2019年7月23日
小学校中学校時代の学校の勉強は、もちろんわくわくすること、楽しいこと、前向きな刺激を受けることはとても多かったが、同時につらく、苦しく、悔しく、難しく、そしてめんどくさいものでもあった。
特に私は成績の悪い子どもだったのでがぜん勉強に対しては後者の感想を持っていた。
だがどうだろう、大人になってからずいぶん「勉強」というものへのイメージは変わったように思うのだ。
とくに義務教育レベルの勉強だ。ほとんど「あるあるネタ」のように接しているところがある。
国語・算数・理科・社会。いま、時間割を組んで酒でも飲みながら勉強したら、これはもう相当に盛り上がってしまうのではないか。
つまりやりたいのは「勉強を肴に酒を飲む」、これだ。
いま必死で勉学をすすめている子どもたちはふざけるなと思うかもしれないが、どうかゆるしてくれまいか。私たちはもはや老いゆく一方なのだ。
老いに免じてたがのはずれを大目に見てほしい。
ルールは以下のとおり。
・国語 算数 理科 社会の時間割で会は進行する
・ひと枠30分
・時間割にそった科目の話以外はしてはならない
・各科目ごとに適宜参考書を用意する
・酒と肴は自由にオーダー可
最初に結論を言うと、これがはっちゃめちゃに盛り上がった……！
時事ネタや共通の知り合いの話題、最近どう？ からエピソードトークなど、いわゆる一般的な飲み会の話題が完全に禁じられ、勉強の話しかしてはいけないというのは、実はものすごく気が楽だった。
参考書をめくり目についたもので心当たりのあるものを口にするだけでわっと場が盛り上がる。
そう、キーワードは圧倒的に「なつかし～！」だ。
級友を思い出すように、かつて学んだワードを思い出す。級友だったらクラスメイトでないと共感は得られないが、義務教育時代になんとなく授業で聞いたワードはかなり共感度が高い。
同窓でもないのに同窓会みたいな空気になるのだ。
具体的にどういう盛り上がりがあったのか、ここから当日の会話を振り返っていきたい。
2時間超の飲み会の書き起こしのよりぬきなので、こんな感じなのだなという雰囲気を感じていただきつつ飛ばし飛ばし読んでいただければ幸いです。
古賀
はい！ そういったわけで1時間目は国語です！ いまから30分間、国語の話しかしないでください。
小学校のときの1時間ってたしか45分……だったと思うんですが、今日は4時間目にたどりつくまでに泥酔しててもまずいので、30分で区切ります。
乙幡
泥酔の心配がある時間割……。
古賀
適度に飲んでいきましょう！ では、よろしくおねがいします！ 乾杯！
乙幡
チャイムが乾杯なのか！
時間割飲み会 1時間目国語 やってみて分かったこと
・乾杯はチャイム
古賀
資料として持ってきたのはこれ。「国語便覧」です。
自宅になぜか9歳年下の弟が使ってたやつがありました。中学で配られたやつじゃないかな。
古賀
国語便覧、好きなんです。たまらないポイント多いですよ。
西村
いいですよね。大人になってから何冊も買いました。
乙幡
ああっ、鳥観図！ これは……ずっと見ていたい。
西村
古文に出てくる言葉の解説ですよね。
古賀
こういうのもいいですよ。古典の重要な文学がまとまってます。
乙幡
国語って俯瞰できないんですよね！ これはいいなあ。
古賀
ここも見てほしい、「派」が全部わかるやつ！ 白樺派とかそういうの、第三の新人とか。
西村
いまナントカ派ってないですね。
林
馬込文士村みたいのあこがれますよね。
西村
そういうの、まさにネットのコミュニティになってるんですかね…。
林
デイリーポータルZは記事にまとめ枠があるじゃないですか。あれ自然主義に反すると思ってたんですよ。現実にオチなんかないじゃないですか。ぼそっと終わりたい。
「ハトのヒールができた。あした履こう。」で終わる
西村
詩だ。
西村
ここいいですよ！ 物価がわかる。昔の小説読んでると、物価が分からないんですよねえ。
