特集 2021年1月5日

のぼりは世の中の変化に強い~街の印刷を専門家と見て歩く~

布の印刷の会社の人と街を歩きます

街を専門家とぶらぶら歩いてへぇへぇ言わされまくるシリーズ、今回はのぼりや布の印刷物を作っている堀江織物株式会社の堀江さんと武蔵小杉から新丸子を歩く。

前回を読んだ方はシルク印刷とインクジェット印刷の違いを見分けられるようになっただろうが、今回は化繊と綿の違いを実感できることだろう。
前編はこちら

2006年より参加。興味対象がユーモアにあり動画を作ったり明日のアーという舞台を作ったり。

前の記事:おしゃれな街に印刷物はない~街の印刷を専門家と見て歩く~

> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

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堀江賢司さん(写真右)は前職が広告代理店だったので街の掲示物全般に詳しい。デイリーポータルZ編集部林さん(写真左)と筆者の3人で街を歩きます

前回の記事『おしゃれな街に印刷物はない~街の印刷を専門家と見て歩く』ではのぼりだけにとどまらず、街の印刷物全般について話を聞いた。

そして私達はのぼりのシルク印刷とインクジェット印刷の違いを見分けられるようになり、印刷業界全体のあれこれまで膨大な知識を脳に投入され、蒙が啓かれたと記事自体も好評を博した。

今回も街の印刷豆知識を連発することになっていく。専門家の知識で街の風景が一変する…!!

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雨に濡れる板は何でできている?

林「これは何でできてるんですか? 」

堀江「パネルに、さっき窓に貼ってあったみたいなフイルムを貼ってあります。」

大北「紙ではないんですね。」

堀江「中に透けないシートが入っている大判印刷用のメディア(注:インクジェット用のフィルム)をパネルに貼って周囲を切って完成です。」

大北「利点はなんですか? 濡れても大丈夫とかですか?」

堀江「これは発泡パネルに貼っているので、ほんとは濡れちゃだめなやつです。だから反ってるんだと思います。ほんとはこういう看板は屋外だとアルポリック(アルミ樹脂複合板)という板に貼ると濡れても大丈夫です。」

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後に出てきたアルポリック。アルミ複合板。軽くて硬い

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林「ああいう法律事務所みたいな看板も誰かが作ってるんですよね?」

堀江「ビル側の人が作るんだと思います。」

大北「へぇ~、ビルの人が。」

林「印刷なんですか?」

堀江「全部印刷。」

林「で、貼ってるんだ、大変だな~」

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のぼりの右下がカーブしてある理由

堀江「のぼりだと下の角がほつれやすいので、こう(※右下がカーブしてカットしてある)するとほつれないんです。」

大北「へぇ~、そういう意味があるんだ。」

林「誰がやり始めたんですか?」

堀江「どこかがやり始めて一時期ブームになりました。街で見た担当の人が『うちもあれやりたい』って問い合わせが増える時期があるんです。いわゆる業界内に特化したブームですね。でも、ちゃんとまくれ上がらないし、ほつれないし。」

林「ヒートカットですか?」

堀江「昔はおばちゃんがベニヤ板で定規を作って手で切っていました。加工賃もそんなに高くないです。最近うちは大きいレーザーカッター入れたので、今レーザーカッターで切りますけど昔はすべて手作業でした。」

大北「レーザーかおばちゃんかの二択のカッターか~」

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細い道には既製品ののぼり

堀江「あそこらへんはのぼりとして売られている既製品じゃないですか。『こだわり焼き肉』とか。大通りから中に入っていくとそういうのぼりが多い。」

大北「なるほど、チェーン店でない専門店は既製品ののぼりを買ってくるんだ」

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堀江「あとね、中国マッサージとか、インドカレー屋ってどこもデザインが似てますよね。それはそういう会社があるんらしいですね。」

