わさびの辛さがぎりぎりまで攻めている
冒頭文の情報は当サイト読者のとんとさんより投稿で教えてもらったものだ。
つい先日までデイリーポータルZでは「ギリギリを攻めてとがっている市販品を教えてください 」という投稿コーナーを実施していた(募集記事はこちら)。
ふつうに売っているのに辛すぎる、酸っぱすぎる、甘すぎるものなどたくさんの情報がよせられ多いに盛り上がり、2度にわたる試食レポート記事も出して大好評だった(1回目、2回目)。
「わさび鉄火」はその際、とんとさんのほか、yaokumaさん、ららべえさん、しのしの@大阪さんからも推薦があった商品なのだ。
わさびの辛さがガチなんだという。
やばい、でもうまいという予想
大流行、大人気を呼んだという商品だということは「やばい」しかし「うまい」ということなんだろう。
「悪いようにはしない」というセリフがよくあるが、ああいうことなんだと思う。
商品名のよこに「わさびの粋」とある。
わさびといえば寿司であり、寿司は粋なものだという認識があったがなるほどそうか、わさびが粋という考え方もある。
「ハード」という形容詞がおせんべいにつく場合、それは通常「固い」を指すんじゃないか。
しかし前評判からこの商品においては違うんだということは分かる。「ハードスケジュール」のほうの「ハード」だ。厳しいんだろう。
食べますね
……。
あれこれ言って時間を引っ張っていることがばれただろうか。
うん、そろそろ食べないといけないころあいですよね。
あけると香りはあまりない。あるとしたらこうばしい焼いたおせんべいのかおりだ。
おや。ファーストアタックはまったく海苔のおせんべいなのだった。
あれ、これそんなでもないやつだ。リアクションどうしようという余計な考えがさっと耳から入ってきて頭を通過しまた耳から出ていった。
わさび! そうだ、これがわさびだ! そうだった! すみませんでした!
反射手的にわさびという存在そのものに謝罪したくなるような気持ちになった。降伏だ。すみません私が悪かったです。
寿司のわさびが5倍だったといえばいいだろうか、いや、でもそういう問題ではない。
わさびの物量は感じるがそれ以上に量では出せないだろうパンチがすごいんだ。
そして異常な刺激だが意地悪ではないというのも感じた。
さっと舌と喉を刺激しさわやかに去っていく優しさがあった。「悪いようにはしない」という予想はまさにその通りだ。
これは体験したほうがいい
おもしろ体験だ。そもそもわさび味の海苔せんべいというのを食べたことがなかったなというのも、食べたあとにあらためて感じた。
これは食べたほうがいい、体験したほうがいいやつだ。私だけではなく、世が。というわけで、出会う人々に食べさせる旅に出だのだ。
安藤さんは腰にきていた。
林さんは泣いてしまった。
パリッコさんは納得して手がグーになった。
はい……?
ハナウタさん、江ノ島、トルーはもだえたあともう一つづつ食べていた。
こんなパワーインフレ聞いたことない
死んだ祖父はわさび抜きの寿司を断固として許さない人だった。
小学生の子どもだった私にも「ほんのちょっとでいいからワサビは入れて寿司は食え」と強く言った。
そんな祖父も、究めるあまりにワサビの量を増やすみたいなことは一切しなかった。生涯、普通の量で普通に食べていた。
「わさび鉄火」これはいったいなんだったのだろう。
わさびのパワーがインフレを起こす、そんなことがあるのか。
食べた誰もが「もういい」とはいわなかった。
編集長の林は気に入って少し持って帰ったし、パリッコさんも知り合いに食べさせたいといっていた。
ギリギリのワサビの刺激に良さがある、そんな世界があったのだ。