ふつうに売られてるエッジィな商品情報が集結
メジャーな場所で売られているけれどギリギリまで責めた前傾姿勢の商品。
読者のみなさんから募集したところ、あれがやばい、これもきてるとたくさんの情報を寄せてもらった(ご投稿ありがとうございます!)。
今回は教えてもらったもののなかから手に入った8品を実際にためして驚いたのでレポートしたい。
ためしたのはこちら。
からいもの
グリコ「ビーフカレーLEE 辛さ×20倍、30倍」
ペヤング「やきそば激辛MAX END」
S&B「ハバネロペッパー パウダー」
すっぱいもの
ノーベル「スーパーレモン」
リボン「早乙女檸檬の挑戦」
甘いもの
松屋利右衛門「鶏卵素麺」
薄いもの
松風本家正観寺丸宝「松風」
おおむねは近所のスーパーとドン・キホーテ的なディスカウントストアで買えた。
銘菓系の投稿もありこちらも百貨店の各地の銘菓コーナー的なところで入手。
淡々とした日常のすぐ隣にあるものばかりだ。ドラマチックとはほどとおいはずの世界にどんな驚きが待っているというのか。
デイリーポータルZ編集部から石川、橋田、そしてわたくし古賀の3人で食べていこう。
ペヤング焼きそばの特殊フレーバーのうち「〇〇MAX」はたいてい振り切ってます。
特に辛い系は、どうやったら企画会議に通ってるのか、そもそもこんなに辛いものを普通にスーパーに並べていいんだろうか、何かの兵器に使われたりしないだろうか、と心配になるくらい、遠慮会釈なく辛いです。
(光学不活性さんからの投稿)
ペヤング焼きそばが大暴れしているという話は大盛の「GIGA MAX」が話題になって知っていたが、MAXはシリーズ展開していたのか。
調べてみると、今回手に入れた「激辛MAX」のほか「すっぱ辛MAX」などもあるらしい。
パッケージできちんと警報を出しまくってくれているので安心といえば安心だが、これが普通にスーパーに置いてあるのだから油断ならない。
古賀
(ぜーはーぜーはー、ひとしきり辛がってから)……辛い。辛いけどしょっぱいからおいしいんですよね。だんだん、あれ? 口が痛いなってなる。
橋田
これ、塩味とかソース味じゃないんですよね。「辛い」という味。
食べ続けたら食べられそうって思っちゃうんですよ。
一旦食べるのやめると急に辛くなって痛い。なんでか水分をとるとよけいに辛くなる。後から喉の奥も痛くって、涙、汗、鼻水が出るという。
石川
一旦休むとダメですね!
食べてるときはうまいから続けられるんだけど、いったん箸を休めてしまうと辛さだけが残るという罰。
古賀
そうそう! カップ焼きそばだからとりあえず美味しいんだよね。投稿に「何かの兵器に使われたりしないだろうか、と心配になる」ってあったんですが、美味しさを罠におびき寄せられた感じがある。
石川
ぼくいま鼻炎がちょっとひどくて味覚弱まってると思うんですよ。でも辛みは鼻の不調を突き抜けてやってきましたよ。鼻炎患者としてこれはすごいことですよこれは。
古賀
全神経が舌に集中するからかな。神経の密度の図みたいなやつあるじゃないですか。
ホムンクルス人形っていうのかな。あれみたいに舌だけがでかくなったみたいな感覚。
橋田
わたし「辛いものが好き」ってずっと言って生きてきたんですよ。そういう側の人だと宣言してました。だけど、全然ダメな気がする。自信を完全に失いました。
古賀
でももう一回買っちゃったりするのかな。辛いものが好きな人はそういう感じなんだろうよね。
石川
ストックホルム症候群みたいだ。
古賀
でもこれはパッケージで辛そうさを全身であらわしていてその点安心ではあるよね。間違って買わないから。そういう意味では次がすごいです。
しれっと並んだ可愛いボトルです
イオンの食料品売り場あたりならあります。170円くらい。
全然辛くない「パプリカパウダー」や適切な辛さの「チリーペッパー」の隣にしれっと並んだ可愛いボトルです。
これがはんぱなく辛い。一味唐辛子気分で振るとたいへんなメにあいます。辛いモノ好きを自称するライターさんにぜひお試しいただきたく存じます。
(羽@お花畑アタマさんからの投稿)
ご投稿のとおり、スーパーのS&Bのスパイス陳列棚にきゅっと小さく収まっていた。
辛味情弱の私レベルだと、ハバネロといえばスナック菓子の「暴君ハバネロ」だ。「暴君ハバネロ」が2003年発売だそうだからハバネロ自体を16年前に知ったということか。
そこそこ新しく知られた食材だと思うのだが、いまや完全に食卓の友になっているということだろうか。
どう試食すべきか迷ったが、ここはダイレクトにその辛さに対峙すべく舐めてみた(皮膚にも刺激があるようなので手に出すのはやめたほうがよさそうです)。
古賀
あああああああああああああああ! みなさまご注意ください、これはすごい。こんなもん普通に売ってるのか地球すげえ! 地球がすげえ!
