はげます会限定記事(途中から有料) 2024年6月22日

ウィーン少年合唱団のコンサートに行った

ことしの3月、電車のなかでウィーン少年合唱団のコンサートの広告を見た。

ウィーン少年合唱団のコンサート。

僕の人生に登場しなかった単語だ。それについて考えることなく生きてきた。昔の自分の日記に「ウィーン少年合唱団みたいな子どもが電車のなかで鼻ほじっていた」と書いたことがあるが、それが唯一の接点だ。

しかもそれはたとえ話だし、たぶん本物じゃない。

たぶんこれからも僕はその程度の興味で生きていくだろう。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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ねじれの位置かもしれない 

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いまこの電車のなかでこの広告を見ている時間。この時間がウィーンの歌がうまい少年たちと、東アジアに住むウェブメディア編集者がもっとも接近した瞬間かもしれない。この後、ねじれの位置にある2つの直線は永遠に離れて二度と交わらない。

そう考えると切なくなって広告の写真を撮った。

そして5月下旬、僕は風邪で寝込んでいた。熱でだるい頭でウィーン少年合唱団のことを思い出した。あのコンサートはもうすぐじゃないだろうか。
布団の中でスマホで調べると来月だった。その日は午前中に会計事務所と打ち合わせがあったが、それを早く終わらせれば行くことができる。チケットをとった。

ねじれの位置だった我々が交わる。

Googleカレンダーに「ウィーン少年合唱団」と入れた。まったく予想外の単語が僕のカレンダーに現れた。

いったん広告です

オペラシティの意味を知る

ウィーン少年合唱団のコンサートは初台のオペラシティ。「死ぬかと思った」という本を出したとき、版元のアスペクトは当時この近くにあった。入稿した直後に打ち上げと称して編集者にオペラシティでサブウェイをおごってもらったことがある。人生で最もささやかな打ち上げだった。

だが、僕は今日はウィーン少年合唱団を見に来た。

ええ、ちょっとウィーン少年合唱団を見に来たんですよ。

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ウィーン少年合唱団のほうからきました

僕がふだん行くコンサートと客層はぜんぜん違う、ということはなかった。ムーンライダーズと同じぐらいの年齢層だ。つまり僕と同じぐらい。

物販コーナーではウィーン少年合唱団のTシャツがあった。サイズはSとMのみ。ライブの物販のTシャツはXLなどでかいのが主流だが、細身のおばさまが多かったからこれでいいのかもしれない。Lが欲しかったがMを買った。

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ドイツ語のSeit=Sinceが1498年だ。その年に神聖ローマ帝国でウィーン少年合唱団が設立された。設立した王はハプスブルク家だった。ハプスブルク家という言葉が僕の生活に現れたことに驚く。ハプスブルク家という響きがおもしろくて口に出したくなる。
ハプスブルクけ

そのころ日本では応仁の乱が終わって戦国時代に突入、バリバリ無政府状態のころである。

無政府状態の子孫である僕のチケットは2階席。

席に座って開演までチラシを見る。下北沢の劇場とはチラシが違う。ペラペラのコピーの演劇のチラシはなくオペラのチラシが入っていた。へーここでやるんだ。
………そうか!!オペラシティってこういうコンサートやるからオペラシティなのか、明大があるから明大前だ。

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予想外のウィーン少年合唱団

ホールは撮影禁止なのでここからは文字だけです。

開演時間になるとステージに少年たちがつらつらと歩いて出てきた。
中央にはピアノ、その左右に少年が10人ずつぐらい。5人×2列に立った。
ピアノではタキシードの大人が演奏したり指揮をする。カペルマイスター(楽長)と呼ぶそうだ。バンマスである。

まず歌い始めた。

……ウィーン少年合唱団のイメージ通りの合唱だが、歌声という感じではない。ひとりひとりの声が楽器のような音で調和している。そしてひとり、バイオリンのように高くて通る声を出す子がいる。どの子かは分からないが、その通る声のまわりにいろんな声がからみあっている。
中心の光の筋のまわりにいろんな光の筋が絡み合って歌が進んでいく。


一般公開はここまで!
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ウィーン少年合唱団はどうだったのか気になる方はご入会いただくか、来年の公演に行ってみてください。→ 入会ご案内 

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