まず「県境標がある」とはどういうことか
県境にある橋やトンネルは、日本に数多あるけれど、それぞれそのなかで一番長いものと短いものを知りたいと思い立ち、一年ぐらい前から調べている。
まずは「県境標」ということばの定義をしたい。これをしておかなければ、際限がなくなってしまうので、ちょっとのあいだお付き合い願いたい。
県境標とは、交差県境標がある。ということに限定させてほしい。
交差県境標とは、県境ラインに交差するように表示されている看板や県境表示の事だ。
例えば、こういうやつ。
看板やなんらかの県境を示すものが、県境のラインと交差するように表示されているものを交差県境標と呼んでいる。ぼくが勝手に。
一方、県境のラインと並行するように表示されている看板なども存在する。例えばこういうものだ。
ちょっと小さくて見ずらいかもしれないけれど、県境のラインと平行する位置に県境の看板が掲げられている。
この交差県境標、平行県境標の概念が今ひとつ飲み込めないという方のために、概念図を作成した。
県境のラインにそって、県境のみえない壁があると思ってほしい。その壁に平行する形で表示されている看板などが平行県境標、交差する形で表示されているものが交差県境標。というわけだ。
例えば、これ。
地面に書かれたものも含めて、県境のラインをまたいで県の表示をしている……ということで、壁に書かれている下関市、北九州市の表示も含めて交差県境標としたい。
一方、こういうやつ。
「たぶん日本一でかい」とぼくが勝手に主張している国道16号二本木交差点の県境の看板。これは平行県境標としたい。
これらの平行県境標や交差県境標は、道路が県境を通過する箇所に多く掲げられている。
たとえば、カントリーサインは、概ね平行県境標の形で存在しているといえる。
県名が書かれた平行県境標は、本当によく見かけるのだが、一方、交差県境標は橋やトンネルといった管理境界が定められているところに掲出されていることがあるが、その数はあまり多くない。
交差県境標は、県境ラインの位置がわかるだけでなく、両方の県の県名を一緒に撮影することができるので、境目マニアとして気分がアガってしまう。
以上、交差県境標がどんなものかはご理解いただけたものとして、話を進めたい。
よくわからないという方は、個別にご連絡ください。説明します。
交差県境標のある日本一短い橋とトンネルは?
交差県境標のある橋やトンネルのうち、道路橋と道路トンネルに限って見ていくと、いちばん長いものは、大鳴門橋と関越トンネルであることは確定なのだが、逆に交差県境標があるいちばん短い橋やトンネルはどこかとなると、これが難しい。
まず、トンネルや橋の定義からはじめなければいけなくなる。
橋やトンネルの定義の話は、以前取り上げた記事(「県境のある日本最長の橋は大鳴門今日、では最短は?」・「“県境のある”日本最長のトンネルは関越トンネル、では、日本最短は……?」)をご覧いただくとして、ひとまず、橋は全長が2メートル以上で人や車が通行できるもの。そして、トンネルは日本トンネル技術協会の定めるトンネルの定義に合ったもの、及び「トンネル」と自称しているもの、としておきたい。
で、その定義を踏まえた上、交差県境標がある橋やトンネルのうち、日本最短のトンネルは福島茨城県境の「平潟トンネル」全長60メートル。
そして、短い橋は、神奈川静岡県境の年金橋約25メートル。
このふたつが、日本一ではないか? と記事でも紹介した。
しかし、それからさらに調査が進んで、もっと短い交差県境標のあるトンネル、橋が判明したので、お知らせしたい。