交差県境標のある日本一短いトンネル
前回、平潟トンネルが日本一短いのではないか? ということを記事にしたところ、東京神奈川に、成瀬尾根トンネルという短いトンネルがあり、そこに県境を示す表示があったはず。という情報をツィッターでもらった。
というわけで、実際に行ってみた。
成瀬尾根トンネルは、東京都町田市と神奈川県横浜市の境にあり、トンネルの上が成瀬尾根の緑道となっている。
肝心のトンネル内の交差県境標はどうか。
横浜市、町田市の市境を示す境界標。この市境はすなわち、県境でもあるので、これも交差県境標ということにしたいと思う。
銘版によると、成瀬尾根トンネルは、1995年に完成し、その全体の長さは35メートル。ということになっている。
※ちょっとよくわからないのですが、延長9.4m(全体35m)というのは、横浜市の部分が9.4メートルで、東京神奈川合わせた全体の延長が35メートル。ということでよいでしょうか? 詳しい方いらっしゃいましたら、ぜひご教示ください!
福島茨城県境の平潟トンネルが60メートルなので、半分近くも短くなるという大幅な記録更新だ。
そもそも「もしかしてこれはスノーシェッド的なものであって、トンネルの仲間にいれていいのだろうか」という疑問もあるが、トンネルと自称しているので、トンネル。ということにしておきたい。
交差県境標のある日本一短い橋
さて、続いては交差県境標のある短い橋。
これは、先日九州をぐるっと回ったさいに、偶然みつけた。熊本鹿児島県境の国道3号沿いにある境橋だ。
地図をよく見てもらうとわかるかもしれないが、この橋の隣にある新境川橋ができるまでは、国道3号の本線だった橋と思われる。
肝心の交差県境標は、橋の欄干の真ん中あたりにある。
全国Q地図の全国橋梁マップによると、境橋の延長は14.4メートルとなっているので、おそらく、神奈川静岡県境の年金橋(約20メートル)よりも短いことは確実だろう。
境橋すぐ横の旧国道だったと思われるカーブ部分は、駐車場となっており、数年前まではドライブインがあったようだが、現在では廃屋となっている。
ところで、この新境橋と境橋のある場所から、川に沿って南東に200メートルほどさかのぼると、境橋という石橋があり、史跡となっている。
これは、国道が通る前の古い時代の橋で、本来はこちらの方が街道筋であった。
名称が同じでややこしいが、こちらの石橋の境橋は、明治時代に架けられたアーチ橋の石橋で、肥後の石工の高い技術を今に伝えているという。
川端の草木がボーボーで、アーチがどんな形なのか、横から写真を撮りづらかったのだが、なんとか見えないだろうか?
石橋の境橋も、県境にかかる橋ではあるものの、交差県境標があるわけでないので、今回はカウントしないが、もし交差県境標が真ん中にあれば短い橋の候補にはいったかもしれない。
薩摩藩というのは、薩摩藩自体がかなり厳しい鎖国政策をとっていたことで有名だが、江戸時代にはこういった国境の川に橋をかけることはなく、この石橋も、西南戦争で西郷軍が破れた後、1877(明治10)年にやっと架けられたものだ。
案内看板によると、江戸時代末期には頼山陽や、高山彦九郎(尊王家、京都にある土下座像の人)が、この国境を超えたという記録があるらしいが、その頃は川の中にある飛び石を歩いて渡っていたという。
史跡として手入れがされているのか、されていないのか、よくわからないけれど、草むした県境の石橋は、佇むと川のせせらぎと雨音しか聞こえず、神秘的な雰囲気さえあった。
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以上、現在判明している中で、県境標のある日本最短のトンネルと橋は、東京神奈川県境の成瀬尾根トンネル(35メートル)と、熊本鹿児島県境の境橋(14.4メートル)ということになった。
もしこれより短い橋やトンネルをご存知の方いらっしゃいましたら、ぜひお知らせください。見に行きます!
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西村まさゆき『地図でめぐる 日本の県境100』
天夢人・税込1760円
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