すみません調味料なんだからふりかける対象の料理をちゃんと持ってくればよかった。まんまなめんのはばかでした! すみません私がばかでした!
橋田
あっ!すごい! 指につけて舐めたんですが、これあとで目とか触るとほんと死ぬ、手を洗いましょう!
古賀
めっちゃしびれる、辛いというよりもしびれますねこれ? ステキなスパイスみたいに売ってるのにいいのかな!?!?
橋田
刺さる刺さる、刺さる痛さ!
石川
舌への負担がすごい!
石川
インカ帝国の拷問で唐辛子をいぶした部屋に入れるみたいのありませんでしたっけ? 「罰ゲームかよ」ってレベルを超えて、実際の拷問にも存在しますから辛さは。
古賀
唇に触れないから口は痛くないんだけど、じゃあどこが痛いかというともう喉なんだよね。すごい。これはすごいなあ。なににかけるといいんだろう。
(S&Bのレシピサイトで検索したところ、思ったよりも地獄感の薄いレシピに使われているようす。隠し味みたいなものなのか)
辛さ界における重鎮
グリコ
ビーフカレーLEE
辛さ×20倍
辛さ×30倍
レトルトカレーLEEの辛さ20倍。
ココ壱番屋の5辛を卒なく食べる私でも悶絶するレベル。罰ゲーム以外で需要があるの?
(コロンゲームスさんからの投稿)
推薦は「×20倍」だったが、店にいくと期間限定で「×30倍」が売られていた。
ふら~~っと買い物に行っただけで手に入る「×30倍」。スーパーでの〇倍表記でいうと最大なんじゃないか。
公式サイトによると、「倍率表示は、カレーソースに含まれる 唐辛子と胡椒等の辛味成分の 総量により設定されています」ということだ。
投稿にもあるが、ココ壱番屋にも辛さ設定があって5辛をクリアするとその先に6辛~10辛まで対応してくれる。
辛さというのはカジュアルに盛れるものだというイメージは強い。しかし20倍で悶絶だというのに30倍ってどういうことなのか。
手配のタイミングの関係でこちらは古賀が一人で試食しました。
あっ!
辛い……。感想としては、20倍も30倍も同じくらい辛かった。
のどがすごく熱くてヒリヒリする、唇もつねられたように痛い、いろいろ考えずにただ単純に辛い、でもコクがあってうまみがものすごい。
だからつい食べてしまう。で、また辛い!これ、焼きそばのときと同じだ。後をひくのに辛すぎて口がなんなんだかわからない祭り状態になる。これが辛いフード界で約束された良さなのか。
どうしたらいいんだろう? とちょっとうろたえつつも、毒でないことは完全に分かっているので心が平静なのが可笑しい。
妙に安心感があるのだ。スーパーで買ってるんだし、というのはひとつ安心感の要素になってると思う。
20倍と30倍の違いだが、30倍の方が基礎辛味体力が圧倒的に高いのは食べ進めていよいよ分からされた。
粘度が高くて辛さがからみつくような感覚があった。
30倍を食べてから20倍を食べると一瞬やすらぐがやっぱり辛いので笑ってしまった。
調べると、30倍は毎夏の期間限定商品らしい。ディスカウントショップで買ったので時期的にずれていても手に入ったのかもしれない。
レトルトカレーのLEEは私が子どものころからスーパーで売られていたはずだ。過去には20倍の辛さのカレールーもLEEブランドで売っていたという。
「ふつうに売っている」という驚きはもちろん「脈々と売られ続けている」のがすごい。
辛いもの好きの大きな世界に深く思いをはせた。
ここまでが辛いもの。続いて酸っぱいものにも投稿が集まった。
「思ったよりも酸っぱい」の代名詞
菓子メーカーのノーベルさんから出ている「スーパーレモン」の酸っぱさがかなり本気です。外側の白い粉の酸っぱさに全く遊びがありません。
内部の飴は普通に甘いので最終的には美味しく食べられるのですが…とにかく口に入れた瞬間がすごいです。ぜひ一度試してみて下さい。
(えすたろさんからの投稿)
