桃太郎ゴリ押しの裏にあるもの
全国的にも周知の通り、岡山は桃太郎を一点張りでゴリ押ししている。
岡山の桃太郎一点張りとゴリ押しは生粋の岡山県民である僕から見てもちょっとどうかと思うほどで、当サイトの記事でもたびたび指摘してきた。
実は(あまり知られてはいないが)岡山の桃太郎ゴリ押しは根も葉もない妄言という訳ではない。
一応の根拠が存在する。
岡山に古くから言い伝えられてきた温羅(うら)伝説だ。
温羅伝説は、古代の岡山地域を統治していた温羅(うら)という鬼を、吉備津彦命(きびつひこのみこと)と3人の家来が退治したという昔話だ。
岡山県民は大体のストーリーくらいなら説明できるほど有名で、桃太郎のルーツになったと信じて疑わない。
しかし不思議ではないだろうか?ちゃんと根拠があるならゴリ押ししなくても堂々としていれば良いんじゃないか?と。
温羅伝説は岡山に古くからの伝承で間違いないが、実は桃太郎のルーツになったというのは一つの説に過ぎない。
そして温羅伝説が桃太郎の起源だとする岡山県民の主張には、これまで他県民の目にほとんど触れてこなかった決定的な矛盾がある。
岡山起源説のアキレス腱
ご存知の通り、おとぎ話の桃太郎で鬼が住んだのは海に浮かぶ鬼ヶ島である。
しかし温羅伝説では鬼(温羅)が住んだのは山の上にある鬼ノ城(きのじょう)↓だ。
物語は長年語り継がれる間に変容することもあるだろう。しかし山の上の城が完全に対極にある海の上の島に変化することがあるだろうか?
その至極真っ当な疑問について岡山県民は見て見ぬ振りを貫いている。
そんな岡山県民にとって都合の悪い鬼ノ城へ行ってきたのでご紹介しつつ鬼ノ城問題を検証したい。
デートスポット化している鬼ノ城
鬼ノ城への公共交通機関はないので自動車を使う。岡山市の中心部からだいたい45分くらいかかる。
鬼ノ城へ向かう登山道は川沿いに整備された公園の一角にある。
なお、僕が鬼ノ城に行くのは今回で2回目だ。前回は小学生の頃なのでおよそ30年前の話である。
以前行った時には山頂付近にちょっとした広場があるだけで何もなく、鬼が住んでいても不思議ではないほど寂れた場所だった。
道中には「道が狭い」と書かれた看板が次から次へと現れる。以前の別の取材先で道路が狭くて進むことも戻る事も出来なくなった経験があるので戦々恐々としてしまう。
しかし、結果的には僕がこれまで取材した場所に比べると広い部類だった。ちゃんと舗装されているし車がすれ違うためのスペースも一定間隔で整備されている。
ただこれまでの取材先と違い、対向車がやたらと多い。そして乗っているのはカップルやファミリーだ。
そんな違和感を抱いたまま山頂付近の駐車場に着くと、これまた意外なほどたくさんの自動車が止まっている。
僕は知らなかったが、かつての寂れた鬼ノ城は今や岡山県民の定番デートスポットとして人気だそうだ。
個人的にはマイナーな他の人があまり注目していない場所が好きなのでちょっと残念ではある。