特集 2019年10月19日

中国製品にありがちな怪しい日本語の達人に学ぶ、そのコツ

怪レいと書いて怪しいと解釈する

変な日本語が大好きだ。嫌なことも忘れられる。

中国やタイなどに行くたびに、変な日本語の商品を探してしまう。見つけては撮りため、毎年のようにその変な日本語コレクションを記事にしている。

でも実は年々、編集者の校正が入るかのように、変な日本語商品は減っている。絶滅しつつあるそれらを見つけては、感動して商品を衝動買いし、変な日本語の部分を遠くから近くから様々な角度から撮影する。見つけて写真を撮っている間はなんとも至福の瞬間だ。

そんな絶滅危惧の変な日本語だが、日本にもそれを生み出す名人がいる。ツイッターの「中國の怪レい日本語bot」というアカウントで、変な日本語によるツイートを次々と生み出している。開設後フォロワーが急増し、1年間で2万人ものフォロワーを抱えるようになった。そんなに変な日本語市場は大きかったのか!と驚いてしまう。

ずっと変な日本語を収集してきた僕から見ても、中国でありそうな微妙な日本語を次々に生み出す「中國の怪レい日本語bot」さんは、夢の変な日本語製造工場であり、変な日本語商品界におけるバーチャルリアリティ(VR)である。バーチャルリアリティは本来そういう意味ではないけど、僕の中ではバーチャルリアリティだ。

そんな「中國の怪レい日本語bot」さんにインタビューすることができた。

変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

前の記事:食材は外国食材店で調達する「無国籍バーベキュー」

> 個人サイト 旅ライターユニット、ライスマウンテンのページ

怪レい日本語中毒者続出

中国の怪レい日本語botさんについて紹介したい。

彼は独特のフォーマットでツイートしていく。まずは見てほしい。その味が伝わるだろう。

怪レい日本語の要素が詰まっている

怪レい日本語から正しい日本語にするとこうなる。僕らは自然とこう解釈してる。

先生「暴走する卜口ッコの軌道上に5億人の作業員がいる!」
学生「大変だ!」
先生「分岐器を作動させると卜口ッコは別の起動に入ってゆくが、その先にも1億人の作業員がいる!」
学生「危険だ!」
先生「この場合、貴様はどのような選択しますか?」
学生「人民の力で卜口ッコを停める」

特徴はこんな感じだ。

・登場人物が多い
・しがレになり、るがゐやゑになる
・漢字は簡体字になりがち
・勢いがある
・「大變た!」「貴樣」が定番ワード
・わりと丁寧
・中国愛にこだわる

 

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中国で見かける天然の変な日本語も、簡体字になりがちで味わいがある
記事「中華的天然日本文」より

「大變た!」「貴樣」「しなさい」あたりが特に定番ワードだ。「貴様」は中国人学習者からみると貴の様なので失礼ではなくむしろ良よさそうな響きだし、アニメやゲームでもよく使われるので、あなたというべきときに貴様と中国人日本語話者は結構いる。

さらに、これにハマり、ツイッターでこれらの言葉を使いだした人が、中国の怪レい日本語botさん以外にもわらわらいる。大變た!

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日本語の表記がおかしくなっている怪しい日本語が主。こういう根本的に違うものは別ジャンル。
中国の間違ってる日本語コレクション」より

そんな中国の怪レい日本語botさんが、中の人は非公開で、ということで話に応えてくれた!大變た!!

対談は最初は原文のまま掲載する。後半に日本語版も載せるので、まずはじっくり解読するつもりで読んで、あとで答え合わせをしてほしい。

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貴様の名前はなんですか?

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記事「変な日本語の映画パッケージ」より

 

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記事「中国のダサカッコイイ変な日本語」より

 

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記事「メイソウする中国の変な日本語」より

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記事「中国で見つけた新時代の変な日本語」より
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正しい日本語はこちら

それでは答え合わせをしていこう。カッコの中に正しい日本語を書いておく。くわえて、中国の怪レい日本語botさんの文章(「正レい日本語」としよう)のポイントもあわせて解説しよう。

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【正レい日本語のポイント】
・漢字が簡体字にときどき置き換わっている(太字部分)
・「ン」が「ソ」に、「ソ」が「ン」になる
・本来あるべき濁点がなくなったり、無駄についたりする
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記事「中国の微妙に怪しい日本語」より
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【正レい日本語のポイント】
・るが「ゐ」や「ゑ」になる
・「ごラてい」にように、「う」が「ラ」になっている
・命令形のとき極度~(しなさい)を使う(これは中国の変な日本語というより、Superdryにちなんだギャグ)
・中国人が集まる西川口を引き合いに出す(これも)
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記事「中国対タイ変な日本語対決」より
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【正レい日本語のポイント】
・言語とレて怪レい日本語のように「し」を「レ」にして書いていまう
・大変によぃのように捨て仮名(小さい文字)を活用する
・フロワーのように、捨て仮名(小文字)がいえないときもある
・長音表記「ー」が「|」になることもある
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記事「中国の変な日本語2013」より
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【正レい日本語のポイント】
・そねでよぃのかのように、「ね」と「わ」と「れ」が混同する


貴様は読ぬまレたか?変な日本語をこれからも極度使用(しなさい)

訳:読めましたか?変な日本語をこれからも使用しましょう


極度追い込み(しなさい)

想像はある程度していたけど、想像以上のハオい回答を爆速で返してくるのだ。日本語入力環境も相当に洗練されて怪レい状態になっている。

その背景として、中国の怪レい日本語botさんにしろ、そのファンの方にしろ、仕事なり勉強なりで自分を追い込んだ反動があるようだ。中国や中国語に極端に打ち込むと、反動でそれとは真逆に振れた芸術ができあがる。新ジャンルを生み出すには平時から真面目なことに精進してこそ、なのだ。

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バーではバーボンを飲んでいる。
八゛一ホンにはピヌ夕チ才があう(バーボンにはピスタチオがあう)
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