大北「あー、それ! インドカレー屋ってどこもAセットとか出し方同じだなと思って調べてたら元締めが西小山にあるらしいって聞いたことあります。」

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飲食店専門の木製サインの既製品もある

堀江「『せっせと支度中』は、飲食店向けの看板やのぼりを既製品で売ってる会社があります。あれはシルク印刷です。」

大北「へえ~『一生懸命営業中』もそうですか!」

堀江「木にやってるやつはだいたいそう。これは既製品です。」

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大北「この『やってます』もさっきと同じところなんですか?」

堀江「たぶんそうだと思います。他の人が参入するほど大きな市場じゃなさそうだから独占状態じゃないですかね。」

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何かやるとしたらのぼりが安い

林「けっこうのぼりって折りジワがあるな。」

堀江「出したてのはこうなりますね。コロナになってからのぼりつけるところ多いから。イベントは減ってるけど。」

林「飲食店界隈で。」

堀江「売り上げを伸ばすために何かしら宣伝をやらないといけないとなると、のぼりって安いので『表にのぼり立てとくか!』みたいな流れになります。安くてあれだけ目立つものってあまりないですよね。」

林「世の中に動きがあるとのぼりが増えるんだ。」

堀江「たとえば震災があったじゃないですか。あのあとは『がんばろう日本』のようなデザインののぼりばかりでした。今うちはテイクアウトとマスクばっかり。そういう意味でいうと、のぼりってなにかあったときなりの新しいデザインが出てくるのが特徴かもしれません。」

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堀江「この切り口は、インクジェットでヒートカット(※高熱の刃で生地を溶かしながらカットする)が弱くてほつれていますね。インクジェットは後から切るので、どうしてもほつれやすくなるときがあります。」

大北「メーカーによってほつれやすいとかありますか?」

堀江「布は縦糸と横糸で織ってあるので、ヒートカットだとほつれてしまうのは避けられないんですが…。ヒートカットの刃を鋭くすると切りやすくて切り口が綺麗になりますが、よりほつれやすくなります。なので、わざと刃を鈍くして熱を強くかけて切り口を熱で融かす。そうするとほつれにくくなります。この塩梅がむずかしいです。」

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ほぼ交通安全でしか使われない生地がある

林「これシルクだ。」

大北「だいぶわかってきた(笑)。」

堀江「うちで営業やれますよ。」

林「インクジェットってそんなにないんですね。」

堀江「わりと多いですよ。今は」

大北「どっちが安いんですか?」

堀江「大量に作れば絶対にシルクのほうが安い。」

堀江「これが蛍光ポンジっていう蛍光の黄色で染めた生地。交通安全でしか出てこない生地ですね。ニーズがここでしかない。でも蛍光色といっても夜になって光るわけではないんです。そのほかにも蛍光っぽくないけど黄色い『安全黄ポンジ』という専用生地もあります。」

大北「へぇ~、のぼりって目立ったら勝ちっぽいですけど、ここまで目立ったら交通安全くらいしか使わないんですね!」

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堀江「これターポリンです。」

林「よく沖縄で同窓会ってこういう横断幕でありますね。」

堀江「なんちゃら中学校同窓会って。あれ沖縄絶対ありますよね。武蔵新城でも見かけたことがあります。沖縄以外で初めて見た。あれすごいですよね。」

大北「あれ沖縄以外であるケースあるんだすごい…!」

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堀江「この看板は、店舗が入れ替わったときのために、この四角い枠内だけ貼り替えられるようにしてある。」

林「黒が凹んでますもんね。お店変わったら現場で貼らないといけないんじゃないですか。」

堀江「カッティングシートだから施工屋さんが来るんじゃないですか。カッティングシートのほうが耐候性はいいから。」

林「カッティングシートって、たとえば武蔵小杉の杉の字の『木と三』が離れたりしないんですか?」

堀江「リタックシート(カッティングシートなどを転写させるための弱粘着フィルム)というのがあるんです。カッティングシートを一個ずつめくって粘着面出してからその上にリタックシートを貼って位置を固定させる。それを現場でこすってリタックシートをはがすと粘着面のほうが強いから一度に全部貼れるんです。」

