駅から離れているので、そこからレンタサイクルで20分ほど漕いでいく。

ここだ。
農園主である柳沢さんは、八千代にあるこの農園(の運営会社)をヤチ★フォルニア農園公国と呼び、みずからをその国王と名乗っている。もちろんそれはそういうシャレである。
国王は、費用のことや契約内容などを細かく丁寧に教えてくれた。そして農園を案内してくれるという。ついに実物のコーヒーの木を見ることができる!
農園はいくつかあるそうで、まずはすぐそばにある温室を見せていただいた。
なかはこんなふうだった。一年を通してコーヒーの栽培に適した気温に調整されているという。
コーヒーはアカネ科コーヒーノキ属の植物で、ぼくたちがよく飲むのはアラビカという品種のものだ。ここではアラビカの子孫であるティピカという品種のコーヒーの木を育てている。
これは植えたばかりの苗だそうだ。コーヒー豆の形がそのままだ! コーヒー豆は種なんだなとよく分かる。人間に焙煎されずに生き延びた豆はちゃんと育つんだねえ。
こちらはまだ2年目の苗。ある程度大きくなると土に植え替える。5年ほどで成木になり、実をつけるという。

そしてこれがこれがぼくが契約したコーヒーの木だ。
高さは2メートル以上。ずいぶん大きいが、これでもまだ3年目だという。今年は少し実が収穫できるかもしれないが、実が成らない可能性ももちろんある。農作物は自然のものなので、そういうことを分かった上でオーナーになってくださいねと説明を受けている。

別の木にコーヒーの花が咲いていた。この花が落ちると、そこに小さな実がつく。

自分の木はすでに花が咲きおわったようで、数mmほどの蕾がいくつかついていた。これが少しづつ育っていくのだろう。
収穫できるとすると2025年(つまり今年)の春ごろですと説明を受けて、その日はホクホクで帰った。
