飾り切りかまぼこの美味しさ
かまぼこの飾り切りっていう文化がありますよね。お正月料理や、おそば屋さんの板わさで出てくるような、ただスライスしただけではなくて、いろいろと意匠を凝らした切りかたの。
僕は常々、あれって見た目の華やかさもさることながら、食感に変化が生まれるのがいいところだよなと思っていたんです。切りかたによって、舌に当たる感触や、噛んだ時のほぐれ感などにリズムが生まれる。また、表面積が増えることによって、醤油などの味が絡みやすい。それにより、美味しさが増す。
当然、家でかまぼこをつまみにお酒を飲む時など、なにかいい方法はないだろうか? と考えるわけですが、あまり手先が器用なほうではないので、複雑な切りかたはできません。なんてことを、ずいぶん前から、ほんのりと考えながら暮らしていたんです。
そんなある日、100均に行った時に「白髪ねぎカッター」という商品を見てひらめきました。

本来の用途は、ねぎを細長く刻んだ「白髪ねぎ」が手軽に作れるというもの。ただ、その形状からして、こいつがあれば、包丁ではとうてい無理なレベルの繊細な切り込みを、かまぼこに入れることができるんじゃないか? と。うまくいくかどうかはともかく、やってみる価値はあるんじゃないかと。
さっそく思いついた方法を試してみましょう。
まずは板つきのかまぼこに、縦に切り込みを入れていきます。この時、下の板には刃がつかないように。

続いて、包丁でなるべく薄く、横にスライスしていきます。この時は、刃が板につくまでしっかりと。

最後に包丁で板から外すと、1枚1枚が極薄で、しかも無数に切り込みの入った、なんとも形容のしがたいかまぼこが誕生。わさび醤油をかけてがーっと混ぜて食べてみたところ、これが想像以上にいい!

美味しくて便利なヒラヒラかまぼこ
というようなことを、先日何気なくXに写真を投稿したところ、若干の“おバズ”を頂戴しまして。
100均で売ってる白髪ネギカッターでかまぼこの表面に切り込みを入れた後、なるべく薄くスライスして板から外し、わさび醤油をかけて思いっきりかき混ぜたやつでも食ーべよ。 pic.twitter.com/gtWMICIY33
— パリッコ (@paricco) February 28, 2025
話題になることなんて想像もしてなかったので自分でもびっくりしたんですが、逆にそれだけみんな、実はかまぼこの食感に興味があったんだ、と嬉しくなったのでした。
以来気に入って、よく作って食べています。そしてこのヒラヒラかまぼこ、そのまま食べるだけじゃなくて、料理の食材としても優秀なんですよね。
特に好きなのは、冷蔵庫にある食材をなんでも刻んで納豆に混ぜる、家晩酌のつまみの定番。

ぐっと華やかさと食べごたえが出て、酒のつまみに良し。ごはんにかけても良し。
また、中華風の炒めものなんかもいいですね。


きれいな紅白がソースの色に染まってしまいましたが、ぷりんぷりんとした食感がとてもいいアクセントなります。
ところでしばらくの間、先ほどのXの投稿に「〇〇にも使えそうですね」みたいなリプライや引用RTが頻繁に届いておりました。なかには、それ、ぜひまねしてみたい! と思うものもちらほら。
そこで今回は、白髪ねぎカッターをかまぼこ以外にもあれこれ使い、そのさらなる可能性を探ってみようと思います。結論から先に言ってしまうと、めちゃくちゃ楽しいです! 白髪ねぎカッター。
あ、念のため、これから紹介する使用法は特にメーカーが推奨するものではく、全て自己責任で行っています。
その前に注意点
と、本編に入る前に、白髪ねぎカッターには失礼な話なのですが、いろいろと使ってみて感じたデメリットを3点ほど先にお伝えしておきましょう。使用にあたって注意したほうがいいと思う、大切なポイントなので。

1)見た目がこわい
ごらんのとおり、鋭い刃がずらりと並んだ見た目が、ちょっとこわいです。本能的に苦手だと感じる方もいるかもしれません。そういう場合、無理して使うのはやめましょう。
2)慣れるまで取り扱いに注意
独特の形状ゆえ、最初から手になじんだ包丁のように使える道具ではありません。使用の際は、刃が向かう先に指などを置かないよう、じゅうぶん注意しましょう。
3)洗いにくい
我が家では自己責任で食洗機にかけてしまってますが、どう見ても洗いにくいですよね、この形状。「キュキュット CLEAR泡スプレー」に代表されるような、スポンジの届かない箇所に使えるスプレー式の食器用洗剤を使うのがいいでしょうか。
以上です。ここにさえ注意しておけば、あとは楽しいだけの道具!
冷奴に醤油を染み込ませよう
さて、まずは豆腐。というのもXのリツイートで「これ冷奴に格子状にやったら味染み込まない問題解決するんでは?!」とコメントをされていた方がいたんですよね。
なるほど、そういえばかつて当サイトに書かせてもらった「冬の海を見に行くだけの旅」という記事のなかで出会った、中華料理屋さんのピータン豆腐。

その繊細な切り込みの入れかたに感動したもんですが、再現できるかも!
さっそくやってみましょう。

意外にも気持ちよくスッスッとはいかず、慎重にやらないと写真のように、豆腐が崩れてしまいます。自分がまだまだヘタクソだからか、木綿でなく絹ならばまた結果が違ったのか。
けどまぁ、


ひとまず、醤油がめっちゃくちゃ絡んでることは間違いない。
で、みなさん、もうすっかりお忘れかもしれませんが、この白髪ねぎカッターという道具、白髪ねぎを作るのにも適しているんですよ。

と、薬味も用意して、完成。

見た目的には改良の余地ありですが、おつまみ的には超アリです!