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昔なんとなくあったような看板

堀江「これ昔『捨て看板』といって。不織布みたいなやつで木の枠にホッチキスでガチャガチャ貼ったものが街の電信柱についていたと思います。お葬式のものなどを除いて、基本的には法律違反になるので今は衰退して違う形になって残っています。」

林「こういう形になった。」

堀江「形が。昔は柱にくくりつけて取り付けるあまり良くないバイトがあったらしいですが。」

大北「この形の看板、あった気がします。あれ違法だったのかよ~。」

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堀江「これも類似ステカン。違法のステカンがなくなっても、きちんとした場所につけたいというニーズはあります。昔は不織布にシルク印刷が多かったのですが、今は布自体がビニールなどの他の素材になってますね。」

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堀江「これはピンホールといって印刷が白く抜けてます。これが印刷クレームになったりします。こうなるのは印刷するときに汚れが入ったり、印刷の版に不良が起こると出ます。これを印刷途中で必ず見つけないといけません。」

大北「めちゃめちゃ細かいけど、場合によっては何千枚もこれってことですか~、悩ましいな~」

堀江「印刷不良のクレームの中には些細な、小さなものもありますね。もちろんなるべく綺麗なものを納品しなきゃと工場の人は頑張っているんですが、どうしても出てしまうときもあるのが悩ましいです」

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ポリエステルでなく綿のよさとは

林「ラーメン。」

堀江「これの生地は綿です。」

大北「綿を使うのはどういう理由なんですか。風合いがいい?」

堀江「化繊(ポリエステル)の感じってあるじゃないですか。神社ののぼりとかはまだ綿が多いです。神社だとインクジェットじゃなくてニス版って言って、色が抜けるような紙を貼って染めたりします。
のれんにしてもインクジェットでいい店もあれば、高級なお店になると本物の麻や綿でちゃんと染める店もある。これはそんなに高くないんですけど、格として綿のほうが上っていう人も多いです。」

林「こっちの赤い『ラーメン』のぼりは化繊ですね。」

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堀江「あと黄色いラーメンののぼりは元々黄色の生地に赤い顔料で印刷していますね。」

林「質感がある。赤のラーメンより黄色のラーメンのほうが美味しそうっていうのはありますよね。」

堀江「僕らもポリ(化繊)をやりながらも綿の質感がいいっていうのもわかります。ちゃんとした神社が化繊でペラペラののぼりを作るより、綿のほうがいいなって心の中ではちょっと思ってる(笑)。適材適所で使い分けが大切ですね。」

林「化繊でペラペラの神社で初詣。」

堀江「『100年の伝統』とか書いてあってもね。」

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事故のあとルールが変わる

堀江「証明写真のカーテンは防炎じゃないとだめなんです。他にもゲームセンターにあるようなプリクラのカーテンとかもそうです。」

林「火事になるってことか。」

堀江「ゲームセンターなど不特定多数の人が出入りする場所で、筐体などにつくカーテンは防炎じゃなきゃだめなんです。
布が『燃えグサ』になって火災が広がらないようにと決められていまして。昔大阪の量販店で客がライターで火をつけて中で燃えたり、飲食店の大漁旗で火災が広がったりして、消防署が店舗を厳しくチェックするようになりました。火災で命を守るために防炎協会は頑張ってるんですね。」

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堀江「和菓子屋さんは綿。のれんとかは昔ながらのちゃんとした染め方で。伝統感が。」

大北「たしかにこういうところののれんの感じありますね。」

堀江「綿のものはこいのぼりを作る会社がやってたり。」

林「いいものだなー。」

堀江「やっぱり格がある感じです。」

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のぼりに求められるデザイン

堀江「こういうのとかはソニーとかが配るんじゃないですか。宣伝がてら。」

林「さすがちょっとデザインが。」

堀江「シュッとしてる。」

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堀江「でも結局こういうほうがわかるんですよ。ゴシックだな、みたいな。情報量がないほうがいい。メガネとコンタクト以外ない。」

