広告企画 2020年4月16日

雪道を2キロ歩き、ソースかつ丼を食べ、温泉に入るサルに会う~地元の人頼りの旅in長野県~

とにかくたくさん歩きました。

準備をせずにいきなり現地に行き、地元の人に頼りまくって旅をする企画。今回は長野県です。

情勢的に観光地に人が少なくて、いつもとは雰囲気の違う旅になりました(取材は外出自粛要請の出る前の3月に行ったものです)。

 

※これまでいろいろな場所で取材をした記事を読めば誰もが知ったかぶりできるはず。「知ったかぶり47」は、デイリーポータルZと地元のしごとに詳しいイーアイデムとのコラボ企画です。

行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

前の記事:名画ぜんぶあります!徳島の大塚国際美術館で息をのむ

> 個人サイト むかない安藤 Twitter

通勤から旅へと切り替える贅沢

いきなり現地に行ってあとは地元の人に頼り切って旅する企画。今回の目的地は長野県である。

東京からだと新幹線で1時間半なので思い立った時にふらりと行ける範囲ではないか。今日はいつもの通勤時間になにも準備せずにふらりとやってきた。

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いつもの通勤時間に東京駅にやってきて、その場で長野行きの新幹線のチケットを買う贅沢。

朝、会社へ向かう人ごみの中を悠々とニューデイズで買い物をした。なぜなら僕はこれから旅にでるからだ。この贅沢ったらない。

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いつもは買わないちょっと豪華な昼ごはんを買っちゃう。旅はすでに始まっているのだ。

記録のために書いておくが、2020年の3月は新型肺炎の世界的な流行によって、人の集まるイベントが次々と自粛されていった。

この記事が公開される頃には状況が変わっているかもしれないが、取材をした2020年3月は世界中が本格的に危機感を持ちはじめるぎりぎりのところだったと思う。

そしてこれを書いている3月下旬には、日本でも一気に危機感が増して、不要不急の外出を避けるよう言われている。

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女子大生風のグループはスキーにでも行くのだろうか。周囲を巻き込んでキラキラして楽しそうだった。

本来ならばいまこそ地方に取材に行っておもしろいところを紹介したいのだけれど、他県に移動するだけでちょっと気を使うような状況である。

そんなわけで今回は地元の人に頼れたら頼る、くらいの気持ちで取材させてもらいました。状況が落ち着いたらふたたび頼りにさせてもらうのでよろしくお願いします!

遠そうで近い、近そうでちょっと遠い

今回の行き先長野県は、東京から行くと遠いようで近い、近いようでちょっと遠い、そんな場所ではないだろうか。

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車窓の風景が変わっていくのを眺めるのが好きだ。
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新幹線は市街地を抜け、山が近くなってくる。

車内で遅めの朝食と早めの昼食を合わせて食べる。東海道新幹線だとそろそろ富士山が見えてくる頃だろうか、北へ向かう新幹線の車窓からは住宅街が消え、遠くに見えていた山が近くに迫ってきた。

そのあとちょっとだけ仕事のメールを書いたりしているうちに、もう着いてしまった。

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寝る暇もなく長野に到着。

東京から長野まで、新幹線だと1時間半くらいである。僕は新幹線の中で仕事をしたり本を読んだりするのが好きなので正直もうちょっと乗っていたいなと思ったほど。前回の山口はちょっと遠すぎたけど。

長野駅からスタート

長野駅は空が見える開放的な建物だった。

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光が入ってきてすごく気持ちのいい空間です。
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20年くらい前にここでオリンピックがあったのだ。

予想通りではあるけれど、駅には観光客がほとんどいなかった。

いつもの冬だと長野には外国人を中心にたくさんのスキーヤーがやってくるらしいのだけれど、今年は雪が少なかったうえに新型肺炎の流行である。現実味がないくらいに駅ががらんとしている。

これは本格的に地元の人に頼ってる場合ではないのかもと思い、急きょレンタカーを借りた。

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ついでにレンタカー屋さんのおじさんに今日のおすすめを聞く。

レンタカー屋さんのおじさんはこれまでに会ったレンタカー屋さんのおじさんの中で一番腰が低くていねいな人だった。旅先でこういう方に会うと一気にその場所が好きになる。

「昨日まで雪だったんだけど今日は晴れてるし、今年はそもそもそんなに積もってないから山の方に行くのがおすすめですかねえ、私なら行きたいねえ、行ってそばでも食べたいねえ」とのことだった。

おじさんの勧めてくれた長野の見どころは以下。

・ちょっと歩くけど戸隠神社(特に奥社)
・そのあと戸隠そば
・あとはなんといっても善光寺

晴れているうちにまずは戸隠神社に向かうことにした。

道が空いていて雪もないので気持ちのいいドライブである。ラジオでは悩み相談とラジオショッピングが交互に流れていた。心配事と購買意欲は不変なのだ。

戸隠神社奥社

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車道にはまったく雪がなくて快適でした。

つづら折りの道をえっちらおっちら(車で)登っていくと、急にスキー場みたいに道の両側に雪の壁が現れる。

注意していないと見逃しそうになるけれど、ここから先が戸隠神社奥社の入口とのこと。

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入口、と書かれているけどそれらしきものが見当たらない。
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と思ったらこの先でした。

