「これが入っている」とだけ書いてあるやつ
小道具みたいなパッケージ、例えば、こういうやつだ。
商品名を明記しているのでなにも間違ってはいないのだが、妙にきっぱりし唐突さすら感じるこの態度。
なんとも言えない味わいだなとずっと思いながらうまくその魅力を言葉にできていなかったのだが、これ「(手抜きの)小道具みたい」なのだ。
美術さんが作ってきたら「もうちょっとさあ」ってなる
以前企画で、上野のお菓子屋の二木の菓子にライターのべつやくさんに連れて行ってもらう機会があった。
この時に「チータラ」と大書きしてあるパッケージを見たべつやくさんが「ドラマで美術さんがこれ作ってきたら、もうちょっとさぁ…ってなるよね」と言っていて、それだ! 完全にそれだ! と分かった。
小道具としては「もうちょっとさあ」ってなる、そうだ! その感じだ。マンガの手抜きの背景みたいにも見える。
↓↓こちらの動画です↓↓
世の中は手が抜かれていない
そもそも、世の中の商品パッケージというのは凝っているものが多いのだ。
オリジナリティあふれる商品名が、個性豊かにロゴ化されている。キャラクターのイラストがついていたり、キャッチコピーも気が効いている。
こういうのはコンビニやスーパーで取り扱われており、勢い私たちは普段よく目にしがちだ。
現実がこうなので、相対的にシンプルなパッケージに小道具を感じやすいのだろう。
今回取り上げる心惹かれる小道具パッケージはディスカウントストアや100円ショップなどによく現れる。おそらく中小のメーカーさんや食品の輸入業者さんが頑張って作っていることが多いんじゃないか。
応援したくなる気持ちもわいてくるというものだ。
マンガのピクルス
応援しながら、あらためて見ていこう。
今回探したものでは先のゼリービーンズがここ一番の味わいだったが、これもいい。
完全にマンガだろうこれは。
マンガ肉というのがあるが、マンガピクルスこれだ。
うやうやしく冷蔵庫におさめてみた。うちの冷蔵庫がマンガになった。
輸入系でいくとこれも良い。
「缶切不要」「パスタやサラダにピッタリ!!」などあれこれ書いてあって、シンプルさはないが、小道具っぽい。
フォントが一般的だからじゃないかと思われる。
個を殺して背景としてある
手抜きの小道具みたいなパッケージに見える要素、ここまでのところで考えると以下のようなものが挙げられそうだ。
・フォントが有りもの
・全体的に自意識が低め
・結果、存在が嘘(小道具)みたい
目立ってやろうという魂胆がほぼゼロ。ある意味これぞ控えめな態度ともいえ、存在が背景に寄っている。
囲まれているうちにだんだん自分も低予算のドラマやマンガの世界につれていかれそうだ。興奮する。
存在の疑わしさ
さきほど小道具みたいなパッケージの要素として「存在が嘘っぽい」というものを上げたが、そこへの特化を感じるパッケージもある。
カロリーメイトのいわゆるジェネリック品と思われるこちら。圧倒的なジェネリック度の高さから存在が架空のもののようにすら感じられる。
美術さんが少し頑張った小道具という良い雰囲気だ。
さらにこちら。
これまでに比べるとわりあい凝ったパッケージとも言えるのだが、商品名部分に寄ると妙に実在が薄まらないだろうか。
こちらもどうだろう。
この小道具感は、単に見慣れない商品だからというだけだろうか 。「シュガーレスフルーツ」という言葉のインパクトの弱さも要因としてあげられそうだ。
小学生の娘が見て「なんかこれ、おかしくない?」と言っていた。(本当にこれ、有るの?)とも言いたげだった。子どもにも違和感が分かるのだ。
同じくこれも。
ポップにきれいなパッケージで、上手に作ってはあるのだが、不思議とどこか存在が疑わしいと思ってしまった。
有るが本当に有るのか
実存するにもかかわらずパッケージの在り方だけでその存在の揺らぎがすごい。本当にそれは有るのか? 手抜きの小道具なのではないか?
しかし紹介したものはすべて昨日買って、今ここ(私んち)にあるのだ。
だからアリストテレスと盛り上がろう、そのごましお、無いみたいだけど有るねって。
ばかばかしい記事まつり
この記事は2020/06/22~26に行われる「ばかばかしい記事まつり」に奉納された記事です。ライター総勢15名がばかばかしきをまっとうします。
- 食パンをハニートラップにかける (いまいずみひとし)
- 洗濯機に歩数計を付ける(トルー)
- そばせいろを22枚積み上げる(ネッシーあやこ)
- アンパンマンの顔を描いたら全部アンパンマン(べつやくれい)
- 弁当を具にして海苔巻きを作る(こーだい)
- ただのお湯が焼酎お湯割りになるコップを作る(林雄司)
- 効果音で怖くする(石川大樹)
- 油揚げを焼いて煮る(藤原浩一)
- ホタテの殻を開けた気分になる(安藤昌教)
- 電化製品と記念写真を撮る(山本千尋)
- 10年後ではなく明日の自分に手紙を送る(megaya)
- 小道具みたいなパッケージを見る(古賀及子)
- シュークリームにフルーツを挟む(玉置標本)
- ホースを型にゼリーを作る(米田梅子)
- マスクをもてなす(ほり)