特集 2018年12月8日

顔が大きくなる箱への世界の反応

11月下旬、パリで開催されたメイカーフェアに参加してきた。展示物はいつもの顔が大きくなる箱だ。(箱についてはこちら参照)

ぬけぬけと言うと、めちゃくちゃ受けた。トレビアンとなんども言われた。

中国・アメリカがこれまで2大うけた国だったのだが、それぐらいうけた。フランスってもっとエスプリでかっこつけた国だと思っていたが陽気で親切な国だった。

外国に行って地元の人の顔を大きくするという活動が2年ほど続いている。こんな展開があるとは思わなかった。

これまで訪れた5つの国の反応の違いを振り返ってみたい。
 

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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フランス

11月23日~25日の3日間、展示をしたがその反応を短い動画にまとめた。

 

大人も子どももよく笑う。おじさんが率先してふざけていた。自分もふざけたおっさんなのでとても心強い。

箱をかぶったときに男女ともに変顔をする人が多かった。そのレベルが高くて後ろで見ていて吹き出してしまうほどだった。
 

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フランス人は表情筋が鍛えられている

香水をつけている人が多いので、かぶった箱がいい匂いになっていたのもフランスの特徴である。

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聞かれること・言われること

どうしてこれを作ったのかとなんどか聞かれた。もともと大きな顔をペーパークラフトで作っていたのだと説明したり、Just for funと答えたりしていた。妻はJust for funと答えたところほめられたと話していた。

子どもはかぶる前に、これかぶっていいかと聞いてきた。フランス語が分からないので推測でしかないが、たぶんかぶっていい?だろう。

ヨーロッパはしつけが厳しそうである。

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フレンチビッグフェイス

箱の感想では「トレビアン」とよく言われた。ほかにはシュパーというセリフもよく聞いた。Super(シュペール)=すごい という意味らしい。耳で聞いたままの音でメモをとっていてジョン万次郎のようである。

あと、フランス語ではhを発音しないので、僕の名前は「アヤシ」であった。懇親会の受付の女性が参加者リストから僕の名前を見つけて「アヤシー!」と笑っていた。悪い気分ではない。

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ダンボールの入手

都心にBHVという東急ハンズのような店があって、そこでダンボールを買った。BigFaceBoxにほぼぴったりのサイズがあった。おれ、フランスに呼ばれているな、と思った。

パリでBigFaceBoxを作るときは便利なのでメモしておいてほしい。

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これだけ見るとパリとは思えず、ただの東急ハンズ新宿店である。
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ただ、パリの工具箱はとんでもなくおしゃれだった
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アメリカ

アメリカはサンフランシスコとその郊外、テキサスで展示した。

 

アメリカはよく踊る。よく笑うが、それ以上に踊る。

スマホで撮った写真を「ほらこれ面白いでしょ~」と見せてくる人も多かった。普段のその人の顔を知らないのでどれぐらい違っているのかわからないが、大阪でイベントをやったときのノリに似ている。

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アメリカもおじさんが陽気な国である

子どももよく笑う。興奮しすぎて叱られているシーンを何度か見た。

箱をかぶったままどこかに走っていってしまうと、遠くのほうで母親に諭されているのだ。叱るというよりは静かに説得されているという雰囲気だった。

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アメリカで言われたこと

アメリカの反応はおもに「オーマイガ」である。そしてすごく褒めてくる(英語だから少しわかる)。

いや~でも単純なんすよ~と謙遜すると真顔で「シンプルなのがいいのだ」と言われた。2回ぐらい。
スティーブ・ジョブズかよ!と返事したかったのでそんなこなれたことは言えないので、サンキューと答えた。

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ダンボールは入手しやすい

ホームセンターがあちこちにあるのでダンボールは入手しやすい。テキサスはホームセンター以外にダンボール専門店がいくつかあった。

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テキサスのダンボール専門店の前で。
「テキサス はじめてデス」とお店で言って、店員だけ
ではなくたまたまいたお客さんにまで"Welcome to
Texas!"と言われた後

ただ、アメリカはインチなので、BigFaceBoxのレンズに合うかどうかがわかりにくい。そしてダンボールがでかいので自分で切って小さくする。

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どこに行ってもダンボールを持って移動している
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ちなみにホームデポ(アメリカにたくさんあるホームセンター)のなか
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入ると1時間以上出れなくなる


 

中国

 

とにかく明るい。服装が派手。子どもも大人もよく笑う。子どもは笑いながら跳ねる。跳ねてどこかに行ってしまう子もいた。
知らない人でも顔が大きくなっていたら大笑いするし、写真も撮っていた。

中国でもおじさんが率先してふざけていたし、鼻歌を歌っていた。景気がいい国はおじさんが鼻歌を歌っているのかもしれない。

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僕も服が派手なので中国は安心である

そして売ってくれ、一緒にビジネスしようとなんどか言われた。ダンボールは主催者が用意してくれたのでどこで売っているのかはわからなかった。
 

オーストリア

 

オーストリアで開催されているアルスエレクトロニカというアートイベントに参加した。
アメリカ・中国のような大笑いはあまりなかった(アートイベントだったせいもあると思うが)が、ニヤリとしていた。

オーストリアの人たちも箱をかぶったときに変顔をしていたが、主に寄り目だった。

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オーストリア=ハプスブルク家というイメージが崩れていく

かぶったあとに「ズーパー」とよく言われた。フランス語のシュパー(super)と同じで「いいね」ぐらいの意味らしい。

ホームセンターがあるのでダンボールは入手しやすかった。ホームセンターの名前はバウハウス(!)という名前でさすがドイツ語圏はなんでも名前がごつい。
 

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バウハウスのダンボール

このときははじめての海外展示だったのでダンボールを事前にFEDEXで送ったが、インボイスにダンボールの値段を安く書いたら税関で止められた。
『オーストリアでダンボールを売る商売をする気か』と思われたらしい。
そんな商売成り立つのだろうか。

ベトナム

今年(2018年)9月、ベトナムでも半日だけ展示したのだ。

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すごく親近感がある

ベトナムでは照れる人が多かった。中国よりも日本に似ている。そして街にホームセンターはない。

展示を行ったダナンという街にちょうどデイリーポータルZで書いているネルソン水嶋さんがいたので事前にダンボールを売ってそうな場所を調べてもらった。
なんと心強い。

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売ってる場所は路上だった

売ってるおばちゃんが誰かに似てるんだよなーと思ってたが、わかった、母だ。

アメリカやフランスの写真が続いたあとだとこういう東南アジアのごちゃっとした風景はぐっとくるものがある。

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全く関係ないのだが、ベトナムの店は客のバイクが店頭に並んでいるのでなんでもバイク屋に見えた(これは美容院)

 


ハーイとかいう人生

サンフランシスコ郊外でのメイカーフェアのとき、bigfaceboxの展示も2回めだったので、ほかの出店者に bigface! と声をかけられて笑いながら Hi とか答えていた。

あ、おれいま西海岸でハーイとか言ってる!

そして「楽しい人生だな」と思っていることに気づいた。なんだこの素直さは。

あまのじゃくな性格が災いしてインターネットでちまちまおかしなものを作っていたのだが、それを進めていったらものすごく広いところに出てしまった。

これからもきっとハーイとか言っていくと思う。

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ロンドンで写真を撮ってたら後ろで知らない人がピースしてた

BigFaceBoxの作りかたは公開しているので、興味のある人は気軽に作ってください。

https://bigfacebox.net/

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