ちょっと普通じゃないガラス細工を作っている人がいる
マニアたちが集まる集会、マニアフェスタ。今年のマニアフェスタが終わったあとで、goo blogのスタッフから出展者の中に面白い人を見つけたので、と紹介してもらったのが「吹きガラスドロップ」だった。
「吹きガラスドロップ」はハンドメイドのガラス細工を展示販売している工房なんだけど、どうも作っているものがいわゆるガラス細工とは一線を画すようなのだ。
たとえばこちら。
道に落ちている、いわゆる「片てぶくろ」。これを「吹きガラスドロップ」ではガラスで作った。片てぶくろについてはデイリーにも登場してくれたことのある石井さんが詳しい(記事:トムハンクスも片手袋の写真を撮っている)。
なぜ落ちてる手袋をガラスで作ろうと思ったのか。確かにこれはちょっと話を聞かないといけない気がする。あわてて連絡をとって「吹きガラスドロップ」のギャラリーへとおじゃました。
どんな個性派が出てくるかと覚悟していたのだけれど、想像していた5倍、いや10倍は普通の素敵な方だった。
ただ、ギャラリーへ一歩足を踏み入れると、そこはやはりブログで見た通りの、ちょっと放っておけない感じの空間だった。
まずはざっと作品を見てもらい、僕がギャラリーに入った瞬間の気持ちをみなさんにも感じていただきたい。
ではどうぞ!
メンダコはずっと前に水族館で見たことがあって、深海のアイドルなんていわれるだけあって確かにかわいかったのを覚えている(詳しくはこちらの記事で)。
かわいいけど、それ以前にガラス細工でこれ作る?という思いが強い。
言われてみれば!メンダコはこうして伸び縮みしながら海を漂っているのだ。
悩む前にどんどん紹介したい。次はこちら
ガラス細工の歴史上、これまでに何人がマンボウを作ろうと思っただろう。そんなにいないぞきっと。
それにしてもこの透明感たるや。海の生き物はきっとガラス細工に合うのかもしれない。
次も同じく海の生き物から、くらげ。
風鈴はふつう鳴らす部分が風で反応するよう紙なんかでできていると思う。しかしこのクラゲ風鈴は足までガラスでできている。鳴るのか。いや、もはや問うべきはそこではないのかもしれない。
そういったマニアがいるのか。
次もいいぞ。
プラナリアは切っても再生するという謎の生きものである。好きなヒモをつけてペンダントに、と書かれていたが、道を歩いていてこのペンダントをつけている人がいたら、僕は話しかけてしまうかもしれない。
で、どうでしょう。僕はすでに取材を終えてガラス細工づくりも体験させてもらった後なので、これらの作品が可愛くてしようがなく見えるんだけれど、みなさんにはこれらの作品、どう映っているのだろう。
きっと記事を最後まで読んでくれたら可愛さに支配されると思うので期待してください。
さらに思いもよらないものが出てくる。
流行ってますかね。
パイロンと手袋ときたらそれはもう
ガラス細工ってグラスとか涼し気なお皿なんかを作るんじゃないのか。こういう自由度の高い趣味だと知っていたら僕だってとっくに始めていたかもしれない。
そんな思いも次で吹き飛ぶ。
上野とかで、路面店の店先にケバブ肉のかたまりが回っているのを見たことがないだろうか。濃い顔をしたお兄さんがフレンドリーに勧めてくるあれだ。小村さんはあれをガラス細工で作った。このセンスには勝ち目がないだろう。
そろそろ作者に登場いただきたい。ガラスドロップの小村さんである。
小村さんはもともとは趣味としてガラス細工の工房に通っていたのだという。その頃はこんな感じの「ちゃんとした」作品も作っていた。
しかし指導を受けて3ヵ月くらい、ガラス細工の技術を一通り身につけた小村さんは「何を作ってもいい段階」に達したのだという。
小村さんは喜んだ。だってこれからはなんでも自由に作れるのだ。
そして作ったのが、先に紹介したメンダコはじめとするガラス細工だったわけだ。先生もまさか教え子がこうなるとは思わなかっただろう。
楽しいだろう。小村さんが楽しく作っていることは一つ一つの作品にも表れている。
たとえば小村さんがイチオシするこちら、顔コップ。
お客さんの反応はどうですか?
まあそうだろうと思います。
確かに「何かに使えるかも」とか理由がないと人は買わないかもしれない。その点、小村さんの工房では実用を目的とした作品が少ないので不利ではないのか。
なんとなく実用に片足を残しておく、というのは僕も記事でよくやるのでその気持ちはわかる。
でも小村さん、さすがにこれは実用性ないですよね。
今まで僕たちが想像していたガラス細工の定義がだいぶ広がったところで、実際に小村さんが作品を作っている作業場を見せてもらうことにした。