特集 2025年5月21日

GWなのに!超すごいのに!奈良に人がいない!

奈良である。

国宝だらけの奈良である。

京都に並ぶ、いやそれ以上と言ってもよい文化財の宝庫。

そんな奈良に行ってきた。どこも大混雑のゴールデンウィーク、昨今の訪日外国人の急増、奈良もすごいんじゃないかと覚悟していたのに……

不安になるくらい、人がいない…!

みんな是非奈良に行ってほしい、という思いでこの記事を書きます。

平成元年生まれ。令和から原始まで、古いものと新しいものが好き。

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今、最高に盛り上がる関西

関西が盛り上がっている。

お祭り騒ぎなのだ。

大阪万博の開催に合わせて、大阪市立美術館では「日本国宝展」、京都国立博物館では「日本、美のるつぼ」、そして奈良国立博物館では「超 国宝―祈りのかがやき―」と、10年に1度レベル、国宝だらけの展覧会が同時開催中だ。

中でもわかりやすくヤバいのが奈良の超国宝展。

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教科書に載っているような国宝中の国宝が一同に会す、まさにOh! KOKUHO

これは見なきゃ一生後悔するぞ…とGW前半、奈良に2泊3日で行ってきた。

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Welcome to NARA!

が、それなのに…という話なのである。

 

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復元しまくり!全部無料!超親切!なのに…平城宮跡

もちろん、東大寺や奈良公園などの鹿のいるエリアは、世界中の人でごった返していた。

では、同じく世界遺産の平城宮跡(へいじょうきゅうせき)はどうか。

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朱雀門前。平城宮跡は奈良時代の皇居なので、今で言う皇居前広場みたいな場所である

人、いない。

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観光客よりも、散歩をする老夫婦や子を遊ばせる家族連れなど地元客の方が多いくらいだ。あとなんかキャンプ用のテント貼ってる人とかいる

いやいや超広角で撮ってるからでしょ、と思うかもしれない。

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寄ってみてもこんなもん。平日ではない。これがGWなのだ

平城宮跡は、東西1.3km南北1kmにわたるだだっ広い歴史公園だ。

もともと田んぼだった場所を国が買い取って発掘した。

昔は何もないイメージだったけど、現在進行形で復元・整備しまくっており、今は驚くほど見どころだらけである。

でも、GWの午前中、どの観光スポットも10人程度しか人を見ない。

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復元した朱雀門の上では、ボランティアガイドのおっちゃんに高確率で声をかけられる

各施設にガイドの方が数人いて、超親切に見どころを教えてくれるのだ。

東京からきた、と言ったら「それは遠いところからよう来てくれた」と言われて、あっ奈良時代っぽい距離感覚かも…と思った。たしかにこっちは外国人観光客ほぼ見ないしな…。

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遣唐使船も復元されている
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まだ帆布はなく、竹を編んだ帆だ

こんな小さな舟で大海原を…!と感慨にふけることができる。

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遣唐使船のそばの休憩所も立派だ
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せんとくんも歓待してくれてる

何度でも言いたいが、これは平日ではなくGWなのだ。

ちょっと本気で、みんな是非行ってほしい。ちゃんとすごいので。

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中では遣唐使船のドラマ仕立てのビデオがエンドレスで流れていた

さらにである。

2018年にオープンした平城京いざない館という歴史博物館がまたすごい。

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無料とは思えない規模・質の高さで、平城京の暮らしを体感できるようになっている
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体験型展示が多く、純粋に面白い。これまで見た歴史博物館の中でもトップだ

歴史好きだけでなく、誰が見ても面白い博物館だと思う。また、かなりマニアックな知識も得られるようにもなっていて、かゆいところに手が届く展示なのだ。

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穢れや災いを払うための人形(ひとがた)。現代人とそう変わらぬゆるいセンスがかわいい

奈良、ちゃんと人を呼ぼうと頑張っている。

京都に奈良の爪の垢を煎じて飲ませたい…。

あそこは千年の都といいながら、それを学べる施設が正直足りてないので…。

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売店もかわいい

これだけ盛りだくさんで、まだ朱雀門前。入口部分なのである。

では、平城宮内部はさすがに観光客が多いのかな…と思いきや、

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朱雀門を越えて、平城宮の中心部へ入っていく
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とにかくのどかで気持ちいい

旅行者にとっては天国みたいな場所だが、これでいいんだろうかという気にもなる。

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クライマックスとなる、復元された大極殿

いわゆる正殿で、現代でいえば、正月に天皇陛下がお手をふるところだ。

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ダイナミック!
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このスケール感は奈良でしか味わえない!
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単に復元するだけでなく、最新の研究成果や細部の歴史考証なども学べてたいへん興味深い

さすが国の施設だけあって、各復元建造物の中にも展示パネルが充実している。

さらに平城宮跡資料館、遺構展示館、復原事業情報館なんて施設まである。

それが全部無料。ZEMBU!MURYO!

すごくないか。

まあ結局どこに行けばいいの…となるのもわかる気がするけど。

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上から手をふってみたが、誰ひとり見えなかった。ちなみに今は楼閣を復元中だ
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また、超珍しい奈良時代の庭を復元した東院庭園も見どころだ。ほぼ貸切状態!
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こういう復元庭園の石組って、レプリカであることがほとんど(本物は地中に保存)なのだが、ここは奈良時代の実物を展示してくれてるのだ

ガイドの方も、古代史ガチ勢…!という情熱的な説明で、たいへん面白かった。

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この日(4/29の昼過ぎ)、一番人が密集していたのは古びたサッカーコートだった

平城宮跡、さらに歴史体験学習館を作ろうとしていたが中止し(賢明だと思う)、今は食のにぎわい拠点を…と考えているらしい。

整備したい!すっごい来て欲しい!という思いは伝わってくるし、現状でもめちゃくちゃ見どころだらけなのだ。

また必ず来ます。

 

⏩ 質・量ともに日本一の古い町並み

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