今年は雪が少ないとはいえ、山間のこの辺りはまだまだしっかりと積もっていた。

スニーカーでも歩けないことはないけれど油断すると滑って転ぶ。

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ここでスニーカーで来たことを後悔したけど、このあともっと後悔します。
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すっごい滑るから(でも歩けないこともない)。

実は戸隠神社には夏にトレイルランニング(山の中を走る競技)で来たことがあったのだけれど、あの時は雪がなかったし夜だったので周囲の景色にほとんど見覚えがない。改めて歩くとこんな荘厳な神社だったのか。

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「入口」という看板のあとにこの鳥居があるので、なるほど入口ですね!と思うけれど、横の案内板を見ると「この先2キロ」と書かれていた。に、2キロ??

2キロくらいならたいしたことないと思うだろう。しかしここは雪深い森である。慎重に足を置かないと埋まるか滑って転ぶかする。

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この雪道を2キロ歩く。

これはちょっとした体験だった。周りには樹齢数百年はあろうかという杉の大木、足元は雪、遠くに青空。普段ならば観光客でにぎわっているのだろうけど、今は本当に誰もいない。

そんな道を、ひとりまっすぐ歩く。

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1キロくらい歩くと荘厳な山門が現れる。

途中でスノーシューを履いてストックを持った外国人の集団が枝道から出てきた。僕がスニーカーでカメラ片手に走っているのを見て(時間がなかったので途中から走った)「ワッツ!」「マイガー!」と言っていた。

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山門からさらに1キロ歩く。

雪道をさらに進む。

雪が音を消しているのか、自分の足音しか聞こえない。ザッザッザッ。たまに風が杉の木の上の方の枝をゆらして雪のかたまりがずさーっと落ちてくる。

前にも書いたが僕はトレイルランニングという山の中を走る競技が好きで、たまに鎌倉や箱根の山を一人で走っているのだけれど、あの競技の面白さは速くゴールすることだけではないと思うのだ。

もちろん競技としてスピードを競うのは一つの目的なんだけど、それよりもきっと、山の中で一人になりたいのではないか。少なくとも僕はそれが大きい。

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つまりこういうことするのが好きなんだと思います。

冷たい空気の中を小走りで走っていたら、体の中にたまっていた空気が外の空気と入れ替わっていった。

今年はトレイルランニングのレースが次々と中止になって練習するモチベーションも失っていたんだけど、帰ったらまた頑張ろうと思った。

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だってたまに木々が途切れて視界が開けるとこの景色である。

こうやって意図しないところで突然前向きになれることってあるのだ。これが神社効果だろうか(そんな効果あるのか知らないけど)。

そんなことをつらつらと考えながら2キロ歩く。

そろそろ自分がどこに向かっているのか忘れかけたころ、戸隠神社奥社が現れる。

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最後にかなり急な上り坂をクリアすると、戸隠神社奥社にたどり着く。

戸隠神社は奥社・中社・宝光社・九頭龍社・火之御子社の5つの神社が集まっていて、どれも由緒正しくそれぞれに意味合いがあるらしい。

今回は中でも最も山の中にある「奥社」にやってきた。

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冬ならきっと全体が雪に埋まっているのだろう。
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雪深いため賽銭箱はしまわれていた。それでみんな工夫していろんな場所にお賽銭を置いているのだ。

みんな山道を2キロ登ってくる間、お願いしたいことをいろいろと考えていたのだろう。

しかしたどり着いたらお賽銭箱がない。でもメッセージは伝えたい。お賽銭の置かれ方に、そんなひとりひとりのストーリーが想像できて面白かった。

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115円。いいことありますように、だろうか。
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ご縁。
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ギターのピックと共に。ミュージシャン志望なのかもしれない。

ところで、山というものは登ってきたからには自分の足で降りなくてはいけない。そしてご存知のとおり、雪道は上りよりも下りの方が圧倒的に怖い。

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このくらいの高低差を滑り降りることになります。
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スニーカーだともちろん転ぶ。転ぶというか、ほぼ尻で滑りながらでないと降りられないです。
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ここまで来る人たちはだいたいスノーブーツやストックを持っていました。

何度も転がりながら入口付近まで帰ってきたところで、これから奥社へ向かおうという女性に写真を撮ってくれないかと呼び止められた。彼女も僕と同様、スニーカーで来てしまったようだ。

奥社まで行けますか、と聞かれたので

「行けるには行けます、ただし帰りは覚悟が必要です」と正直に答えた。

彼女はすこし表情を引き締めて奥社へと向かって行った。無事だといいなと思っています。

その彼女がこちらに来る前に食べてきたというそば屋を教えてくれた。

 

このあと行ったそば屋が最高に美味しかったです。
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