林
海外文学は出てくる鳥と魚の名前がわかんないですよね。クロカササギとか急に出てくる。
乙幡
植物の名前もわかんないですよね。
古賀
わからないからかっこよく感じるのはありますね……。地名もわからないじゃないですか。「大森に行った」くらいの感じで書いてるかもしれないけど、なにかすごくおしゃれに聞こえるというか。
西村
その土地に行くこと自体に意味があったりすると汲めないんですよね
林
貴族が住むような土地だとか。「失われた時を求めて」にそういうの出てきてわからなかったんですよね。
西村
コンテクストがわからないと、そういうの多いんですよねえ。
古賀
「国語便覧」はそういう部分の橋渡しをする資料なんでしょうね。
林
志賀直哉の「城崎にて」って山手線に頭ぶつかるところからはじまるんですよね。
一同
へー！
林
それで重症負って。
西村
療養に行く話ですよね
林
あらすじ、こう書いてありますね
>偶然投げた石でいもりを殺してしまう。生と死の近さを思う。
古賀
情緒の量が異常なことになってますね。「城崎にて」ってそういう話だったのか。
古賀
ちなみに作家コーナーは戦後から顔がカラーになります。
西村
お、井伏鱒二。めちゃめちゃ長生きですよね。
乙幡
太宰治の媒酌人ですよね。すごく昔の人かと思いきや没年1992年。95歳で亡くなってますね。
時間割飲み会 1時間目国語 やってみて分かったこと
・作家の顔が見られると興奮する
林
あ、大江健三郎。「死者の奢り」は読みましたよ。死体を水槽に移すみたいな話だったかな。
古賀
小説って変わったの多いですよねえ。
林
そうそう、変わってるんですよね。
時間割飲み会 1時間目国語 やってみて分かったこと
・若いころは困った小説というものの元来の変わった表現をおもしろがれる
西村
あ、向田邦子。向田邦子は変わってない方の文学ですよね。面白いですよねえ。
林
辻仁成載ってる！ お、湯川秀樹！
古賀
つい見たものをそのまま口に出してしまいますよねこれ……！
時間割飲み会 1時間目国語 やってみて分かったこと
・書いてあることを見たままに口に出すだけで盛り上がる
乙幡
これもう風呂場で読みたいなあ。半身浴に最高。
古賀
あ！ 30分です！ 国語の時間は終わりです。
はい。一時間目は国語でした。ありがとうございました。
一同
ありがとうございました！
時間割飲み会 1時間目国語 やってみて分かったこと
・「国語便覧」はおもしろい
乙幡
……国語楽しかったですね……。
古賀
よかったです！ しかし2時間目の算数はどうなるかな……。
どういう参考書が盛り上がるかなと思ったんですが、これを買ってきてみました。
西村
算数って、おもしろいんだろうなあという予感はしますよね。
好きな人が算数のこういうところがおもしろいんだよと説明しているのを聞くとなるほどなあといつも思う。
乙幡
そう！ひしひし伝わる
古賀
おもしろオーラはちゃんとまとってますよねえ、算数。
西村
しかし頭がいいってつまり算数ができる、みたいなイメージあるのなんなんすかね!?
古賀
急な怒り。西村さん国語と社会大好きだから。
林
文章題を読みましょう！ せめて。
乙幡
お、兄と弟のコーナーありますよ。
古賀
（2）に、姉と妹もいるじゃないですか！
乙幡
新機軸だ。
林
このきょうだいたちのお父さんは同一人物ですかね……。
古賀
情緒を掘り始めた。
西村
嫡出子か非嫡出子か。
乙幡
それによって計算への没入度変わりますね。
古賀
……ええと……。帯分数ってなんでしたっけ？
飲み会だと勉強の話も気軽にわきの甘いこと言えていいですね。
乙幡
用語ほんと忘れてますよね。
西村
帯分数って5と2分の1、みたいなやつですよね。
林
5か2分の1、じゃないの？
西村
むかしは「か」だったんですよ。今は「と」。
林
「か」じゃないの!?
