編集部日記 2025年4月12日

人類のせいですいません(2025.4.12 朝エッセイ/伊藤健史)

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伊藤です。お疲れ様です。

配信でハリウッドのアクション映画を見ていました。
ストーリーはいたってシンプル、ヒーローが上場企業ぐらいの規模の悪いやつらをばかばか倒して世界の危機を救うといったもので、やはりラストは敵のボスと雌雄を決するのですがこれまたありがちな展開で、ボスが「私と組んで世界を支配しないか、COOぐらいのポストは用意するよ」みたいにヒーローを勧誘しはじめました。

で、もちろんヒーローは「は?何言ってんすか、ありえないっすね」と拒絶して、ボスも「あっそ、じゃもう殺しますんで」と引くぐらいの猛攻をしかけるのです。

でもそこはエンタメなので黙々とやらず、攻撃のたびに口上を浴びせるんですね。

「なぜおろかな人類の味方をするのだ」
ドカ、ボワッシュ、ズザザーン!

「やつらは自ら自然を破壊し、殺し合い、この星を破滅に導いているではないか!」
ドカ、バシ、ビシッ......

「貴様もおろかな人類と共に滅びるがいい!」

とどめのセリフだ、ヒーロー危うし!しかしボロボロになりながらも立ち上がります。
「人間にも、まだ、希望はある!」......。

そしてヒーローは一気呵成に反撃し、ラスボスを倒します。手に汗にぎるバトル、大迫力の映像美、強大な敵を倒す最高のカタルシス!......のはずが私の感情は違う路地に入ってしまいました。

「...なんか、ご迷惑をおかけして、ほんとすいません.....」

やりとりを聞いていると、一番悪いし足を引っ張っているのはまぎれもなく人類。
カメラのこっち側で傍観者となっている私は、当の人類じゃねえか。
「”まだ”希望はある」とか言われて情けない。

議論を整理しすぎたラスボスに自身のみじめさを突きつけられ、魂の涙を流したのでした。無益な争いをやめて、ラスボスに語らせない世界にしたいものです。哀しみを知ればぼくたちはもっと強く、やさしくなれる。

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ダイソーで買ったぱちんこ湯呑みで茶を飲みながら見る映画は至高。

ポジティブになったところで本日の記事いってみましょう。

ほりさんがクイズ形式のゲームで楽しみながら謎の団体「全○連」たちを学べるツールを開発しました。この記事のすごいところは膨大な調査やリライトの労力を感じさせずに超シンプルな構造でゲーム化して、「やってみたい」だけでなく「つくってみたい」とまで思わせるところ。こんなコンテンツが作れるようになりたい。

高知では大人気の”そのへんの草”、イタドリを野生味そのままにごはんにぶちこむ「イタドリごはん」、遠く高知の未知の郷土料理が埼玉で作られています。調理している玉置さんも旅をしているし、それをワクワクしながら読んでいる我々もまた、旅をしています。

トルーの描くファンタジックな日常世界はオムレツの分解です。黄身だけオムレツと白身だけオムレツ、生み出されたどちらも肯定されるやさしい世界。イマジナリー審査員もすごくいい人なのが最高です。オムレツは分解されたけど分断されたのではなく、解放されたのだと思います。

投稿記事もすごいのが来きました。動物やキャラクターを両手で作る「手遊び」のネクストステージとして、感情や概念を表現する「抽象手遊び」の提案。投稿してくれたのはなんと小学4年生!にしてなんでしょうこの表現力......。編み出したテーマから悲しみも含めた様々な感情をしっかりすくい取り、端正な言葉で提示してくる。ホープにも程がある。

週末が過ぎれば平日になってしまいますが、それが過ぎればまた週末がきます。楽しんでいきましょう。
 

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