バームクーヘンを1個丸ごと食べると、
・輪切りするたびに断面の模様が変化して楽しい
・そぎ切りにすると見たことない断面になる
・実はクロテッドクリームが相性ばっちり
などの発見があった。まるまる1個食べたからこそ、普段と違う切り方や味変も試せて、新しい気づきがあったのだと思う。まるまる1個食べるってこと自体にもわくわくした。
ただ、1点問題があるとすれば摂取カロリーだろう。しばらくは、絶対にバームクーヘンのカロリーをググらないようにしようと思う。知りたくないので。
ゴールデンウイークの企画で、なんでもまるごと独り占めして食べて良いことになった。かねてよりおなか一杯食べたいと思っていたものがあるので、満を持して独り占めしたい。
突然だが、わたしはモソモソ系のお菓子が好きだ。
モソモソ系のお菓子、すなわち、甘食・卵パン・スコーン・バームクーヘンなど。口の中の水分を持っていく系のお菓子のことだ。
もっと言うと、モソモソ系のお菓子を、飲み物の力を借りずに自力で食べるのがすきだ。咀嚼力が常人より高いということはなく、一度にたくさん食べたら喉がつまってしまう。
だからちみちみ食べるのだ。飲み物で胃に流し込んでしまうなんてもったいない。ゆっくりたべるとお菓子の持っている味を余すところなく楽しめている感じがする。
世間にはふわふわ・とろーり・もっちりのお菓子があふれており、モソモソ系お菓子好きの肩身は狭い。それでもわたしは好きなのだ。
モソモソ系のお菓子の中でも、特にバームクーヘンを丸ごと食べるのが人生における夢だった。バームクーヘンって、扇形やバー状に切られているものが多く、丸のまま買うことが少ない。ホールで買うっていうところから特別感があるじゃないか。
バームクーヘンは中心に芯となる棒があって、その棒に生地を塗り回しながら加熱することを繰り返してあの年輪模様が作られる。
どうせならあの棒ごと買いたいなと思ったのだけど、そういうサイズのものは10人くらいで分け合って食べるのが普通らしい。
独り占めに現実的なサイズのバームクーヘンを探したところ、手ごろなものを見つけた。
16cm四方の箱に入って届いた。この箱がなんだか、「はい、誕生日プレゼント!」と言って渡すのをイメージした時にぴったりなサイズ感なのだ。概念上のプレゼントのサイズ。ひとを喜ばせるのに最適な大きさの箱って感じだ。
なかを開けるとごつごつした形のバームクーヘンが出てきた。
表面にシュガーグレイスと粉砂糖がコートされていて、手で 持っただけでさっくりとした歯触りが想像できる。もう、もう、おいしそう…!!
ごつごつとした表面の見た目のせいだろうか、それとも年輪模様のせいだろうか、人工物なのに大自然が生み出した荘厳な造形に見えてしまう。食べてしまうのが恐れ多い。
せっかくなので自然の中でバームクーヘンを食べることにした。
紙皿いっぱいの大きさだ。高さもすごい。今日の主役だ。
ピクニックに行くのにお弁当の準備はいらないんだなと気づいた。バームクーヘン一個あればね。
そしてバームクーヘンを取り出した瞬間、ハトたちがざわめきだした。あげないよ。
ではさっそくいただきます。
木こりが木を切るみたいに、バームクーヘンを立たせたまま切っていく。
難しいかと思ったが、生地が程よく柔らかかったのでうまく切ることができた。
輪切りにすると、断面ごとに違った年輪模様が楽しめて面白い。
いい感じに切れたので、頂きます!
表面のシュガーグレイスのコーティングがサクッとしてる! 冒頭でバームクーヘンのことを「モソモソ系」と呼んでごめんなさい。これはサクサク系です!ここにサクサク系のバームクーヘンもいました!!
たまごの風味、そして甘味がしっかり感じられる。おいしーい!
2枚目の輪切りを切って食べているとハトがかなり接近してきた。
まるで「だるまさんが転んだ」をしているみたいに、少し目を離したすきに距離を詰めてくる。あげないよ。
輪切りも良いけどもっとおもしろい切り方はないだろうか。
切り方を選べるのもホールで買った特権である。
そぎ切りにすると見たことのない断面になった。目がふたつあるみたい。
この切り方だと表面のお砂糖コーティングが贅沢に楽しめてよかった。
切った後の本体をアーチみたいに立たせられるのもよかった。
ピクニックで全体の1/3くらい食べただろうか。おなかがいっぱいになってしまったので家に持って帰ってきた。バームクーヘンはまだまだ残っているのでおやつの時間に味変して食べてみようかな。
モソモソ系お菓子にあう鉄板の付け合わせとしては、クロテッドクリームが思いつく。アフタヌーンティーとかでよく出てくる、スコーンについてくるクリームだ。
バターよりも脂っぽくないし、生クリームよりもぽってりとしたコクがある。あれのっけたら絶対あうだろうな…!!
予想通り相性ばっちりだ。バームクーヘンのストレートな甘さがクロテッドクリームで中和され、一段上のスイーツに昇華されている。
これはやばい。悪魔の組み合わせを見つけてしまったかもしれない。もうカロリーとか気にしている場合ではないぞ。ただの幸せがそこにはある。
決して無理はせず少しずつ食べていたつもりだったが、なんと1日でほとんど全部食べてしまった。最後は次の日の朝ごはんの代わりに食べて、バームクーヘン1個食べきったぞ~!!
バームクーヘンを1個丸ごと食べると、
・輪切りするたびに断面の模様が変化して楽しい
・そぎ切りにすると見たことない断面になる
・実はクロテッドクリームが相性ばっちり
などの発見があった。まるまる1個食べたからこそ、普段と違う切り方や味変も試せて、新しい気づきがあったのだと思う。まるまる1個食べるってこと自体にもわくわくした。
ただ、1点問題があるとすれば摂取カロリーだろう。しばらくは、絶対にバームクーヘンのカロリーをググらないようにしようと思う。知りたくないので。
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