乙幡
私「と」で習いましたよ。
古賀
わたしも「と」でした。
西村
ぼくは「か」だった。でも子供が「と」って言うなあって。
古賀
ピーター・グリーナウェイの映画で「8 1/2の女たち」ってあるじゃないですか。あれ「はっかにぶんのいち」読みですよね。それで「か」のほうがかっこいいなあと思った覚えがあります。
林
でも「と」ならわかるけど「か」は分かんないですね。
乙幡
「か」って「or」ですもんね。
西村
国語の話になってきた。あ、でも算数は最終的に国語ですよね。計算って言語じゃないですか。言葉の操作なんですよね結局は。
林
よく比喩で「最大公約数」とか「最小公倍数」って出てくるじゃないですか。あれいつもどっちがどっちか分からなくなるんですよね。
乙幡
人が使っているのを聞いても間違えてるような気がしたり……。
西村
最大公約数は、割れる数のうち一番大きいやつ。
乙幡
最小公倍数は、それぞれの倍数で一番小さい値。
林
たとえば俺と西村さんのやりたいことの最大公約数的なところで……みたいな使い方ですかね。
古賀
よくわかんない比喩はもう使わないほうがいいんじゃないですかね……。
林
俺もいま、もうこれ使わないほうがいいなと思いました！
古賀
算数用語って、でも確かに比喩でよく出てくるんですよね。X軸的とかY軸的とか。あれも横？ 縦？ みたいに分からなくなる。
林
文系の悪い癖ですよね。無理やり自分側に持ってこようとする。
乙幡
虚数とか使うよね、わかってないのに。
古賀
2乗とか。
乙幡
べき乗とか。
林
100％じゃない、120％の力で！ とか言い出すと急にばかっぽくなりますね。
西村
「120％大丈夫です！」
古賀
信用ならん！
林
あ、並べ方！
乙幡
並べ方だ、やったなあ。
林
おお「場合の数」だ。
乙幡・古賀
場合の数！
古賀
うわ～～、場合の数！ ありましたねこのキレキレの用語が。
乙幡
「場合の数」ってネーミングすごいよね！
古賀
言葉が独特なんですよね、算数用語。そりゃ比喩にも使いたくなるよなあ。
林
スナック開きたいですね。スナック 場合の数。
乙幡
場合の数だけ愛があるから、とかいってね！ ママが。
林
算数の話をしてたらスナックが開店しましたね。
乙幡
日替わりでママやりましょう。「古賀の場合」、「乙幡の場合」。
古賀
90年代のフランス映画みたいだ。
西村
思うんですけど、反比例ってなんですかね？ そんなことある？
林
魚を切る数と重さ？ とか？
西村
なるほど…薄く切る、切れ目の数が多いほど、重さは軽くなる。
古賀
魚は適度な厚さに切ったらいいよ。
西村
つい「そんなことある？」っていちゃもんつけちゃうんですよね。
林
そういう子だったなあ…。
古賀
はい、といわけで、ここで算数の時間が終わりました。
乙幡
もう終わりですか！
西村
分からないなりに盛り上がりましたね。ありがとうございました。
一同
ありがとうございました
古賀
3時間目は理科です。で、すみません私が理科がとにかく苦手なもので内容の易しいものを選んだら小型の本になってしまって。
林
わはは、小さい
古賀
ちなみにさっきの算数は小学算数の本でしたが、これは中学理科の本です。
ワードを覚えるための本なので、理屈が細かく書いてなくて良いんですよ。
乙幡
圧力か、物理だあー。
西村
わりあい当たり前のことだけど理科的な言葉で書いてあるとぐっときますね。
古賀
もちろん浮力もあります。
一同
おお～
古賀
「おお～」ってなりますね、なんか「出た～～」みたいな。
林
乙幡さん天文部でしたよね。
乙幡
そうですそうです。コタツにはいって流星観測しましたよ。学校の屋上で。
東西南北で別れて、何等星東から西へ……みたいな。
乙幡
で、記録係が星図に書き写して、シンポジウムで発表しました。布団から業者から借りて、楽しかったですよ。
西村
なんだそれは。最高じゃないですか。流星観測したい……！
林
文字だけでもうエモい。流星観測。
西村
そうか、宇宙も理科、天気も理科か。
古賀
人体だって理科ですよね。理科はびっくりするほど世の中のすべてを掌握しようとしてるんですよ。
植物、生物、地学、物理、化学ぜんぶ理科。
地球作ろうとしてんのかな？ って思いますよ。理科は。
乙幡
数学が陰であやつってて、理科が支配しようとしてるんですよね。
古賀
いっぽう国語の支配への関係のなさ！
林
白樺派、とか言ってね。
古賀
山手線に轢かれて怪我して。
林
石投げてヤモリ殺してしょんぼりしてる。
古賀
愛おしいな。
古賀
生物の学びとか量も質も異常ですよ。執拗に知識を与えんとしてくる。
そこから胞子が出るんだ～とか。そこまでの地球の営みの事実をすべて知って、いったいどうするんだ。作るのかシダ植物を。
古賀
