特集 2025年4月15日

サッポロ一番塩らーめんの粉をバターに練り込む「ポロイチバター」

バターが好きだ。サッポロ一番塩らーめんも好きだ。だったらその2つを足しちゃえばどうだろう?

そんな単純な考えから生まれた「ポロイチバター」。私はとんでもないものをこの世に生み出してしまったかもしれない。

1980年、東京生まれ。片手袋研究家。町中で見かける片方だけの手袋を研究し続けた結果、この世の中のことがすべて分からなくなってしまった。著書に『片手袋研究入門』(実業之日本社)。

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バターファンクラブの落ちこぼれ

昨年べつやくさんが書いた『バターファンクラブ』という記事に、私も参加した。

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バター好き同志でとことんバターの魅力を語り合った

その後もべつやくさんはバターバーガーを食べに行ったり『指グルメ』でバターを試したり、ファンクラブ会員としての活動を怠っていない。だが私は目立った活動もないまま1年以上経過してしまった。

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べつやくさんデザインのバターTシャツが泣いている…

勿論、この間もバターはたっぷり摂取してきたし、バターのオブジェを見つけると写真に撮ったりはしている。

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(うわ、バター!)と驚いて思わず撮ってしまう

でもこんなんでファンクラブ会員を名乗る資格があるのか?

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サッポロ一番塩らーめんは美味い

突然ですが、皆さんが一番好きな袋麺はなんですか?「マルちゃん正麺」の発売以降、袋麺のクオリティはさらなる進化を遂げたと思うが、それでもやっぱり私が一番好きなのはこれ。

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サッポロ一番(以下、ポロイチ)は私にとっての原点にして頂点

しかも、しょうゆでもみそでもなく、塩らーめん。具なんか入れないで麺とスープだけで十分満ち足りた気持ちになるくらい、とにかく愛している。

でも、たまに思うのだ。(王道ど真ん中の商品なのに、他では食べたことない味だよな)と。冷静になって味わってみると、外で食べる塩ラーメンとはまったく違う「サッポロ一番塩らーめん」としか言いようのない味であることに気付かされる。

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他に類を見ない独特の味を作り出すこの粉末。単品で売って欲しい

いつものようにポロイチを作る前に粉末スープを眺めていたら、不意に天からポタっとバターの雫(注:アイディアのことです)が降りてきた。

「ポロイチ塩にバター入れる人もいるよな。だったらこの粉末スープにバターを練り込んじゃうのはどうだろう?」

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早速やってみようじゃないか

バターファンクラブ会員として動くべき日がついに来た。

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バター(とりあえず勘で80gにしてみた)を常温に戻して柔らかくして…
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塩らーめんスープを一袋全部入れる
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付属のゴマも入れてしまおう
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よく練り込む
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全体によく馴染んだらキッチンペーパーに広げ四角く成形して…
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キッチンペーパーごとラップに包んで冷蔵庫で冷やす
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固まったら完成

思い付きで作ってみたが、なんだか物凄いポテンシャルを秘めているのが見ただけで分かる。とりあえず名前は「ポロイチバター」としてみた。

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活用法を考えてみる

どんな料理に、どのように使えば良いのか?まったくの手探りだが、まずはトーストに塗ってみよう。

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パンにたっぷり塗って…
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ほど良くトースト
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どれどれ
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ああ、これ初めて味わう食べ物だけど、めちゃ美味い!

ラーメンとして食べてる時は気付かなかったけど、ポロイチ塩ってこんなにニンニク風味が強かったのか。まるでガーリックトーストのようだ。美味さの方向性としては「ダシの風味がほんのりと…」とかではなくて、胸倉掴まれるような暴力的美味さ。

食べ物の記事、前から表情で美味さをうまく表現できないのが悩みなので、画像で雰囲気をお伝えしてみたい。

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こういうんじゃなくて…
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こういう派手な感じ!お分かり頂けますか?
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ポロイチバター和え麺

粉末スープのみ使ったので、当然乾麺だけ余っている。これを茹でて湯を切り、麺が温かいうちにポロイチバターを乗せてみよう。

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サッと醤油も一振り
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麺が熱々なのでポロイチバターもよく絡む。敢えてこのシンプルな状態で食べてみる
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あんれま。美味い…
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チャーシューとメンマとネギを刻んだものも用意してます
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それらも混ぜて海苔を乗せます
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ゴール!やったぞ~!

「ちょっと待った!茹でた麺に粉末スープとバターを混ぜれば良いだけじゃん」と思われる方もいるかもしれない。でもその方法だと粉末スープがダマになってしまい、麺と均等に絡まない筈だ。ポロイチバターだからこそ、食材や料理と滑らかに絡みあうのだ。

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失敗から学ぶ

思いつくままに色々作ってみたら、正直イマイチなものもあった。

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溶き卵に入れて…
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玉子焼きを作ってみたり…
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鶏肉を炒める際に投入して…
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バター炒めを作ってみたりした

だが正直、これらは期待したほどの結果ではなかった。決して不味いわけではない。むしろ美味しかった。でもポロイチバターを使わなければならない理由は見出せなかった。ポロイチの風味が弱まり、バター感だけが残ってしまった。

「ただ乗せる」が正解なのかも

恐らく火が入り過ぎるとポロイチの風味が飛んでしまうのかもしれない。だとすれば「温かいものにただ乗せる」という使い方が最適解なのだろう。

その仮説に従い、焼いた餅と蒸かしたジャガイモにポロイチバターを乗せてみた。

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「そんなに乗せるの!」と驚かれるかもしれないが、バターファンクラブなので
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バターを受け止める皿、ことジャガイモ

これがやっぱり大正解。笑っちゃうくらい美味い。恐らく玉子焼きや鶏肉炒めも、焼いた後に上に乗せるだけで良かったのだ。

完全にポロイチバターが活きるフィールドが見えてきた。「炊きたての白飯に乗せて醤油をサッとかける」「パスタに和えてシラスと大葉を混ぜる」。幾らでも活用法は思いつくぞ。

「バターファンクラブ会員、石井公二です!」。ようやく胸を張って名乗れる資格を得たかもしれない。


開けた世界は想像以上に広いかも

最後にもう一度分量をまとめておく。

・バター80g(有塩・無塩はお好みで)
・サッポロ一番塩らーめんの粉末スープ1袋
※念のため早めに使い切りましょう

勘の良い方ならお気付きだと思うが、実は今回得られた成果はもっと広範囲に応用できる。

「ポロイチ塩バター」ではなく「ポロイチバター」と命名したのは、当然しょうゆ味やみそ味の粉末スープで作っても良いからだ。さらにカレー粉や「ゆかり」なども実験してみる価値はある。

この「粉末をバターに練り込んで手軽に作るフレーバーバター」というジャンル。もっともっと探求していけば、さらなる鉱脈を掘り当てられそうである。

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
冒頭の画像に「とんでもないものを生み出してしまった」と書いてある通り、とんでもないものです。試行錯誤の末のジャガイモなんて何かの法律に反するのではないかと思うほどです。
石井さんの料理ネタはだいたい「店やりなよ!」って言いたくなるものばかりなんですが、店やってるんですよね。
あと、美味を画像で表現したところは、顔芸が苦手なライターへの光明だと思います。(林)

作ろう!

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