「推しぬい」とは
街中やゲーセンで、
推しているアイドルやキャラを、こういう感じでかわいくデフォルメした人形を「推しぬい」と言うそうです。これを愛でるのが今とても流行しています。
とあるアイドルの公式の推しぬいを初めて見た時、
他の人の手作りもそんなには似ていません。いまやアイドル本人の写真や映像が手軽にたくさん見られるのに、なぜ微妙に似てない人形を愛でるのか?と不思議でした。
しかし、私の周りには、3000円〜9000円の推しぬいを購入し、部屋に飾ったり、ライブに連れて行って写真を撮っている友人が何人もいます。きっと彼女たちの脳内では、私が分泌したことのない成分がドバドバ出て、「快」を得ているのでしょう。
私の「推し」の発見
「推しぬい」の楽しさをあまり理解できない自分がいます。もし私も同じように推しぬいを持ったら、気持ちがわかるのでしょうか。
そもそも私は「推し」がおらず、アイドルや漫画のキャラに対して執着がありません。自分の中で最も「推し」に近い存在は何か・・・と考えた時、
まず、笑点メンバーは各々の色も性格もあるし、なんかアイドルグループっぽい。そして笑点メンバーの中で、私が一番好きなのは「泥棒スケベ」キャラを担当する小遊三師匠。
10歳くらいから笑点を観てきて、歌丸さんと楽太郎さんのやり取りも好きでしたし、木久蔵ラーメンいじりも好きでしたが、いつも「早く小遊三の回答を!泥棒&混浴回答を聞きたいねん!」と気持ちが急いていました。ヘラヘラしながらいい加減なことを言い続ける小遊三師匠が最推しだったのです。
己の推しを確認できた途端、推しぬいを作りたい気持ちがムクムクわき上がってきました。推しぬいの良さを体験できるかもしれない!いざ作ってみましょう。
ぬいぐるみ作ったことないけど
私はぬいぐるみを作ったことはなく、
表紙に泥棒顔のおっさんのぬいぐるみがなくて不安ですが、なんとかアレンジしてやっていきましょう。
①顔を刺繍 見つめるうち情が湧く
そもそも刺繍も初めてです。しかし、数々の推しぬいを見てきて、どれも客観的に見てそこまで似ていなかったので、気楽さもありました。
推しぬいの顔は、目と口しかないことが多いですが、「小遊三は大きい鼻と目の下のたるみがないと!」と描き加えます。
実家で1日中刺繍していると、母親が「誰作ってんの?」と聞いてきたので、「小遊三」と答えると「聞かんかったらよかった」と返されました。
刺繍している間、ずっと顔を見つめるので情が湧いてきます。さらには「めっちゃ顔似てる!小遊三のスケベキャラが出てる!」と思えてきました。大抵の推しぬいはデフォルメしすぎて顔が似ていませんが、強い愛情があれば似ているように見えるのでしょうね。
②体を作る 似てなくて不安になる
こんなバラバラな小遊三、見たことありません。左下の紅葉形の顔がなんか好きです。
小遊三師匠に申し訳ないですが、かなり気持ち悪いフェーズでした。
裏返して縫うので、顔の刺繍の裏を見ては「誰やねんこれ」と思いました。
縫っている間、
丸2日、小遊三を縫いながら、小遊三の落語を聞き、小遊三のことを考えていました。
笑点では泥棒スケベキャラ担当なので、それに近い人物が出てくるネタがめちゃくちゃ面白いです。一番好きなのは「引っ越しの夢」で、新しく来た女中の部屋に、番頭たちが夜中に忍びこもうとして失敗するネタです。(今だとちょっと放送できなさそうですが)
アイドルも、ダンスや踊りを通して自分のキャラを演じ、舞台やドラマではそのキャラにあう芝居をするわけですから、「ほぼ同じ構造や」と思いました。
体の前後が縫合できたら、表裏をひっくり返します。
なんか宮尾すすむ(「ハイッ!」の人)みたいなのができました。実は、推しぬいの本に、小遊三のヘアスタイルであるM字ハゲの型紙がなく、あとでカットして調整するため長めに前髪をつけたのです。似てなくてとても不安に・・・。