世の中どこ探しても理科だけですよ、シダ植物を必修にしようとする人は。
乙幡
えっ、胞子とかあの辺の植生好きですよ私は。
西村
古賀さん理科苦手すぎですよ（笑）。
古賀
こうやっていちゃもんつけて、いま最高に楽しいです。
乙幡
ああ、いちゃもんが無害ですね。
西村
呼吸するやつありますよね、なんだっけ。葉っぱの裏についてるやつ。気孔！
林
見えるのかな、気孔。
西村
肉眼でね、今度見ておこう。そういうことをしなきゃいけないですよね。気になったらちゃんと歩いて行って目で見ると。
古賀
西村さんの学ぶ態度だ。「行って目で見る」。
林
実体顕微鏡ってのがあるんですよね。欲しいんですよ。プレパラートにはさまなくても見える。ニコンのは高いみたいなんですが。
西村
それはいいなあ。
古賀
これやりましたよね、実験。
西村
光合成の実験だ！
古賀
ふ入りの葉を一晩暗室に置く……。
乙幡
おなじみの実験は良いですねえ。
古賀
あるあるならぬ、やったやった、ですよね。
西村
あ、遺伝！ ニュースで見ましたよ。優性遺伝・劣性遺伝という言い方は“優劣”というのが誤解を与えるから、顕性遺伝・潜性遺伝って呼び変えるって。
乙幡
いまごろ！ という気もしますね！ 時代が変わらないと言葉も変わらなかったんですね……。
そういうアップデートほんと知らないからためになるなー。
林
作用反作用いいですねー！ これやりたいな。会社に台車ある。
古賀
上の慣性の法則はこないだ記事でドローンでやってたやつだ。
乙幡
そういうの真面目にいちいち全部再現して一旦納得するのはありかもしれないですよね
林
昔トイレでよっぱらってボタンを押して倒れそうになったとき、作用反作用だ！って思ったんですよね「これが、あの！」って。
古賀
わ、視野の広さの図も良い。理科の参考書良いな……。
西村
比喩じゃないほうのガチ視野が狭いだ。
林
立体に見えるところもあって、なおかつ平面で見えるところもあるんだ。
西村
爬虫類とか哺乳類の違い、いいなあ。呼吸の方法と、生まれ方と。
林
そうだ、月って地球のどこからでも同じように見えるんでしたっけ……。いつも分からなくなるんですよ。
古賀
天体ってちょっと回りすぎてるんですよ。自分も回るし人も回るし全体も回るし。回りながら回ってるでしょうだって。
乙幡
なんなら太陽系も銀河系も回ってますからね……。
林
おれ、模型買いますわやっぱり。あれ買わないとわかんないわ。
古賀
ここにアマゾンのリンク張っときますわ。
林
こんどみんなでボールもって再現やりましょう。
乙幡
強烈な光源を用意して。
古賀
はい、ここで理科の時間が終わりました。楽しかった！ 理科が楽しいなんて！
林
わかんないとこ気楽に聞けるのいいですね。ありがとうございました。
一同
ありがとうございました！
古賀
さて、最後の科目。みなさまお待ちかね、4時間目は社会でーす。
西村
資料集持ってきました。ちょっと持ってきすぎましたかね……。
林
えっ！ わはははは！ 西村さんが本気出した。
古賀
わ～！ すごい！ やったー！
西村
日本史もちょっとあるんですけど、ほとんどは世界史です。
林
ピザとビールと社会科ですよ！
乙幡
最高だ
林
社会の時間はもう西村さんの話を聞くコーナーにしましょうよ。
古賀
社会も日本史、世界史、地理、公民、ありますね。理科は世界のすべてだったんですが、とすると社会ってなんなんですかね。
西村
人間の営みのすべてですね。
いや～～～、歴史も地理も公民も全部好きなんですけど、今日は世界史の資料集ばっかり持ってきちゃったんだよなあ。地理も好きだし、公民もめちゃめちゃ好きなんですよ。
古賀
早口で言った。
西村
で、今日持ってきた資料集なんですが「わかりやすい」ってわけじゃないんですよね。教科書の流れを読んだ前提での資料なんで。
勉強するのに一番いいのはやっぱり教科書なんですよね。よくわかるんですよ。
古賀
資料集は本当にながめるもの、という感じありますね。読むというよりも眺め続けてしまうな。
西村
これどうですか。歴史の流れが表になってるんです。
林
この辺ぜんぜんわからないんだよなあ。
ハプスブルク家とか。
乙幡
なにの後なにがあったっていうのが分かるといいんですよね。
古賀
あ！ 囲い込み運動。こないだ経済史の本を読んだら出てきました。これがあの……。
西村
そうそう、そうやって、世界史って今読むと分かったりするんですよ。
乙幡
人生長く生きて補完する知識が増えてくるんですよね。ああ、あれはあのことか、みたいな、思い当たることがあるから。
古賀
子どものころはとっかかりゼロで勉強しますもんね。
乙幡
実感が全くないからね。記号が入ってくるだけだから。
古賀
あ！ リンカーンって最近「リンカン」って表記するらしいですよね。
乙幡・林
ええっ!?
