サンメッセ日南のモアイ像
宮崎の日南市にはモアイ像がある。そのモアイ像はイースター島の長老会による正式な許可のもと建立されたものだという。

ちょうど日南近辺で友人たちと落ち合う予定があったので、彼らの希望のもとモアイ像があるサンメッセ日南に行くことにした。
聞く限りではサンメッセ日南にはモアイ像以外にも見るものがあるらしいが、観光全般に興味がないのでネットで調べもしなかった。※このあとしっかり興奮します

サンメッセ日南では「みらいちゃん」と「イキールくん」という、微塵もゆるくない名前のキャラクターのパネルがお出迎えしてくれる。
名前に思想の香りがして激しく萌えたが、そもそもモアイとはイースター島の言葉で「未来に生きる」という意味らしく、それにちなんだ命名らしい。
目を奪う示唆的な脇役たち
モアイ像を目指して歩いていると、リクガメの類いが柵に囲われて飼われているのを見た。


その名をスミスくんといい、太平洋が望める庭付きの一軒家に居を構えている。
食も供されていて一瞬羨ましい生活のようにも思えたが、彼の背丈だと柵に阻まれて海など見えないのだ。一方、自由に海を眺められるはずの友人はスマホに夢中である。わたしもわたしで自己へ入り込んでいる。ピューリッツァー賞のようなシーンだった。

ほかに、花をつけていないハイビスカスとブーゲンビリアがあった。

私だっていつでも綺麗にしてるわけじゃないのよと言っているようで、これも示唆的である(花が咲かない季節に来ただけ)。
サンメッセ日南、この時点でかなり好きかもしれない。
いよいよモアイ、でも逆光
歩いていくといよいよモアイ像が見えてきた。

モアイは壮大な海と空をバックにして建っており、まわりには人だかりができている。記念写真を撮る観光客が多いようだ。

ちょうど太陽が照りに照る時間で、モアイの顔はよくわからなかった。

モアイ像の前でニタニタしていると男女グループから写真撮影を頼まれて、逆光で顔の判別がまったくつかない写真を撮った。性差も分からないほどである。「みんな顔一緒スけどこれでいいですか?ウヒヒヒヒヒ」と言いながらスマホを返した。

これら7体のモアイ像にはそれぞれ恋愛運・仕事運・金運などの御神徳ならぬモアイ徳が設定されていて、まわりの人たちの様子を見るに生きた信仰が生まれている様子だった。求めるモアイ徳の像をさわったり写真を撮ったりしている。これくらいライトだと信仰も持ちやすい。
おみくじと絵馬に宗教性を感じる
モアイ像の近くにはおみくじと絵馬コーナーがあった。


おみくじはともかくとして、絵馬というのは不思議である。
絵馬はもともと生きた馬を神に対して奉納していたのがはじめで、のちに木や土でこしらえた馬を供えるようになったという。それが最終的に現在の絵馬になるわけだ。

ここの絵馬はなにに対して奉納するものなのだろうか。宗教に造詣が深い友人との協議の結果、そもそもサンメッセ日南はモアイ像を通してイースター島を遥拝する施設なのではないかという結論になった。モアイ像の裏には太平洋が広がっていて自然崇拝の趣もある。

はじめは冗談半分にこじつけをしたが、気にしはじめると宗教的な要素がやたら目に入るようになってきた。まずは上の賽銭箱である。いささか現世利益に寄せすぎている感もあるが、宗教は時代の要求に応じて変わっていくものだ。

園内マップもどこか宗教の概念図のような気がしてならない。
下方になによりも大きく描かれた太陽があり、その光線がモアイの間を貫いてサンメッセ日南全体を駆け上がっていく。そして最後にたどり着く先は「地球感謝の鐘」だという。

こうなってくると神職であるわたしと、僧侶になるための修行を積んだ経験のある友人はいよいよ大興奮である。モアイはごく一部に過ぎず、ここには深遠なるなにかが渦巻いている。パズルのピースはどんどん埋まっていく。