ばかばかしい記事まつり 2020年6月22日

ホースを型にゼリーを作る

夢の食べ物ができました。

子供のころに思い描いていた夢の食べ物。

蛇口から出てくるジュース、バケツで作った大きなプリンなど、大抵は実現しているのではないか。しかしまだ見たことのない物がある。ホースから出てくるゼリーだ。

待てども待てども現実になる気配がないので作ってみることにした。

愛知県出身、東京都在住のデザイナー。イラストを描き、写真撮影をして日々を過ごす。
最近は演劇の勉強に熱中。大きなエビフライが好き。

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ゼラチンは貴重

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この形状。にゅるんと食べてみたい。(イメージ画像) (写真ACより)

必須アイテムはホースとゼラチン。さっそく買い出しに出てみるものの、ゼラチンはどこにも見つからない。amazonでも在庫切れ。

世間では手作りお菓子ブームが起きているのか?もしかしたらみんなホースでゼリーを作って、記事を書くつもりなのかもしれない。ネタかぶりの不安でドキドキしながら製菓コーナーをさまよった。

あった

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ゼラチンは見つけられなかったが、メロン味のゼリエースと出会った。

あまりに見つからなかったのでこれを見つけた時点で目的を達成した気分になってしまった。落ち着いて作業にとりかかろう。

粉末をお湯で溶かし、水で薄め、そして混ぜる。インスタントコーヒーを入れるのと同じかそれ以上の速さで終わる作業。あとは容器に入れて冷やすだけでお菓子づくりの達成感が味わえるのだからゼリーの素はすごい。

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ゼリー液のゆらめきがきれいだったのでよくよくかき混ぜた。

風呂場で調理

ゼリー液をほどほどの温度まで冷まし、容器であるホースへと移す。

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ホースの正しい洗い方が分からなかったので申し訳程度に重曹水ですすぎ、水洗いをした。

期待に高鳴る胸を落ち着かせつつ洗ったビニルホース。

ちゃんと洗えているといいな~と思いながら片側にラップと輪ゴムで蓋をし、漏斗を挿し入れた。

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鍋をひっくり返す可能性とホースから漏らす可能性、ふたつのプレッシャーの間に挟まれる。

グネグネよじれるので思っていたよりも時間と手間がかかる。丁寧に扱っているうちに動物に接しているような気持ちになってきた。

ホースは疲れていないだろうか。突然腹の中に緑色のゼリー液を流し込まれてとまどっているのではないだろうか。じわじわと罪悪感に襲われる。

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注ぎ終わったら冷蔵庫で休ませる。ホースにとって初めてだらけの一日。
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さよならゼリー

一晩冷蔵庫で寝かせ、ついでに私もしっかり睡眠をとった。ホースはしっかり眠れただろうか。

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蛇口から水圧で押し出す方式でいきたかったが、水は吹き出すしゼリーはびくともしない。
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15cmほど切り取って指で押し出してみたら破片が出た。

メロンゼリーの甘い香りに混じって不穏な気配が漂う。

ホースの内側にぴったりとはりついていたゼリー。それを無理に押し出したのでぼろぼろにくずれてしまった。

にゅるっと取り出せると思っていたぶんかなりショックだった。

凍らして切る

落ち込みながらも残りのホースを今度は冷凍庫に押し込んだ。

あんなことになったのは、ゼリーの弾力とやわらかさが原因なのでは。だとしたら、より固まった状態、つまり凍っていれば取り出せるのではないか。

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藁をもつかむ気持ちでカッターを握る。

思い切って一直線に切れ目を入れた。するすると切れるのでたのしい。調子にのってゼリーまで切り裂かないようにだけを気を付ける。

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切ったホースを開くと、食べたかった形がにゅっと出てきた。
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油断したら取り出している途中でぐずぐずになってしまった。あー。

とぐろを巻いたホースをにまっすぐに伸ばしたことで内部で砕けてしまったのだろう。

ホースの長さのぶん取り出す時間もかかってしまい、途中でやわらかくなってしまったのも原因だ。無事だった部分も切れ込みに挟まれてぶつ切りになってしまった。

切って凍らせる

用意したホースを使いきってしまったので新たな物を用意してリベンジすることにした。

今度はより弾力がある素材の0.75m。これをさらに半分に切った。冷蔵庫に曲げずに入れられるサイズがこれくらいだからだ。長すぎるものは作るのが難しい。欲張ってはいけない。

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切れ込みを入れたのち透明テープで閉じ、液を入れた。意外と漏れない。

あとはこれまでと同じように冷蔵庫からの冷凍庫へのはしごである。

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漏れてしまった場合に備え、被害を最小限に抑えるためのちんあなごスタイル。

ついに

こうしてさらに一日が経った。そしてついに、ついにである。

ここまで辛抱強くお付き合いくださっている方も、もういい加減待ち切れないでしょう。前置きは手短に、結果をお見せしたい。

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にゅるん!
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できた!約35cmの冷凍ゼリー!

テープをはがしてホースを少し開き、スライドさせるように指で押すと、ひっかかりもなくスルンと出た。

つるっとした内容物を見たら、手が冷たいとかベタベタするとかそんなことはどうでもよくなった。あとは自然解凍して完成だ。

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箸で食べるゼリー

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これが手間暇かけまくりゼリーだ。

切る、手動で押し出す、凍らせるなど、当初の完成予定からは大きく離れてしまったが、大満足のものができた。これは間違いなく「ホースから出てきたゼリー」だから。

そしてなにより破片ではなく形を保ったものができたのが嬉しい。

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解凍のついでに多少水分を飛ばしたことで箸でつかむことができる。
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最後に食べてみて、この記事を終わらせたい。
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これは。喉越しが尋常じゃなくするっと通る。それにもちもちで……
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メロン味の伊勢うどんみたいだ。

 あんまりおいしいと感じられなかったのは、ここにたどりつくまでの間にゼリエース3箱分の失敗ゼリーを食べたからだと思いたい。


ホースゼリーの作り方

【材料】ホース・テープ・輪ゴム・ラップ・ゼリー液

【1】30〜40cm程度のホースにまっすぐ切れ目を入れます。

【2】テープを貼って切れ目を丁寧に閉じます。テープのシワは液漏れにつながるので注意してください。

【3】ホースの片側をラップと輪ゴムで塞ぎます。

【4】レシピよりも50ccほど水の量を減らしてゼリー液を作り、荒熱がとれたらホースへと注ぎます。いっぱいになったらもう片側もラップと輪ゴムで塞ぎます。

【5】冷蔵庫で固まるまで冷やします。

【6】冷凍庫で凍らせます。ビニール袋に入れれば冷凍庫内が汚れる心配がありません。

【7】テープを剥がし、凍ったゼリーを壊さないように気をつけながら切れ目全体を手で開いて開きます。

【8】指を使ってゼリーを押し出します。お皿の上にそっと滑らせましょう。

【9】ラップをしないで冷蔵庫で一日休ませれば完成です。

ばかばかしい記事まつり

この記事は2020/06/22~26に行われる「ばかばかしい記事まつり」に奉納された記事です。ライター総勢15名がばかばかしきをまっとうします。

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