特集 2020年7月12日

「子供の道は猫道と一緒」通学路の視点から専門家と街を歩く

通学路から見ると街もちがって見える? 子供の視点を考えてみる

街を歩くのに違った視点がほしい。街を研究している専門家を探していたら友人から通学路を研究している人を紹介してもらった。

通学視点で見る街ってなんなんだろうか。子供はどういう風に街を見ているのだろう?

動画を作ったり明日のアーというコントの舞台をしたりもします。プープーテレビにも登場。2006年より参加。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

街を歩いてへぇと言わされよう

街の専門家と地元の人とぶらぶら街を歩いてどれだけへぇへぇ言わせられるか勝負する、対戦型街歩き企画『ストへぇ』という動画シリーズを撮っている。 

今回は柏の葉アーバンデザインセンターにて通学路を含めた子供にとっての街を研究する小山田裕彦さんと、中目黒が地元のよしだともふみさん(テクノ手芸部やデイリーポータルZのIoT三兄弟など)と中目黒を歩く。

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柏の葉アーバンデザインセンターで街づくりをしてる小山田裕彦さん。通学路に詳しい

街は西に広がるで1へぇ

中目黒駅前からスタートして、まずどこへ向かおうかというときに地理学科を卒業したという小山田さんから「街は西に広がってることが多いので私は知らない街でまず西を歩きます」という意外な知識で1へぇゲット。

一体なぜ? と聞くと「地球の自転?」と根拠はなさそうだ。根拠はなくてもおもしろい視点だ。

ちなみに東京が西側に発展していったのは関東大震災以降、被害が軽かったのが西側だったから。大阪だと大阪城は東寄りにあり梅田もなんばもその西側にある。大阪の西側は海や川に近くて水運がよさそうだからか。

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通学路の研究はヨーロッパで盛んなんだそうだ。盛んそう

寄り道をすれば勉強ができるようになる

小山田さんがいる柏の葉は今まさに街づくりの最中だそうで、そこで子供周りのことを色々やってるそう。

たとえば通学路。寄り道ができる通学路作りを考えている。作る側にとって寄り道は推奨、たとえばヨーロッパの通学路研究では寄り道することで学習効果を高める結果が出ているという。へぇ~。

「こういうとこ登らせたり?」とへぇの審判の林さん。「登らせたいんですけどね…」とさすがに適当な塀を登らせる街づくりは公にはできないようだ。

「でもこういう水道の蛇口をとっちゃってバジャーッとかやったでしょう?」私はやったことないし子供がやったら怒るかもしれない。でもその怒るのが大切なんだそうだ。

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こういうとこ登らせたり?「登らせたいんですけどね~」公としてなかなかOKとは言えなさそうだ。「水道の蛇口バシャーとか昔やったでしょう」それはやってない…
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怒られてほしい

ピンポンダッシュして怒られたら子供とそこの家の人は知り合いになる、と。知り合いが増えると寄り道ができる安全な場所が増える。

ツムラの工場が目黒にあり、そこで肉桂くれというと工場からぽんと投げてもらえたらしいですよ、と中目黒が地元のよしださん。それレアケースでしょうと思いながらも1へぇ。小学校の通学路作りでもそうした地域とのふれあいがあるのを目指しているという。

ちなみにツムラは1919年から目黒工場(中目黒かどうかは不明)があり1964年に静岡へと工場移転。

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マンホールだって興味を持っていく。渋谷のマンホールはハチ公の絵が隠れていたりする

子供は自慢したがる 

たとえば通学路にマンホールがあって、そこに犬の絵が隠れていたとする。渋谷の道玄坂にはそういうマンホールがある。子供がそれを知っていれば自慢のマンホールになる。

子供はそれぞれ秘密の道を持っていてそれを自慢するのだという。それがシビックプライド(まちづくりの用語で地域を愛する気持ちの意味)みたいなものになるそうだ。

へぇ~、たしかに自分だけが通りがちな道があった気がする。自慢のものがあると愛情が深まるのもわかる。ところで大人たちがサイゼリヤをハックしたのは子供時代のこういう感覚からかもしれない。

