洗い越しとは?
「洗い越し」と言っても、具体的にイメージできない方が多いと思うので、まずWikipediaの画像を引用しておきたい。
上記写真はアメリカの写真だけれど、日本の道路にもこういった洗い越しはいくつか存在していて、ネットを検索してみると、特に国道157号の洗い越しや、福島県いわき市の洗い越しなどが有名らしい。
で、洗い越しであるだけでなく、その中に県境があるという場所もあるらしい。地図でみるとこのあたりだ。
件の洗い越しは、茨城県と栃木県の境目で、おそらく、県境となっている洗い越しは日本で唯一だと思われる。
ネットで検索すると、この洗い越しは「入日の洗い越し」ということになっている。普通に読むと「イリヒのあらいごし」でいいのかもしれないけれど、どうも近くに「入日渡の滝」という滝もあって、この滝を「ヒワタシのたき」と読むという情報もあり、なかなか正式な読み方がわからない。
小字ぐらいの地名になってくると、ネットで探すだけではその読み方の情報がなく、意外と判らなかったりするもので、インターネットでちまちま検索していても埒があかない。ので、実際に行って確かめることにした。
入日の洗い越しには、真ん中に県境があり、漢字の読み方は現地の方に聞けばすぐわかるだろう。と、最初は思っていた。
秘境すぎる「入日の洗い越し」
東北道をひたすら北上し4時間、茂木町に向かう。
この日はご多分に漏れずの猛暑日であり、少しでも歩くと汗がドバドバ吹き出るというコンディションであったものの、なんとか、入日の洗い越し近くの駐車場までたどり着いた。
自販機とかトイレとかそういうものが一切ない、まじで車止めるスペースしかないストイックな「山内パーキング」というパーキングエリアにいったんはいって、入日の洗い越しまでのルートを検討する。
グーグルマップもだが、ふだん使っているナビアプリにも「入日の洗い越し」の場所の情報はない。そのため、この辺かな? と思うところにピンを立ててルートを検索してみる。
グーグルマップの経路案内だと、山道を登って、最後は歩いて行けというトンチンカンなルートを提示してくる。
これ、信じて行っちゃうとやべえやつだと直感したので、このルートはなしで、川沿いの農道を素直にさかのぼっていく。
もはや痛みすら感じる夏の日差しを感じながら、頼りない農道をしばらく進むと、まだらに水に濡れた、無骨なコンクリートの道が、突然めのまえにあらわれた。
あたりは耳がキーンとなるほど音がせず、ただ蝉の声がうるさい。水の冷気がかすかに漂う。
ネットを検索すると、もっと水量があるときもあるようだけど、ぼくが行った日はあまり水が流れておらず、ところどころ水が乾いているほどの状態だった。
で、もちろんこれの真ん中が県境となっている……はずだ。
この洗い越しが県境か。と、感慨深く県境をまたいだ写真も撮った。
さて、ここまで書いておきながら、みなさんにたいへん残念なお知らせをしなければいけません。
実は、喜んで記念写真を撮っているこの場所、県境じゃないっぽいことが、撮影を終えて帰宅し、色々とまとめている時点で判明しました。
どういうことか説明したい。まず、グーグルマップの地図をみてほしい。
ピンの刺さっている部分が入日の洗い越しなわけだけど、ちょうど川を割るように県境のラインが走っているのが見えると思う。
しかし、帰宅してから(行く前に確認しろよという話だけど)境界がグーグルマップより正確と言われているゼンリンのいつもNAVIで確認してみたところ、洗い越しのあたりは県境が川筋を離れて栃木側にズレていることが判明したのだ。
つまり、写真でいうとこういう感じになる。
グーグルマップを信じるのか、ゼンリンの地図を信じるのか。
一応、農水省の農地ナビで農地の所属を調べてみたところ、やはりゼンリンの地図の境界の方が正しいっぽい。
残念ですが、入日の洗い越しは、県境の近くではあるけれど県境上ではないという結論に至りました。ファー。
まあでも「県境に日本一近い洗い越し」ということにはなると思うので、このあたりは別にいいじゃないかという気もする。そう、ポジティブシンキングなんです、私。