広告企画 2025年1月15日

京橋にあるスマートロック開発拠点を見せてもらった

Bitkeyのハードウェア開発拠点は京橋にあるという。

京橋という響きとハードウェア開発が全然似合わない。しかも作っているのがスマートロックという最新のデバイスだ。それを京橋でねえ。

畳の上で職人がひとつひとつ手作りしているイメージしかない(偏見)。

その職人の様子を見せてもらおうじゃないか。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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Bitkeyとはどんな会社か

Bitkeyは鍵をデジタルでコントロールするシステムやデバイスを作っている会社である。
最近、シェアオフィスなどにあるだろう。スマホで操作するとドアのサムターン(施錠するつまみ)をウイーンと回してくれる装置だ。データセンターや県庁にも導入されてるらしい。(Bitkeyからのお知らせ1お知らせ2

こういうのですね

会社名がBitkeyでこれらのデバイスがbitlockという名前だ。
解錠するところを横から見せてもらった。

Bitkeyとは…としたり顔で説明してきたが、ただ回っただけで「うぉおお」と言っている。それだけではない。bitlockで解除したあと、同行した編集部石川さんが押すと引くを間違えて「あかない!」と少し騒いだ。 

047.jpg
スマートロックで解錠しても押すと引くを間違えると入れない

名刺交換から5分で我々の技術レベルを披露してしまった。優しく教えてもらおう。 

今回、案内してくれるのはBitkeyの川名さん(左)と佐藤さん(右)。優しそうで良かった。

優しそうなのに、合成写真のように撮れてしまって申し訳ない。本当にいます。

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未来のオフィスだった

ハードウェア工房見学の前にBitkeyの製品を見せてもらったのだが、オフィスの入口がまるでSFだった。 

ずーっと顔認証をしていて、登録した人が近づいてくると開く

登録した人がドアに近づくとスーッと開くのだ。IDカードをかざしたり、顔を近づけたりする必要はない。

かと思えば、人通りが多い通路の扉は顔を近づけないと開かない設定になっている

「その部屋に入る意図はないのに、近くを通っただけで毎回開いてしまうと困るから」だそうだ。
そういう機能のひとつひとつに、過去に何かあったな…という物語性があって味わい深い。

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ドアに合わせる

bitlockを後付けで取り付ける場合はドアに両面テープで貼り付ける。しかし気になるのは世の中にはいろんなドアがあるということだ。

サムターン(鍵をかけるためのつまみ)の形も違えば、サムターンに台座があったりなかったり、防犯対策や意匠によっていちいち違う。

bitlockはそれらに対応するように設計されている。

細かい工夫

サムターンの台座にあわせて高さが変わるし、サムターンを万力のように挟むようにできている。 

これを実現するために「めちゃくちゃ調べました」だそうだ。

Bitkeyの製品はドアに貼り付ける後付けタイプだけではない。ドアと一体になっているタイプもある。

カーテンを開けると鍵がずらり

既存の鍵メーカーと共同開発した鍵だ。鍵を動かす部分は鍵メーカーが担当し、Bitkeyのシステムと連携する部分はBitkeyが担っている。
一体型で自然なデザインになっているし、なにしろサムターンのデザインに悩まされることはないのがいい。

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いよいよ工房へ

そして京橋の本社内にある工房を見せてもらった。

京橋のイメージじゃない

天井からぶら下がっているコンセント、キムワイプ、オシロスコープ、素敵な研究室だった。
ハードウェア担当のスタッフを紹介してもらったが、
「技術のトップ、白木さん。佐々木さんはクラウド。鈴木さんは品質保証、岡村さんはメカ担当、信頼性の水谷さん、電気の安達さん」と、オーシャンズ11ばりの役割分担があったのがかっこよかった。食いしん坊担当はいなかった。

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工房の装置を見せてもらう

工房には素敵な装置が並んでいる。まず説明してもらったのが実体顕微鏡。

スマートホームで顕微鏡?

この顕微鏡でドア材を研究しているのだ。世の中のさまざまなドアに対応しなければいけない。

これは木目調の鉄板の拡大画像。人工的にザラザラ感を出している

会社によって細かい凹凸の作り方が違い、それによって両面テープとの相性が異なるそうだ。ドア材に応じて、接着面積を増やすようなパーツを追加したりする、とのこと。 

新居のドアどれにする~♪、と本来であれば楽しく見る建材カタログも真顔でなでる

街で見かけたドアが気になるか聞いたところ、「将来的には触るだけであーこれねって分かるようになりたい」と野望を教えてくれた。そうなった暁にはスマートキーとか関係なくドア表面マニアとして取材したい。 

触るだけでドアが分かる男になる。品質保証の鈴木さん

実体顕微鏡があるらしいと聞いていたので、自宅から見たいものを持ってきたのだった。紙やすりを。

これ拡大したらどんな感じなんですかねえ
うおー、たまんねー

大きさの違う砥石が埋め込まれている。こんなおもしろい装置があったら1日中いろんなものを見て遊んでしまいそうだが、きちんと研究をしているのがすごい。

サービスで見せてくれた10円玉の拡大映像。 右上の青線の部分の凹凸が分かる。たまんないな!!!

顕微鏡だけで1万字ぐらい書けそうだが、このほかの設備もそれぞれ1万字レベルのおもしろさだった。 

3Dスキャナー
当然3Dプリンタはある。光造形タイプだった
3Dプリンタでbitlock用のカバーを出力してもらっちゃったりして

カバーを取り替えることでこうしてロゴを入れられる。3Dプリンターでイメージを作ってもらった。
オフィスがないのにbitlockのカバーだけ先に手に入れてしまった。 

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タイムふろしきは実在します

次に見せてもらったのが恒温槽。温度を一定にしておける装置で、ひとつの目的は北海道など寒冷地で使えるかの検査をするため。
「そして、もうひとつの用途が『タイムふろしき』なんです」

タイムふろしきと言われて石川・林が真顔になる

Bitkeyの製品は鍵に取り付けられることもあり、長く使われることを想定している。そのため製品が何年持つか評価しなければならないが、当然同じ時間をかけて試験はできない。そこでこの装置で熱によるストレスをかけて短時間で実使用での寿命を確認している、とのこと。

なるほどタイムふろしきだ。実在したのか。

このほか紫外線の照射試験も専門機関で行っているそうだ。ドアに貼り付いているため、西日が直接あたる環境もある。現実世界はいちいち厳しい。

そして僕が以前から欲しかったプッシュプルゲージもあった。押す力を測定する装置だ。

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上からどれぐらいの力で押したらbitlockが剥がれるかの試験

ドアに貼り付けるbitlockは物をひっかけるのにちょうどいい形をしている。
絶対に傘はぶら下げるだろうし、帰ってきて靴を脱ぐときに買い物袋を引っ掛けるかもしれない。そういうユースケースを考えての試験だ。

執念を感じる粘着テープのレイアウト

ユーザがあまり考えないで使えるように考えられている。世の中の考える量は一定なのかもしれない。

こちらは健気につまみを回し続けるbitlock

ドアのつまみが重くなってモーターが回らなくなったことがあったそうで、それを擬似的に再現しているとのこと。重いつまみをわざと作ったそうだ。 

これが実際の経年劣化したドア内部の機構。ホコリや砂が入って固くなる。

貼り付ける素材がさまざまで、西日があたって、ホコリが入るような場所で使うものを作る。大変だ。
でも、無責任な言い方をすると、大変だけどちょっとおもしろそうですね。

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