林
いよいよ中央林間に近づいてるじゃないですか。
古賀
リンカーンの方から中央林間に寄せてきましたね、まさかの。
西村
人名の読みだいぶ変わってるんですよね。ナイチンゲールもナイティンゲールとか。
林
言われてみればそもそも「チン」なわけないですよね
西村
武田信玄とか源頼朝は顔が違いますよね昔と今とで。
林
足利尊氏も。
西村
足利尊氏は高師直だって言われてますよね。
乙幡
名前が出てくるなあ。受け入れるしかない。
西村
これいいですよ。
乙幡
こういうことが分かってるってのがすごいですよね。資料が残っているのが。
西村
緑の部分めちゃめちゃ増えてません？
貨幣改鋳益金だ。混ぜ物をして貨幣を増やしたんだ。
乙幡
あ、じゃあ状態としてはインフレ起こしてるってことですか？
古賀
当時のインフレとかエグいでしょうね～～！ ぞっとするなぁ。
西村
あ、ここ木綿におおきくページ割いてますよ。すごいんですよ木綿は。木綿がすごいって話をしてもいいですか？
ヨーロッパは産業革命以前毛織物で衣服を作ってて、重いし洗濯もなかなか乾かない。でも木綿って軽くて薄くて濡れてもすぐかわくし、こりゃあすごい！ ってなってイギリスでめちゃめちゃ発展したんですよ。
それが産業革命のはじまりで。
西村
一時期それで毛織物の業者が木綿を禁止させたんだけど、いや、そうじゃなくて原料を輸入して国内で生産しよう！ ってなって工場がばんばん建って飛び杼、自動織機も開発されて、当時発明された蒸気機関と結びついて、で、イギリスの国力が一気についたんですよ。世界征服の足掛かりになったんです。
だから木綿ほんとすごいんですよ。
乙幡
飛び杼ってあった、ジョン・ケイ だ。あったあった。
西村
飛び杼って織るときに横の糸を渡す器具なんですけど、それがすごかったらしくて。
乙幡
わ～！ ジョン・ケイ！ ジョン・ケイ！
古賀
わたし「ジョン・ケイ」ぜんぜん覚えないんですが、乙幡さんがうれしそうでよかったよ。
乙幡
いや、それにしても書籍としての情報量がすごい。
古賀
これ、ページに余白がほっとんどないですよね。みっちみちだし、紙ぎりぎりまで使ってる。
乙幡
罫線をこんなぎりぎりに入れるのすごいですね。余白もう2ミリくらいしかない。
林
大事な独立宣言だから
古賀
あとはこれですよね！ 醍醐味！ 諸国興亡表です。
乙幡
ローマがすごい
林
ヨーロッパって一回なくなった国があとでまた現れたりするんですよね。ポーランドとか。
こうやって見るとトルコって超名門ですよね。ペルシャも。
西村
エチオピアも名門ですよね。エチオピア帝国ってずっと独立してた。
古賀
社会科、おわる気がしない！
というわけで、大変な盛り上がりだった（自然主義に反するまとめ枠）。
西村さんのような社会科ガチ勢にピンときていなかったあれこれを丁寧に説明してもらう。わからない部分は聞く、すると理解する、わかる。
ああ、あれ勉強したなあ、という「懐かしい」という感情が、当時勉強して理解したにしろ理解できなかったにしろ沸き起こり、人との気軽な共感もある（やったよねえ、やったやった）。
そしてそこにはビールもピザもあるのだ。
こんなにわかりやすいエンタメない。
もう少し大人になったら国語算数理科社会の話しかできない店を作るっきゃないのではという気がしてきた。
各駅停車しかとまらない小さな駅の横丁にスナック開く。
名前はもちろん「場合の数」だ。
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