私と橋田はこちらは体験済みの商品だった。子どものころからとんでもなく酸っぱい飴として恐れていた(1980年代の発売のようだ)が、まだ売っていたというのは知らなかったのでそこに驚いた。
おぬし……その酸っぱさでまだ生きておったのか……という思いだ。
石川
あっ! すっぱい。思ったより酸っぱい。眉間に来ますねこれ。
古賀
タブレットも飴と同じくビクウウウウってなるね。
あ、でもこれも外のパウダーだけだ。
投稿にもあるけど、酸っぱいのは一瞬で終わるんですよね。だから試されてる感じ。採血の針のような。
石川
これってでも「すっぱい」で合ってますかね。すっぱい食べ物ですって言われずに食べたら、すっぱいっていう感覚だと思わないかもしれない。
古賀
えっ? すっぱいと思うけどな、すっぱい以外になんかある……? 新しい刺激?
石川
だってこれレモン味だけどレモンの酸っぱさとは違いますよね。
古賀
あれっ、そうか……?
風味と実際の果物の味の乖離ってあるもんね。メロン味とか。イチゴ味とか。
思いもよらず酸っぱいという概念の話になってしまった。それくらい翻弄される味ということか。
クエン酸だけどつかれる
ダイソーに売っている「早乙女檸檬」という飴です!引くほど酸っぱいです。食べていてむせそうになったことがあります。
姉妹品で梅味もあったように思います。食べたことはありませんがきっと強烈だと思います…。
(マツブサさんからの投稿)
続いてこちらも酸っぱい系の、今度はソフトキャンディーだ(コーラのみ飴だった)。
古賀
スーパーレモンの逆で、外は甘くて中が酸っぱいんですな。あっ! 急に酸っぱい!
石川
口の中で外のソフトキャンディと酸っぱさをブレンドできますね。調節できる感じ。
古賀
うん、餅つきみたいに中の酸っぱいのと外の甘いのをぺったんぺったん混ぜ合わせられる。最終的にいい塩梅になる。でもまあ酸っぱいなあ!
石川
汗かきますね!
古賀
唐辛子で汗は出ない体質なんですが、酸っぱいの汗出ますね……! 毛穴が開く!
石川
デトックスだ。
橋田
わたし酸っぱくて唾液がたくさんでて、まるっと呑み込んじゃいましたわ。
古賀
いろんな体の反応があるな……。ああ……梅味もすっぱい……。世の中には「レモンすっぱい」と「梅すっぱい」があるんだなあ。
あ! そしてコーラ味も酸っぱい笑。コーラがすっぱいのありだっけ!?!? いろんなすっぱさを知る機会がいまここに。
石川
これ、クエン酸を含んでるのを売りにしてますよね。
石川
クエン酸って疲労回復のイメージだけど疲労回復できない。
橋田
辛いものもすっぱいものも、刺激が強いものを食べると体力消耗している感じがしますね。弱くなった気持ちになる。
古賀
たしかにつかれましたね……。
辛いのは体の反応として「痛い」だったんだけど、酸っぱいのは「くすぐったい」みたいな感じがある気がしました。身をよじるような刺激。
甘さが原料レベル
さて、ここから銘菓系へ。百貨店の全国の銘菓集結コーナーのようなところで入手した。
日常にひそむ驚きというよりは、ハレの場に急にある驚きだ(銘菓の地元の方にとっては日常なのかも)。
いわゆる銘菓のジャンルなのですが、これがもうめっちゃくちゃに甘い!!友人からお土産で1つ貰ったのですが、「これは完成品の甘さじゃないよ!なんかの素材とか原料のレベルの甘さだよ!」と大騒ぎしながら食べました。
調べてみると、いくつかのお店で販売しているようですが、僕が食べたものがどこのお店のものかは分かりません。ですが、どれも甘そうです…。
(喜多川隆堂さんからの投稿)
古賀
甘い……。
石川
甘いですね。
橋田
甘いって、落雁とか砂糖を固めたお菓子がやっぱり一番甘いんじゃないかと思うんですが……。これは卵と砂糖が原材料なんですね。……甘い。
石川
でもさっき辛いのを食べたじゃないですか。辛いのは「〇〇倍」みたいな上限を感じさせない恐ろしさありましたよね。品種改良でどんどん辛い唐辛子が出てきてるみたいな話もよく聞くし。それに比べると甘味は上限がある感じしますよね。救いがある。