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目黒区役所めちゃくちゃでかい。ちなみに中目黒駅もこれも上目黒にあるらしい

中目黒駅は中目黒にない

しばらく歩くと目黒区役所総合庁舎が。大きい。ちなみにこの総合庁舎も中目黒駅も住所上は中目黒ではなく上目黒。中目黒駅は中目黒にないのだ。

そもそも中目黒には路面電車である玉電の電停があり、そこと乗り換えできるよという意味で東横線も中目黒駅になったそう。よしださん1へぇゲット。

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通学路において自然は必要「この名前全部知ってるやつが一人はいる」という
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こういうペイントが学校行事であったりする「ここおれが描いたんだよ、と通りがかったおばちゃんに言ったりできる」地域の人との交流を求めているようだ

自慢させて地域と交流させる

小学校などでこうした壁面の子供の絵をよく見る。これも描いた子供の自慢になるし、たとえばとおりがかったおばちゃんに「これぼくが描いた」と自慢できるから、と小山田さんは言う。

自慢できるというのは予想がつくが、そこから地域とふれあわせるというのはなるほど。

地域とふれあわせる。寄り道をしやすくさせる。子供に自慢させる。より地域愛が深まる。通学路研究ではそんなサイクルを目指しているっぽい。

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ヨーロッパでは車通学が多かったのでおもしろい通学路を開発したという
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今、金網は「足をつっこんで登るから」という理由で長方形の枠になってるのでこれは古いタイプ。ひしゃげてるのは登ったあと。めちゃくちゃ登られている。
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こういうところ子供絶対好きです、と。わかる。中途半端な高さめっちゃ好きだった
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名もなき場所が好き

とはいえ、子供が好きそうな場所をめぐる。めちゃくちゃ狭い家と家との隙間。中途半端な高さの塀の端。池への侵入を防ぐ金網。どれも名前のついてないなんでもない場所だ。 

金網は近年ひし形から長方形に置き換えられつつある(※ストへぇの三土さんの池尻大橋回参照)。子供がよじ登れなくするためだ。ここの金網はさんざんよじ登った後があるが。

「大人はそうしちゃうんですよね…」と子供視点で小山田さんは語る。でもそれも仕方ない。どうぞハックしてください、と言ったサイゼリヤに対して私たちはどうだろう。見事にやる気をなくしたではないか!

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この滑り止めの施工方法はその場でOリングを置いていって固まったら外していくそう

坂道の丸は輪っかを抜いていく

坂道の滑り止めの丸っこい形。これは真空コンクリート(リング)法というらしい。 コンクリートにボコボコスタンプみたいなの押してくんでしょ? と思いがちだが、これはコンクリート表面にOリングという輪っかを埋め込んだあと真空脱水して固め、最後にリングを棒みたいなもので引っ掛けて抜いていって完成だそう。

真空によりコンクリートは強度を増し、Oの字で滑り止めになる。坂道には真空コンクリート法だそうで難度の高い工法らしい。

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「これ土管の後ですよ」たしかにこういう地面の線には理由がある
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「絶対ここ通りますよ」なんかわからないけどやつらは絶対通る

子供の道は猫道だ

子供はこういう場所が好きだろう、ここを子供は通るにちがいない、という場所をめぐっていく。

小山田さんによると子供独自の道は猫道でもあるという。猫が通りそうな狭くてちょっとした険しさを持ってる道を子供は好きなのだ。

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子供が独自に行く道を調べていたら猫道と同じことが多いという。子供は猫説

そういえばそうだった、そういえばそうだった、と子供の頃を次々に思い出していく。子供の目線で歩くというのは過去の自分の対話でもある。

これらのことを詳しく説明した動画は20時にデイリーポータルZ内の動画コーナー・プープーテレビにて公開される。ゆるい散歩とあふれだす豆知識に癒やされよう。

 
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