林「むしろデザインが面白いですね。」

堀江「目立つデザインってあるんですよね。揺れたらわからなくなるから。」

大北「へぇ~、揺れるっていうの独特なメディアですね!」

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堀江「このスタンドはゼビウスみたいな形で足が伸びるんです。倒れないように。ピンとこの辺まで出るので、そこにペグ打つと倒れない。高機能。」

大北「街角のゼビウス…!!」

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コンビニの印刷を見る

大北「コンビニも全国にあるから大口のお客さんですね。」

堀江「セブンイレブンは数多いのでシルク印刷ですね。シルク印刷で写真を4色で分解で印刷します。タレントは印刷の仕上がりがとてもきびしいので大変です。」

林「すごくきれいですね。」

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堀江「上手な会社です。あとこの取り付けの器具をセブン独自で作っている。布をピッてやって、右だけ巻き取れます。あそこにファミマありますけど、チェーン毎に違う付け方ですよ。 」

林「巻き取ってたるまないんだ。」

堀江「昔は布を後ろに回してクリップで止めたり手間がかかってました。店員さんがはしごを使ったり怪我をするのが一番いけないので、各社簡単に取り付ける方法を研究しています。」

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堀江「ファミマさんののぼりは高さ150cmで決めています。風太郎(※巻き上がり防止器具の代表的なもの)もついてますね。」

林「風太郎で布がねじれちゃって。あ、堀江さんがのぼりの風太郎の取り付け方を直して回ってますね。」

堀江「これ職業病なんですが、いろんな生地を触るんです(笑)。今は時節柄なるべく触らないようにしてます。これ写真分解(色分解)ですよ。シルク印刷。コンビニは数が多いし、デザインがちょっと変わってますね。」

大北「写真分解って高いんですか?」

堀江「色数が増えて印刷の位置合わせがとてもシビアなので高くなります。これだと写真のCMYK4色に加えて、このロゴは差し色なので、4色+特色1、2、3色と足されていきます。」

大北「写真もCMYKの4色で表現できるなら全体をCMYKの4色でいけばいいんじゃないですか?」

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堀江「写真分解のCMYKの4色でなく特色にすることで、大きい文字や企業ロゴの色が綺麗に表現できてパキッとでます。」

林「CMYK4色だとパキッとしないんだ。」

堀江「パキッとするために特色をさす。お客さんの見積もりではCMYKの4色で出してるけど、工場で綺麗に仕上げるために7色にしてるときもあります。お客さんもデザインの段階でそこまでわからないので、そういうときはあくまで工場側としてのこだわりだったりします。」

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堀江「あれも写真4色+背景のピンクと茶色が特色です。幅が広くて版の大きさが足りないので左右の半分半分で印刷します。厳密に言うと左側が1、2…3色、右側は2色+写真分の4色で6色。」

林「つなぎ目とかって、ずれたりしないんですか?」

堀江「すごくよく見るとわかるやつがありますが、わりと上手にできます。」

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大北「つなぎ目って「レ」の右隣りですか?」

林「「レ」のとなりだ! ちょっとピンクの境目あるんじゃないですか。」

堀江「ガソリンスタンドの大きいマークとかも2版重ねだったりしますね。」

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林「のぼりが色あせちゃってますね。どこに薬屋があるんだろう。」

堀江「漢方屋がめっちゃ印刷物多いんですよ。昔オードムーゲののぼりがすごく町中にあって作ってみたかったなぁと思ってました。」

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汎用性のあるのぼりは業界の組合が作っている

林「カラオケって書いてある。デザイン何もないですね。」

大北「カラオケってみんな同じ字の気がしますね。」

林「全部丸ゴシック。」

堀江「丸ゴシック多いイメージありますね。『感染対策実施中』ののぼりもありますね。」

大北「感染対策とかこういうのはどこが作ってるんですか?」

堀江「自分たちで作っているか、業界団体が作ってることも多いです。さっき見たはんこ屋の前の『年賀状承ります』は印鑑の団体だったり。『クリーニング』もクリーニング組合があるかな、いろいろ組合が斡旋していて。」