古賀
確かに……。でもこの鶏卵素麺がすごいのは、投稿にもあるんですが「原料」! という、原料のインパクトがすごいところじゃないですか? 甘いっ! ってよりもズーンとくる卵! あと、砂糖! っていう。
石川
ものとしてはすごくおいしいんですよね。
古賀
いい材料使っているんだろうなという味だよね。でも歯に染みる甘さだね。なんでだろう。卵にじゅわっと甘みがしみこんでるからかな。
古賀
インドのグラブジャムウ(ドーナツのシロップ漬け。ものすごく甘い)もドーナツがシロップを吸い込んでる甘さだよね。これも卵が砂糖をしみしみに吸い込んでる感じ。吸い込んで抱え込むと甘さって増すのかな。
石川
口のなかにまとわりついてどかないのかもしれないですよね。95%のチョコレートが苦いのも、口からどかない感じがあった。
古賀
どかない甘さだ。
橋田
……甘い……(橋田さんは辛党です)。
ギリギリまで「薄い」という攻め方
日本一薄いお菓子「松風」はいかがでしょう。熊本のお土産といえば陣太鼓や辛子蓮根、馬刺しなどが思い浮かびますが、私の実家で好評なのは、この松風です。
一枚ずつパリパリと食べても美味しいし、一包み分を一気に口に入れても全く問題なし。商品名にも趣きが感じられ、なかなか味わい深い銘菓です。
(ぱたさんからの投稿)
さて、ここまでは味だったが、形状がぎりぎりを攻めているという投稿があった。
「日本一薄い」のだという。そういう方向性か! 思いもしなかったのでうれしい。
まずは箱に添えられたこちらをごらんいただいてから試食へ進もう。
古賀
なんで薄くしたんだろう。日本一薄い! ってそういう価値の方向性があったのか。
苦い、辛い、酸っぱい、甘いがあって次が薄い! って。「そうきたか」の見本ですね。
石川
薄いお菓子というと東鳩の「ハーベスト」じゃないですか。あれよりぜんぜん薄い。
橋田
ハーベストは3ミリだそうです。これは……1.2ミリだそうですよ。
古賀
薄いな~~笑ってしまう! それに個包装を開封したときに「めっちゃ入ってる!」ってここまで思うお菓子ないですよね。個包装なのにすんごい入ってるから。
橋田
かぞえました! 20枚入ってる。
古賀
8包装分だから160枚か。下手するとお土産として全校生徒に配れる。
石川
ダンボールに本をつめるとき、パンパンにつめると重くなりすぎるじゃないですか。パンパンまで詰めちゃいけないという頭がある。こんなに隙間がないの不安になりますね。
古賀
食べ物のあり様じゃなよね。文具かという。付箋かな。
投稿に「一気に口に入れても全く問題なし」ってあるのもおもしろい。ポッキーみたいに雑に食べてもいいんだ! って。でそうやって食べてみたいんですが、味が上品なんですよ。ハッと我に返ります。雑に食べちゃだめだ。
なんで薄くしたのか、公式サイト見てみたら、食感を追及したということみたいです。伝統技法でギリギリまで薄くできるんだって。ありがたいことだ……。
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我々の日常というのはだいたいぼんやりしたものだろう。
うれしかったりかなしかったり悔しかったり、劇的なことに驚かされることもたまにはあるがそれはメンタルに起こる事象ということが多い。
しかし、日常には信じられないくらい辛くてすっぱくて甘くて薄いものが普通に売られていた。
食べたら「辛い!」「すっぱい!」「甘い!」「薄い」の前に「なんで!?」が出た。フィジカルがびっくりした。
だって、普通に売ってたんだよこれ!
こういった、手に入りやすいもなのに驚かされせてくれる、ギリギリまで攻めた市販品、まだまだ募集します。ぜひ教えてください。食品でなくてもOKです。
すでにいただいている投稿で今回紹介しきれなかったものもありまして、次回以降に紹介の予定です!