とりあえず『お元気ですか?明日の自分はなにをしていますか?』というよくありがちな内容で書き始めてみたが、ここからどうしたらいいのかわからなくなってしまった。
「いや、明日は仕事しているだけだろ」と余計なツッコミが頭の中で湧いてしまい集中できない。
『自分に手紙を送る』というのは本来的には遠い未来の自分へ書くものだ。将来への展望や不安が頭のなかでいっぱいになるため、手紙に書く内容も山ほどでてくる。
また、未来への手紙であれば「どんな仕事をしていますか?」と書いてあってもなんら不思議ではない。転職しているかもしれないし、仕事をしていない可能性すらある。それくらい未来はわからないものだ。
しかし、明日というのはほぼほぼ予測できる丸見えの未来だ。ディープインパクトが出馬したときくらい予想が簡単だろう。
明日への手紙に「どんな仕事をしていますか?」と書いていたらそれはもう決意をかためた辞表だ。予告辞表である。
明日の自分に言いたいことは「資源ごみの日だからダンボール捨て忘れないでね」くらいだ。これ手紙じゃなくてリマインダーだ。
そんな苦戦をしながらも1時間ほどかけて手紙を書き終えた。内容をまとめると以下のような感じになる。
・元気ですか?明日の自分はなにをしていますか?
・僕は酒を飲みながらアニメを見て書いてます
・明日は仕事ですが一つひとつ焦らずじっくりやりましょう
・あなたは頭の切り替えが上手じゃありません。落ち着いてやりましょう
・一日の目標を明確にしましょう
・結婚、将来、仕事と不安も多いでしょう
・というかこんな手紙を書いて意味があるのでしょうか?
・正直に言うとアニメに集中したいです
・というかこの企画おもしろいですか?
・いや、意味のないことなんてないかもしれません
・意味のないことをやってきて今の自分がいます
・この手紙を読んだときにどんな気持ちになるのか楽しみです
未来への手紙っぽい内容は最初の2行くらいで終わってしまった。途中からはただの説教と愚痴だ。
ただ、おもしろいのは『手紙』という形態にしたことによって自分自身を『あなた』と自然と呼んでいることだ。そして客観的に自分を見ているような内容になっている。
自己啓発っぽさがある。楽しむというよりも、自分の考えを整理するために手紙を書くというのはありなのかもしれない。
『明日への自分の手紙を毎日書いてキレイな日々を目指しましょう』みたいなセミナーは探したらあるかもしれない。
びっっっっっくりするくらい感情がなにもわいてこない。
そこには喜びも悲しみも驚きも憎しみもない。
無だ。無の世界がそこには広がっている。荒野だ、いや宇宙だ。自分が書いた手紙は宇宙の果てのように無の感情になれる。
「あ〜こんなこと書いたわ〜」など一切ない。純度100%で内容を覚えているのだから。
24時間しか経ってない手紙はただの文章の見直しなのである。内容よりも誤字脱字や言い回しのほうが気になる。
雰囲気をよりだすために宛先に「未来の自分へ」と書いて、送り主に「過去の自分より」と書いておいた。手紙を見たら郵便局の人はどう思うだろうか。
郵便局の人が「子どもが書いてるのかな?かわいいなぁ」と思ってほっこり笑顔になっていたら申し訳ない。ストロングゼロを飲みながら30歳が書きました。
やはりびっっっっっっくりするくらいなんの感情もわいてこない。宇宙の果てだ。感情のビッグバンは起きない。何回読んでも感情の変化はなかった。
郵送して手紙を送ってみれば気持ちの変化もあるかと思ったが、やはりただの文章の見直しでしかないのである。
これは困ったことになった。こういった企画は記事を通して感情の変化を書くことが肝だ。企画を通しておきた変化を文章化することに意味がある。宇宙の果てを旅行している場合ではない。
このままでは企画としてなにも展開がないまま記事が終わってしまう。
ここから新しい展開を生むためには、明日への手紙が自己啓発っぽいことを利用して『明日への自分の手紙を毎日書いて決意表明しましょう』というセミナーを自ら開くしかないのかもしれない。そのセミナーで荒稼ぎしてディープインパクトくらい予想が簡単な馬に賭けて大儲けすれば記事としてオチがつくだろう。
いや、違う。
もっと簡単な方法があった。解決方法はひとつだ。
そう、明日の自分へ託すのである。つまり明日の自分に手紙を書くのだ。明日の自分にオチを任せよう。それですべてが解決できるはずだ。
ということで、あとはよろしく!あしたの自分!!
ばかばかしい記事まつり
この記事は2020/06/22~26に行われる「ばかばかしい記事まつり」に奉納された記事です。ライター総勢15名がばかばかしきをまっとうします。
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- 洗濯機に歩数計を付ける(トルー)
- そばせいろを22枚積み上げる(ネッシーあやこ)
- アンパンマンの顔を描いたら全部アンパンマン(べつやくれい)
- 弁当を具にして海苔巻きを作る(こーだい)
- ただのお湯が焼酎お湯割りになるコップを作る(林雄司)
- 効果音で怖くする(石川大樹)
- 油揚げを焼いて煮る(藤原浩一)
- ホタテの殻を開けた気分になる(安藤昌教)
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- 10年後ではなく明日の自分に手紙を送る(megaya)
- 小道具みたいなパッケージを見る(古賀及子)
- シュークリームにフルーツを挟む(玉置標本)
- ホースを型にゼリーを作る(米田梅子)
- マスクをもてなす(ほり)