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林「こういうのぼりベースあるんですか?」

堀江「コンクリートのやつを売ってるんです。これ送るとすごい重くて送料も大変なことになります。」

大北「どうやって送るんですか?」

堀江「このままカバーだけして運送業者に渡します。これが一番重くて倒れにくいです。でもお客さんに、欲しいって言われたら「ホームセンターで買えますよ」って僕は言っています。送料が高いし送るの大変なので。」

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のぼり界の大口顧客、パチンコ屋

堀江「パチンコ業界はだいぶ減りましたけどね。東京じゃないところに行くとパチンコ屋はまだ多いですね。パチンコ業界はデジタルプリントを普及させました。僕らもパチンコ機種ののぼりがフルカラーで小ロット(※納品数が少ない)だったので二十何年前からデジタルやっていて。デジタル化はすごく早く始まっていました。」

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林「これなんですか?ターポリン?」

堀江「ターポリン。ウエルダー(ターポリン同士を重ね合わせ、熱圧着させる加工)という高周波で熱圧着で、2m50cmぐらいのやつでやってるんじゃないですかね。」

林「ここだけガビガビで、こっちは解像度高い。」

堀江「パチンコ屋から元画像の宣伝用の支給データに決まったサイズがあり、そのデータを拡大してるので粗いものもありますが、遠くから見ればわからないですよね。」

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堀江「こののぼりはたぶん中国だと思います。周囲の縫い方が日本の縫い方とは違います。二本針なので、今までの三巻とちょっと違う。」

林「丁寧ですね。」

堀江「あとここ。カットラインが見える。三巻する目印のライン。」

林「ここで切れよっていうライン。」

堀江「あとここにも。『ここにチチ縫えよ』っていうデザインの目印が付いてるんですよ。見えないですけどね。
大手の仕事も最近は中国で印刷する会社が出てきています。僕らの業界は短納期が多くて国内生産が中心ですが、今後は増えそうです。WEBの激安サイトも日本でやってるように見えて中国で印刷してるサイトが増えています。全部まとめて国内にもってきて、日本で振り分け発送しています。」

林「ネット印刷で中国で印刷してるところありますね。早くはないんだけど、すごく安いところ。」

堀江「一部中国に工場持っていて、知らない間に中国で頼んでる可能性もあります。」

林「中国は安いんですか?」

堀江「人件費も上がっているので、昔ほどメリットなくなってきましたがやはりお値打ちなところもありますね。」

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林「楽天ポイントありますね。」

堀江「楽天ポイントすごいですね。」

大北「こういう地面にまで広告が出てきたんですね。」

堀江「これはフロアマット専用のインクジェットですね。業界専用の素材があって、これは転ばないように滑り止めがある専用素材です。カーペット工場が作っていることが多いです。

カーペットの印刷って面白いですよ。カーペット専用プリンターってめっちゃ高くて2億円くらいして、すごくサイズも大きいんですよ。 」

大北「2億円!? プリンターってそんなするんですか! 」


世界が広がってのぼりのメーカーを割り出しはじめる

林「いや~、世界が広がりますね。」

堀江「こんなに街の中で具体的に印刷物を見たことないですけどね。」

大北「実際にデート力が上がるでしょうね。この記事を読んだ人は。」

堀江「あいつはなぜいろんなものを触ってるんだって(笑)。これを読んだらみんな触ると思いますよ。シルク印刷かインクジェットで見分けよう、が初級編。」

林「防炎でどの業者がわかるとか。」

堀江「デートの相手がそんなことし始めたらこわいですよね。」

取材協力
 

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