リオのカーニバルってそもそも何なのか?
「カーニバル」はカトリックの暦上、イースターに向けた禁欲期間へ入る直前の「騒ぎ納め」のような期間のこと。街中でライブイベントや打楽器の生演奏が催され続ける。
その中でもメイン規模なのがいわゆる「リオのカーニバル」、全長700mの長い通路状の専用会場「Sambódromo(サンボードロモ、通称”サプカイ”)」で催されるパレードコンテストなのです。
コンテスト?そう、あれはただ賑やかなだけじゃなく、およそ3,000人規模のチーム同士が1年間かけて用意してきたパフォーマンスで優勝を争うコンテストなのだ。優勝チームには億単位の賞金が出る。パレードを作り上げるのに何億円もかかっているので、獲れなかったら大赤字だ。生活が懸かっている。
そしてこのチーム(”エスコーラ”とよばれる)は過去の出場成績ごとにリーグが分けられていて、異なる日程で競い合う。
カーニバル期間最後の日程にあたるのが最上位チームが集まる”スペシャルリーグ"で、今年は3月2日~4日の3日間で12チームが出場した。私が観に行ったのは後半の2日間です。
会場に向かう道がちょっと怖い
ホテルから会場までは地下鉄で数駅の距離。
地図上だと近いのだが、道中気を張るし会場で座席にたどり着くまでも結構大変なので、さっそく体力が削られる。

駅に着いたら会場の入り口へ向かう。この道が結構危ない(怪しい露店や路上にたむろしている人々が多い)とされていて、同行者たちと団子になって移動した。


ちなみに手前を歩く人々が持つ青い袋には衣装が入っていて、みんなこの日の出演者たち!IKEAの青い袋とか持って歩いたら出演者気分が味わえたかも。
チケットはスマホのQRコードで表示する最新式
少し歩くと、いよいよ会場が見えてきた。
会場は誰でも入れるわけではない。事前にチケットを購入し、専用アプリでQRコードを表示できるようにしておく必要がある。これが大人気で、特に人気チームが出る日は爆速で売れる。例年数か月前には売り切れてしまうため、私は9月に買いました。
ちなみにチケットは1日18,000円。スペシャルリーグの3日間すべて観に行くと54,000円もかかる。ほとんど駅徒歩15分の木造アパートの家賃である。

左に立っている看板はセトールと呼ばれる「セクション」の案内で、長い会場を分割して示している。コンサートの座席がA、B、C、アリーナ…みたいに分けられているのと同じようなものだ。
私たちが買ったチケットは「セトール3」なので直進すると、入り口に続く長蛇の列が見えてきた。





まだ空いているけれど数時間後には人でミッチミチになります。


クッションを売り歩く売り子もたくさんいた。
ホテルを出てから約1時間後、やっと腰を下ろすことができた。パレードが始まるのは22時だが、この時はまだ19時。ここで少し仮眠します。
なぜならパレードは朝5時まで続くから!
と目を瞑ったが、最新式LEDのカラフル照明に絶え間なく照らされ続けるためにほとんど眠れなかった。
パレードが始まる前に広告枠がある
パレードの本編が始まる前に、車の宣伝や女性の権利を訴えるデモパレードなど、「広告枠」みたいな時間がある。YouTube広告みたい。

いよいよパレードが開幕
最初のチームの名前とメインダンサーなどリーダー格の出演者の名前がアナウンスされた。
いよいよ「リオのカーニバル」の開幕です。
この日最初のチームは”Unidos da Tijuca(チジュカ)”(以下Tijuca)

パレード前に、スタート地点付近で「バテリア」とよばれる打楽器隊がオープニング演奏をする。200人以上の一糸乱れぬ演奏。これがめちゃくちゃかっこいい!
なんと、パレードは全て生演奏。各チームに所属するバテリアと弦楽器と歌手が終始演奏し続けるのだ。このバテリアの音やリズム、使う楽器も各チームで特徴があって面白いんだよなぁ。
また演奏するサンバもこの日のためのチームオリジナルソング。毎年チームごとにテーマを決めて、それに沿った曲・歌詞・衣装・振り付け・山車を駆使しパレード全体でテーマを最大限表現するのだ。曲は事前にサブスクで配信されるためみんな知っていて、会場は大合唱になる。
テーマは政治的な背景や神話を踏まえていたりチームがある地域の歴史を語っていたりと、複雑で奥深いものが多い。賑やかに見えて結構泣けたりするものです。
パレードの最初から最後にかけて流れができていたり歌詞に出てくるものが散りばめられていたり、知れば知るほどめちゃくちゃおもしろコンテンツですよ。リオのカーニバルは。ふんふん(鼻息)。
ちなみにTijucaの今年のテーマは「ログン・エデ:老人が尊敬する聖なる少年」とのこと。神話がベースで、要するに年長者への尊敬と伝統の重要性を訴えるものらしい。