特集 2020年8月24日

君はワッサーを知っているか

ワッサー?

長野のスーパーで「ワッサー」というものを見つけた。

ワッサー!

初めて聞く名前だけれど、どこか愛着があってなにより口に出して言いたくなる響きではないか。

ワッサー!

で、「ワッサー」とはなんなのか。

ワッサー初体験レポートです。

行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

前の記事:わさびが一番つーんとくる寿司ネタは、ホタテ

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

ワッサーを知っていますか?

先日、長野で「ワッサー」というものを見つけた。インパクトのある名前のわりにその響きに溺れることなく平熱で売られていたので、もしかしたら知らないのは自分だけかもしれないと不安になった。

そこで事前調査として「はげます会」でワッサーを知っていますか?知らない人はどんなものなのか検索せずに想像してみてください、という問いかけをさせてもらった。

結果は以下の通り

g.jpg

ワッサーを知っている(6名)
ワッサーを知らない(15名)

 

約4分の3が知らなかった。地球の人口が76億人なので、拡大解釈すると57億人が知らない計算になる。

ちなみにワッサーを知らないと答えた15名の人に、検索せずにワッサーがなんなのかを想像してもらった。

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ワッサーとはこういうものだと思うよ(ただし想像)

・福神漬けのような、カレーとかの横に置いて食べる、すっぱい系のたべもの。

・イチゴの様に地面から生えており、一本の茎に小さいじゃがいもの様な実が沢山ついている。生で食べると渋いが、火を通すと柔らかくなり甘みが出る。茎は固めだが、丸ごと天ぷらにすると旨い。
 
・ネジの下に敷く、ドーナツ状の薄い金属。
 
・「わさびクリームサンド」を お土産用に可愛くネーミングしたもの。
 
・シィクワァーサーの仲間の柑橘類。
 
・沖縄のサンゴ礁にいる派手な模様の魚。
 
・御神輿担いだ時に食べた。
 
・インド料理ですね!どろどろしてそうです。
 
・スパイスをまぶしたサバを揚げたものを、トマト、タマネギ、オリーブの実などと挟んだパン。
 
・沖縄でお墓参りの時みんなで食べる大皿料理のこと。
 
・ご飯の上にかける粘り気のあるもので、夏場に食べると精がつく。ワッサーがあるとごはんがワッサーと食べられる的な郷土料理。
 
・パン、肉、野菜、ソースを何層にも重ねて焼いた、ラザニアのパン版みたいなやつ。確か語源は英語の「was」。「だったもの」って意味で、元々は余ってしなしなになったホットドッグやハンバーガーにチーズやチリビーンズかけて焼いたやつだったとか。
 
・ラッパーどうしのあいさつでよく交わされる英語のフレーズ。「調子どう?」みたいな、ラフな意味合いの食べもの。
 
・イギリス海軍が保存食として船に積み込んでいたものが、第一次世界大戦中に弾薬や武器を積み込む為に嗜好品として王室に献上されてそこから贅沢品として広まったもの。手のひら大の缶詰にハーブとフルーツとサワークリームをフレッシュオイルでシーリングして封をしたもので、主に乾燥した硬いパンに塗って食べます。ドイツに伝わってからはセージの葉が混ざるのが主流になり、ポテトの付け合せで出てくるのが一般的な食べ方です。

イギリス海軍の保存食、ラッパー同士のあいさつ、ラザニアみたいなやつ、などなど。実に多様な「おれの考えるワッサー」が集まった。

御神輿担いだときに食べた、とか、想像なのに言い切ってるのもすごい。ドーナツ状の薄い金属、というのはたぶんワッサーではなくワッシャーである。全体を通してはげます会会員の天才ぶりがうかがえる。

ちなみにサンプルとして僕が送った想像図がこちら。

wassa.jpg
僕はすでに長野でワッサーの正体を知ってしまった後だったので、もし知らなかったらという前提で想像してみました。名前的に毛は必須。

 

はたしてこの中に正解はあるのか。ワッサーに毛は生えているのか。

正解を見てみよう。

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これがワッサーだ!

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ワッサー!
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ワッッサー!!

いま「桃?」というつぶやきが聞こえた気がした。わかる、僕も現場で(え?これ桃じゃないの)と思った。しかし近くに売られていた桃と比べると、ワッサーの方がいくぶん小降りで黄色みが強い。

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こっちが桃。
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こっちがワッサー。長野ではコンビニでもワッサーが売られていました。

買う時にレジで店員さんに聞いてみた。ワッサーって、これはいったいなんですか?

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「桃とネクタリンのかけ合わせみたいですよ。この辺の果物みたいですね」

なるほど、ワッサーとは桃とネクタリンのかけ合わせだった。

ネクタリンというのは毛のないつるっとした黄桃である。桃もネクタリンも美味しいので、かけあわせたらさぞや美味しいにちがいない。

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しかし疑問も残る。
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どうしてワッサーなのか

しかしなぜ名前をワッサーにしたのか。桃タリンとかネクタリ桃とかにした方が自然ではなかったか。確かにワッサー!の方が元気で気持ちがいいけれど、名前って普通そういう理由でつけないだろう。

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冷やしてから切ってみました。桃よりも水分が少なくて身が詰まっている感じ。果肉は黄色いです。

家に帰って調べて見ると、ワッサーを最初に作った長野の果樹園の社長の名前が「渡(わたる)」さんといって、子どものころにワッサーと呼ばれていたのがはじまりなんだとか。

社長のあだ名だった。

ということはだ、もし僕がその役だったらこの果物は「リーダー」と呼ばれていたかもしれないのだ(僕は子どもの頃、まさのり=まさのりだー=のりだー、を経てリーダーと呼ばれていた)。

子どもの頃のあだ名なんて大人になったら誰もおぼえていないだろうと油断しているあなた。こういうことがあるかもしれないから注意ですよ。

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ワッサーは桃よりもさくさくした歯ごたえがあって、それでいて甘みも酸味も濃くて最高に美味しかったです。
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ワッサー!

はじめて食べたワッサーが美味しかったので愛知に住む親にお中元として贈った。施設に入っている父はコロナ騒ぎいろいろたいへんな目にあったようだが、ワッサー!と言うだけで少し元気になれそうな気がするだろう。そういう意味でも、渡さんの昔のあだながワッサーでよかったなと思うのです。

 

この記事を書いた安藤昌教のオリジナルTシャツ販売中。

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