特集 2025年4月8日

トルコのめちゃくちゃ小さい水餃子・マントゥを手作りする

「トルコにはスプーンにたくさんのるほど小さい水餃子がある」・・・そのことを知った私は、腰をぬかしました。「餃子はでかけりゃでかいほどいい」としか思ってなかったからです。

トルコの小さい餃子を味わうため、自分で生地から作って包んでみました。これまた腰ぬかすほどの体験が待っていたのです・・・

大阪で生まれ育ちました。工作と漢字が好きです。チェキで盆栽を撮影したり、豆腐を千切りしたりしています。

前の記事:たのしく罠にかけよう・かけられよう『スポーツ罠』

> 個人サイト 唐沢ジャンボリー >ライターwiki

「小さい餃子」の衝撃

ある日『世界まるごとギョーザの旅』という本を読んでいたところ、

トルコの「マントゥ」という餃子が紹介されていました。

その本によると、マントゥはスプーンに何個ものってしまうくらい小さい水餃子なのだとか。

小さなマントゥを手作りすることで、「手先が器用で料理上手」ということをアピールできるのだそう。

「普通の大きさの餃子」もしくは「ジャンボ餃子」しかない私の餃子世界。とんでもなく大きなショックを受けました。

私はかわいくてちんまりした「手まり寿司」を見ると、

こう戦々恐々するような「はらぺこどケチ」です。

なので、「食べ物を小さくする」という発想そのものがありませんでした。

「餃子を小さく!?な、なんでそんなことするの!?」という驚きより、「小さい餃子をつくる」というアイデアが浮かばない己の了見の狭さに頭を殴られたのです。

何十年経っても、自力ではどうがんばったって「小さい餃子」なんて思いつかなかったでしょう。

小さい餃子を作る営為とは・・・そしてその味わいとは・・・概念に衝撃を受けた以上は、体験して血肉にしていかねばなりません。

 

いったん広告です

ご自慢の「手先の器用さ」

大きい本屋さんで『世界三大料理の魅惑のレシピ 改訂版 家庭で作れるトルコ料理』(荻野恭子、河出書房新社、2020年)を購入
ばっちり「マントゥ」がのってました!(p72-73)

ここでも「小さな水餃子」と紹介されておりますね。

他の本やサイトで調べた感じ、トルコの中部にある都市・カイセリで有名な食べ物らしく、カイセリ・マントゥと表記している場合もありました。

薄力粉と強力粉、皮から手作り
綿棒(菜箸で代用)で広げていきます

つづいて餡を作っていきます。

ここはこだわって羊のひき肉をアジア食材店で購入。
パセリのみじん切り、すりおろし玉ねぎと一緒に混ぜていきます。

「へ~、玉ねぎはみじん切りじゃなくてすりおろしなんや~」とひとまずレシピのいう通りに。この後、すりおろす理由を真に理解することになるのです・・・

いったん広告です

見たことのない調理過程

さて、ここまでは普通の餃子とだいたい似たような作り方ですが、

この生地を、
2cm幅に縦切り、

さらに、

2cm幅に横切り・・・

私の知ってる餃子レシピから分岐し、パラレルワールドへの突入が始まりました。

そして・・・!

2cm角の生地に餡をちょいのせしていきます。

みんなでわいわい包む餃子パーティーではお目にかかれない作業工程がスタート。パティシエのような精密作業です。買っててよかったピンセット。

ひき肉の餡はピンセットに絡みつくので、二刀流がおススメ。

 

のせました


どこか「算数」を彷彿とさせますね・・・トルコの中学受験では「マントゥ算」とかあるんでしょうか。(あと、なんかアメリカの選挙の図っぽいですね)

 

いったん広告です

餃子の小ささは有限か

それでは包んでいきます。

ち、ちっさい・・・!
貯めるとお皿と交換できるポイントのシールくらいの大きさです。(あれすぐどっかいきますよね)

日本でよくみられる餃子の包み方とは異なり、

対角を合わせ、

 

もう一方の対角も合わせて形を整え・・・

 

こんな感じ

作っている間、「小さい・・・」もしくは「私、でかい・・・」という感慨しか沸き上がってきませんでした。

これを少数の人が一時的な企画として作っているのではなく、トルコのカイセリでわりあい一般的なのがすごいです。
 

いったん広告です

「小さい餃子」の衝撃②

冒頭で「小さい餃子」なんて発想が自分の中になく、どでかいショックを受けたと書きましたが、それに似た衝撃を大学時代でも受けました。

落語研究部時代、みんなで「次の冬に開催する落語の寄席(公演会)のタイトル」を考えていたときのことです。

「冬にちなんでいたほうがいいかなあ」と「こたつ寄席」や「師走寄席」といった候補が出る中、

ある同期がホワイトボードに書いた候補は、
「🍎りんごほっぺ🍎」でした。

「〇〇寄席」というフォーマットを脱ぎ捨てた、およそ寄席には似つかわしくないこのネーミングに、私はとんでもなく大きな衝撃を受けました。

「私が4、5回生まれかわっても、こんなん思い浮かびっこない・・・」と完全に敗北したのです。(結局、「寄席だということがわかりやすい方がいい」という理由で、「こたつ寄席」になった)

うまく伝わったかどうかはちょっとわかりませんが、「小さい餃子」は「🍎りんごほっぺ🍎」と同じくらいかそれ以上のインパクトを私にもたらしました。

⏩ 「1センチくらいのマントゥを作る」という爆弾記述

▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

katteyokatta_20250314.jpg

> デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