家から登呂遺跡が近い
仕事の都合で静岡に住むことになった。これまでもいろいろな場所に暮らしてきたが静岡ははじめてである。楽しみ、何があるんだろう。休みの日に自転車で近所を走っていて気づいた。

登呂遺跡である。
小学校の社会の時間に習ったような気がするけど静岡にあったのか。僕はもっと北の方、たとえば岩手とか青森とかそのあたりにあるんじゃないかと勝手にイメージしていた。
それどころか、当時の僕は金曜ロードショーかなにかで見た「ベンハー」というローマ時代の映画にいたく感動しており、「登呂遺跡」の中にある「トロイ」と「遺跡」の合わさった響きにどことなく遠方のロマンを感じていたほどだ。
ちなみに流行りの「インバウンド」も聞くたびに印旛沼を思い浮かべているので、僕は根本的に間違いやすい性格なのかもしれない。
そんな登呂遺跡が家の近くにあることを知った。岩手でもローマでもなく、近所にあったのだ。言われてみれば「登呂」という地名は他にもいくつか見かけていたなと今さら点と点がつながった。

登呂遺跡までは家から自転車で10分くらいの距離だった。登呂遺跡まで10分というのはなんだかわかんないけど興奮する立地ではないだろうか。
休みの日の午後に登呂遺跡まで行ってみることにした。

登呂遺跡は突然に
「登呂遺跡こちら」の看板に従い大通りを折れ、しばらく走ると芝生が青々と広がる気持ちのいい広場に出た。遠くにはキャンプ場が見える。


キャンプ場?いや古民家だ。古民家というか、廃屋?。いや、遺跡?
登呂遺跡だ。遠くからキャンプ場だと思っていたのはテントではなく竪穴式住居だったのだ。
こんなにカジュアルに登呂遺跡があるとは思わなかった。住宅街の中にあるので、竪穴式住居が周囲の建物にまったく溶け込んでいないのがおもしろい。

これまでにもいろいろな遺跡を見に行ったことがあるが、こんなに今の暮らしと近い遺跡も珍しいのではないか。
登呂遺跡は戦争中に軍事施設を建てようと思って掘ったら出てきたらしいので、昔も今も、人にとって都合のいい場所というのはそれほど変わらないのかもしれない。


遺跡の内部はすでに発掘調査を終えて整備されており、自由に見て回ることができた。
地面にドーナツ状に盛り上がりがあるのは昔の住居の跡だろうか。だとしたらすごく貴重なものだろう。



登呂遺跡は国内ではじめて水田の跡が見つかった遺跡なのだという。
そういえば弥生時代といえば稲作と高床式倉庫と習ったが、あの知識の発祥はここ登呂遺跡から来ていたのだ。自分が教科書で習った知識の証拠が目の前にあると思うと胸が熱くなる。



