どっちの駅の方を見るかで景色が全然ちがう場所
ある日、東京駅から神田駅に行く用があり、電車に乗っても山手線で1駅だし、時間もあったので歩いていくことにした。

しばらく歩いて地下鉄の三越前のあたりを過ぎたとき、なんだか急に街の雰囲気が変わった気がした。

歩いていれば街の様子がだんだん変わっていくのは当然なのだけど、それにしてもすごく急な感じ。
今まであまり味わったことがない感覚だったので、これは何だろうと思い来た道のほうを振りかえってみると、

そこには高層ビルが立ちならび、急に大都会が現れた。先ほど見ていた神田駅方面とは全くちがう景色だ。
いや、さっきまで通ってきた道なので、全然急ではないはずなのだけど、目にしていた景色とのギャップが大きく新鮮にビックリする。
立っている場所は同じなのに、どっちの駅の方を向くかで景色が全然ちがう。
あっちを見たりこっちを見たりしていると、だんだん自分がどこにいるのか分からなくなる。脳が追いつかない感じが面白い。
具体的には、室町三丁目と四丁目の交差点の間のこの辺りです。
東京駅と神田駅の「雰囲気の中間地点」
さらに面白いのは、それぞれの景色が、その先にある駅の雰囲気と合っているということだ。





東京も神田も、その周りにはそれぞれの駅らしい雰囲気があり、それは一定の範囲まで広がっている。
先ほどのポイントは、そんな「東京駅っぽい雰囲気」と「神田駅っぽい雰囲気」の端っこがちょうど交わる場所だったのだ。
距離とはまたちがう「雰囲気の中間地点」。
県境などと同じく、そのちょうど中間に立っていると感じられるのはすごく楽しい。
よく見るとグラデーションがある
さらによく見ると、この雰囲気の中間地点には若干のグラデーションも感じられる。
まず分かりやすく建物の高さ。
東京駅方面から神田駅方面にかけてだんだんと低くなっている。




こういった東京駅っぽさから神田駅っぽさへのグラデーションが50メートルほどの間で起こっていることが、最初の「なんか急に街の雰囲気変わった」という印象につながったのだと思う。
もはや、ちょっとしたワープ体験だ。
駅と駅の間には、こういったそれぞれの雰囲気がまじわる場所が他にもあるのかもしれない。駅ごとの特徴がはっきりしている山手線沿いを一周ぐるっとまわり、駅間の「雰囲気の中間地点」をさがしてみた。
