特集 2023年4月18日

専門家と街を歩くシリーズ、思い切ってお金の専門家を呼んでしまう

元外資系証券会社で『お金のむこうに人がいる』を書いた田内学さんと渋谷を歩きました

円安になって物価が上がり、さらに戦争によるエネルギー価格高騰もあってどんどん上がり、今なにが流行ってるかといえば「お金」じゃないだろうか。儲けようとか損したくないとかでなく「お金」そのものを知りたい。

思えば数々のニッチな分野の専門家と街を歩いてきたシリーズであるが、今回は私達の生活にダイレクトに関わってくる「お金」そのものの専門家を呼んでみることにした。

動画を作ったり明日のアーというコントの舞台をしたりもします。プープーテレビにも登場。2006年より参加。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

はじめてお金のことが分かった専門家を呼ぶ

いつか新聞とか読んで株とかやってお金のことがわかるんだろうなと思っていたが、全部ダメなまま40代に突入した。未だ赤ちゃんのままである。

そんな折、田内学さんの書いた『お金のむこうに人がいる』を読むとお金のことが分かった気がした。世の中には経済の入門書が多くあり専門家も星の数ほどいるのだが、田内さんならこの経済赤ちゃんたちを育てるまでいかなくてもあやすことができるのではないか。

ということで渋谷の街を歩きながら目についたものについて喋ってもらった。

ハチ公前から始まりました。観光客が増えてます。田内さん(右)に話を聞きます

お金は家で使える肩たたき券みたいなもの

大北:
外国の人がまた増えてきましたね

林:
僕、円安円高を直感的にわかってないんですけど、海外の方は地元で稼いだお金で来てくれるわけじゃないですか。彼らが日本でお金を遣うと「円が出てってる」ってことになるんですか。

田内:
ちょっと違いますね。仮にこんな状況を考えたら良いと思います。日本人が全部の円を持っていて、アメリカ人が全部のドルを持っていると。まずアメリカの人が日本に旅行に行こうと思った時には円を買わなきゃいけないですね。その時、ドルと円は交換されます。そのアメリカの人が使った円は、日本で使われて戻ってくるので、結局は、交換のときに渡されたドルが日本の中に残り続けます。

大北:
インバウンドの人がお金を使うと「ドルが日本に残る」。

田内:
それは将来、日本の人たちが外国の商品が欲しいなあとか外国の人に働いて欲しいなって時に使えます。お互いの肩たたき券みたいなことです。

林さんの家で使える肩たたき券があって、僕んとの田内家肩たたき券と交換するとします。僕の家で田内券は使うから、僕の家には林券がのこりますよね。

林:
僕はいつか使われたら肩を叩かなきゃいけない。

田内:
ある意味国同士の貯蓄みたいなことが起こるわけです。

林:
楽しく観光に来てるけど結果としては国同士の労働とか交換になってる。

田内:
そうそう。外国からの観光は大事なんです。それが起きないとまずいんです。去年って1年間で貿易赤字が20兆円になったんですよね。日本が外国のものをたくさん買い過ぎた。

大北:
えっ、すごい額ですね!

田内:
価格が上がってより多くお金を払わなきゃいけなくなっちゃったんで、赤字になったんですよ。何をたくさん外から買ってるかっていうと、毎年のことなんですけど大体3種類で、資源とエネルギーと食料。これ全部、日本の自給率が低いんですよね。こういったものを海外から買うには、まずドルを買わなきゃいけない。ところが全部値上がりしたんで、いつもよりも大量のドルを買わないといけなくなったんです。

初めは例えば1ドル100円とかで売ってくれる人がいるんだけれど、130円じゃないと売らないって人たちからも買わなきゃいけなくなってくる。で、どんどん円安になりましたというのが現状ですね。それを抑えるにはどうしたらいいかっていうと 日本円を買ってくれる人をたくさん見つけなきゃいけない。

昔だったら家電とか自動車とかたくさん売れてたんですけれど、今もうそういう時代じゃなくなってきて。

林:
車を買う代わりにインバウンドで色々買ってくれるのは日本としてはありがたい。

田内:
そうなんですよ。彼らは日本に来て円で払うんだけれど、その前にドルを払って円を買ってるんで。

インバウンドのお客さんが買い物をするのは円が出ていってる?
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林:
日本の食料が足りないっていう話はよく聞くんですけど、2、30年前は日本の効率の悪い畑で作るより買った方がいいって言われてましたけど、あれは円が強かったからそんなことを言ってられたんですか。

日本の効率が悪かっただけでは?

田内:
日本って賃金高いじゃないですか、それなら労働力がたくさんかかるような第一次産業は外から買って、それより付加価値の高いものを作って売っていこうよって言われていたんだと思います。実際、今輸入してるものは確かに海外の方が安い。でも小麦を輸入しているアメリカやカナダの賃金は日本より高いんです。日本はすでに賃金が安い国になってしまっている。日本の賃金が高かったから海外から買った方が良かったんじゃなくて、実際はそういう分野において農業にしても林業にしても日本の生産効率が悪かったんじゃないかと。

大北:
アメリカのめちゃくちゃ広い畑にでかいトラクターが走るみたいなやつですよね。

田内:
日本の農業の一人あたりの耕地面積って海外よりも全然狭くて、補助金とかで支えている。それ自体はいいんですけど、もっと大規模化して効率よく経営できるように投資を受け入れられる体制を作っていればよかったのかもしれない。

5兆円の予備費を使って小麦代とか電気代に使うって話があったじゃないですか。確かに安くなるのは嬉しいんだけれど飢餓で困ってるかっていうとそうではない。小麦は高くなってるけど米の価格は下がってるし、じゃあ小麦よりも米を多分食べた方がいい。その方が食料自給率上がるし。

小麦に使うお金って海外に流れていっちゃうんですよ。普通は小麦の値段が高くなったら、買い控えて作る方に回ろうとするわけですよ。だけどその価格を無理に補助金突っ込んで下げちゃうと、買い控えようって思わない。小麦をじゃんじゃん食べるとその分お金はどんどん外国に流れていく。どこにお金が流れるかを考えないといけないんですよね。

世の中にある物のもとは全部タダである

大北:
田内さんの本ですごくおもしろかったのは世の中についてるお金や価格って結局は労働力で、宝石でも鉄鉱石でも掘り出す労働力がいるからあの価格なんだという

林:
全部原価はタダってところがすごく面白くて、全部最初のところまで行き着けば元々転がってるものだって。このガラスもそうですよね。

田内:
材料費ってその会社の中では材料費だけれど、誰かから買ってるわけです。支払ってるお金って必ず人にしかいかなくて自然が受け取ってるわけじゃないので、突きつめていくと、山から掘ってくる鉄鉱石なんかのただで落ちているものになるんです。

林:
インドとか行くとご飯が安かったりする。例えば東京で食べたら、1000円ぐらいするものが300円とかで売ってるじゃないですか。材料費が元はタダってことを考えると人件費が安いから安いものが成り立っている?

田内:
その国で安いかどうかを感じるためには為替レートがあってそれで感じるわけですよね。その為替レートがどうやって決まるのかってところがまず大事で。

林:
僕はルピーを円に換算してお安いって言ってるからか

大北:
「この国、なんでも安いな~」と感じるときは為替レートによるところが大きいんですね

⏩ 私たちは4倍ものを買えるようになっている

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