マスクよありがとう
ある日突然、街中から消え去ったマスク。人々はマスクを求め争いあい、多くの嫉妬と憎しみと恨みをもたらした。人間はいつだってエゴにまみれている。一度でもマスクの立場になって考えたことがあっただろうか。たった一度きり使われるために生まれ、出荷されたかと思いきやメルカリでその身を売られ、いまは中華料理屋さんの店先で売られている。そんな人生あんまりではないか。


我が家にあるのはメイドインチャイナのマスクだ。それはビジネスチャンスに乗っかって短期間で量産されたであろう市場経済主義マスクである。でもマスクは悪くない。むしろ感謝している。
どんなマスクであれ、いまの日本ではマスクを着けていることがとにかく大事なのだ。それには「ウイルスをもらわない」とか「他人に移さない」などの理由ももちろんあるが、それ以上に「周囲から冷ややかな目で見られない」という理由が大きい。高まりすぎた集団意識。これは悲しき世間体マスクだ。
マスクをもてなす
マスクよありがとう。ありがとうマスク。君のおかげで今日も周囲から冷たい目で見られずに済んだよ。今日はそんなマスクを精いっぱいもてなしていこう。







張り切ってお風呂に入浴剤を入れたら想像以上に濃くなってしまった。マスクを入れたら確実に着色すると思う。マスクは貴重な財産なのでお風呂に入れる勇気はなかった。ごめんねマスク。


ご想像の通り、ほとんどすべての材料を100均で購入している。100均で材料を探しながら、「これ買ったらマスクが喜んでくれるかなぁ」などと考えていた。我ながらやばいと思った瞬間だ。
あの布マスクももてなす
そうこうしているうちに、我が家にもあの布マスクがやってきた。


世間ではいろんな意見があるが、これだけは言える。マスクに罪はないのである。ならばもてなすしかない。ここはすべてのマスクにとって平等にひらかれた楽園。ようこそマスクランドへ。さっそくですがくつろいでいってください。



ベッドの奥に見えるのは綿花の写真である。布マスクは布でできている。そしてその布は綿から作られる(たぶん)。綿花は布マスクにとってのふるさとなのだ。ふるさとを思い出しながら今夜はいい夢をみてください。
飾りじゃないのよマスクは
マスクをもてなしているうちにマスクの気持ちが分かるようになってきたのだが、どうやらマスクたちは最近自信を無くしているようだ。マスクの効果は本当にあるのか。効果がないのならただの飾りである。いろんなことを言われてかわいそうだ。マスクにはもっと自信を持ってもらいたい。君たちはもっとやれる。輝けるのだ。


音楽に合わせてマスクが光り輝いている。マスク、いままでで一番輝いているよ。比ゆでもなんでもなく、物理的に輝いている。さっき「飾りじゃないのよマスクは」って言ったけどむしろめっちゃ飾りだな。でもこれでマスクは自信を取り戻したようだ。よかったよかった。
ばかばかしい記事まつり
この記事は2020/06/22~26に行われる「ばかばかしい記事まつり」に奉納された記事です。ライター総勢15名がばかばかしきをまっとうします。
- 食パンをハニートラップにかける (いまいずみひとし)
- 洗濯機に歩数計を付ける(トルー)
- そばせいろを22枚積み上げる(ネッシーあやこ)
- アンパンマンの顔を描いたら全部アンパンマン(べつやくれい)
- 弁当を具にして海苔巻きを作る(こーだい)
- ただのお湯が焼酎お湯割りになるコップを作る(林雄司)
- 効果音で怖くする(石川大樹)
- 油揚げを焼いて煮る(藤原浩一)
- ホタテの殻を開けた気分になる(安藤昌教)
- 電化製品と記念写真を撮る(山本千尋)
- 10年後ではなく明日の自分に手紙を送る(megaya)
- 小道具みたいなパッケージを見る(古賀及子)
- シュークリームにフルーツを挟む(玉置標本)
- ホースを型にゼリーを作る(米田梅子)
- マスクをもてなす(ほり)