つくる手順
1.安いプラコップに焼酎を入れて放置。
2.時間が経ったところで焼酎はもとに戻し、お湯を入れる。
3.お湯が焼酎のお湯割りのようになっているかをチェック
偶然、芋焼酎の匂いになったあの過程を意図的に再現するのだ。
まずは3種のコップを100円ショップで買ってきた。あの歯磨き用のプラコップはなんというプラスチックかわからないので、素材が違う3つを選んだ。
写真のうえに「ポリスチレン」などと書いているが、それが一体なんなのかは分かっていない。ポリプロピレンは無印良品の衣装ケースに書いてあるやつ、ぐらいの知識しかない。
匂いがついたのはたぶんコップにヒビが入っていて、そこになにかおいしい成分が染み込んだのだろう。
という仮説をもとに、まずはコップをごしごし洗い、お湯を入れたり氷水を入れたりを繰り返した。計量カップをそうやって使っていたらヒビが入ったからだ。
スパルタ式の洗浄の後、芋焼酎を入れる。
この状態で36時間放置した。
仕事中、ずっと焼酎のような、居酒屋の昼のような匂いがしていた。
酒恋しさについに幻臭を感じたのかと思ったが、背後に焼酎がなみなみ注いだコップがあるのだった。
よる
僕がいちばん元気になる時間がやってきた。コップに入っていた焼酎を瓶に戻し(こんど飲むから)、いったん水ですすいでからお湯を注いだ。
ポリスチレンとメタクリル樹脂は熱湯不可だったので、氷水で温度を調整した。ポリプロピレンは熱湯も電子レンジもOKなのでいきなり熱湯の上級者コースだ。
結果から書こう
ポリスチレン ☓
メタクリル樹脂 ☓
ポリプロピレン △
ポリプロピレンだけ微かに焼酎の匂いが残っている。他のふたつは匂いがついていない。
見境なく家のコップでお湯割りを作るお父さんと一緒に住んでいる君はポリスチレンかメタクリル樹脂のコップを選ぼう。
もっと育てる
ポリプロピレン、君は素質がある。もう12時間焼酎を注いで育ててみよう。
今回は濃く作ったお湯割りを注いでそのまま放置した。冒頭に書いたエピソードでも、毎晩お湯割りを飲んでいたら匂いがついたのだ。鍵はお湯、かもしれない。
金属で傷がついたら匂いが移るかもしれない。偶然を装って(誰に?)乱暴にかきまぜた。
~12時間後~
夕方、仕事はまだあるがお湯(割り)を試してみよう。冷え切ったお湯割りを別の容器に移し(これもあとで飲むから)、軽くすすいでからお湯を入れる。昨日よりも芋焼酎の匂いがついている。
お!口元に持ってくるとお湯からほわーんと芋焼酎の匂いがする。
図にするとこのような状態だ
このままコップのエイジングを続けたら下の「湯」の部分が芋焼酎になるだろう。
美味しんぼの初期に土鍋に だしが染み込むというエピソードがあった。でもあれは30年使い込んだという話だった…。
さて、コップの白湯が芋焼酎のお湯割りになっている!と気づいたとき、酔っていなかったかと問われれば明らかに酔っていた。
30年使い込む前に、酔いで自分の判断を甘くするという方法もあるのだ。ゴールから近づけるのだ。コペルニクス的転回である。
ノンアルお湯割りだ
芋焼酎の匂い♪匂い匂い(コップを顔に近づける)……飲んだらお湯~!ズコー!というカスタマジャーニーなコップになった。
だが、酒が飲めない妻に飲ませたところ、「これは焼酎のお湯割りだ。私はこれでいい」とのことだった。
これはノンアルコール芋焼酎のお湯割り、なのかもしれない。
酒も5杯目ぐらいになってくると味がよく分からなくなってくるので、このコップだけ芋焼酎にしてもいいだろう。健康増進コップである。
青汁ハイとか健康になりたいのか不健康になりたいのかわからない酒を出す店みたいなことを言い出してしまった。
ばかばかしい記事まつり
この記事は2020/06/22~26に行われる「ばかばかしい記事まつり」に奉納された記事です。ライター総勢15名がばかばかしきをまっとうします。