特集 2020年11月27日

青菜6品目で決めたベストジェノベーゼはパクチー

ジェノベーゼが好きだ。パスタをバジルのペーストで和えたアレである。スーパーでペーストの瓶が売っているのでパスタを茹でるだけですぐに食べられる手軽さがいい。

少し前にとあるレストランで大葉のジェノベーゼを食べたことがあり、それがなかなかにおいしかった記憶がある。そしてそのとき思った。当たり前に受け入れてきたジェノベーゼの緑色、もしかしてバジルでなくてもおいしいのでは?

というわけで青菜6品を使ってジェノベーゼを作り、ベストジェノベーゼを決めていきたいと思う。
 

1993年東京都生まれ。与太郎という柴犬と生きている普通の会社員。お昼休み時間に事務員さんがDPZを見ているのを目にしてしまい、身元がバレないかハラハラしている。

前の記事:人の善意を感じる写真を集めて癒されるというライフハック


ジェノベーゼを再定義する

そもそもジェノベーゼとはどうやって作るのかというところから調べていたところ、驚くべき事実が発覚した。パスタの本場イタリアではジェノベーゼソースといえば「玉ねぎと肉の茶色のソース」のことらしい。

われわれ日本人がジェノベーゼと聞いて思い浮かべるあの緑のパスタはペスト・ジェノベーゼというようだ。(wikipediaより)

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サイゼリヤのグランドメニューには確かにジェノベーゼが2つある!

サイゼリヤでペストジェノベーゼを注文したところ、インゲン、じゃがいもの入ったリッチな見た目のものがでてきた。

筆者は具がないジェノベーゼしか食べたことがない。ジェノベーゼ界のセレブだ。

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ふわりとかけられたペコリーノチーズが高級感を演出している

いきなりジェノベーゼの奥深さを知ってしまったが、今回は緑のペスト・ジェノベーゼ、しかも青菜だけの具なしのシンプルなジェノベーゼを作り比べていきたい。

スタメン発表〜メンバーカラーは全員緑〜

青菜の中でもスーパーで買える一般的なもの、高級スーパーで買えるもの、河川敷で採取できる雑草の3カテゴリから2種ずつピックアップした。

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スーパーで買ったほうれん草とパクチー
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高級スーパーで買ったセルバチカとコブミカンの葉

広尾の外国人向けの高級スーパー見つけたのは全く耳なじみのない2品。

コブミカンの葉の方はもうどうみてもただの広葉樹の葉っぱで食べ物には思えない。しかし、酸味と香りが豊かでタイ料理に欠かせない野菜とのことだ。

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河川敷で摘んできたヨモギとオオバコ

雑草でもやってみては、という古賀さんのご助言から近所の河川敷に行き、食べられる雑草を探した。今の時代はカメラに映すだけで植物の品種を教えてくれるアプリがあるので助かる。ちなみに魚の種類を教えてくれるアプリもあるらしい。リアルポケモン図鑑だ。

ジェノベーゼづくりは意外と簡単

基本のジェノベーゼはバジル、にんにく、松の実、オリーブオイル、塩コショウで作れるようなので、バジルをいろんな青菜に置き換えて調理した。

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紙コップに材料を投入し、ブレンダーでペースト状にするだけ。意外と簡単!
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当たり前だがすべて緑のため、地味な画である。

実食にあたっては古賀さん、爲房さんにご協力いただいた。区民センターの料理室を借りて実施したのだが、まるっきり家庭科室のような場所で銀色の調理台になつかしい気持ちが溢れる。

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すべて緑のため、混乱がないようホワイトボードに書いた図。実験の授業のようだ。

最適解という感じがすごい ペスト・ジェノベーゼ

まずは基本のバジルから食べていく。
レトルトでなく、はじめて生のバジルからつくった王道ジェノベーゼだ。期待に胸が高まる。

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マッチ度:★★★★★
・みんなが知っているあの味
・おつまみの味(塩を入れすぎた)
・さすが王道の風格
生のバジルの香りが鼻に抜けてさわやかなおいしさが広がる。そりゃあ昔の人もいろんな青菜がある中でバジルで作ろうと決めたのだから当たり前だが、味だけでなく、葉の柔らかさからペースト状にもしやすく、最適解という感じがすごい。

一発目から隙のないバジルの実力を見せつけられてしまったが、それでも筆者はジェノベーゼの新天地を開拓したい。フロンティア精神を捨てず肝心の青菜6品の検証をしていく。

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胃腸が弱っているあなたに ほうれん草ジェノベーゼ

ほうれん草は青菜の中でもクセがなく、何の料理にも合うが、バジルよりも香りは控えめであるため、主役としてはどうでてくるか注目したいところである。

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マッチ度:★★★☆☆
・色がすごくいい
・主張がない
・葉っぱの味がない
・おいしい離乳食

普通においしい。おいしいが、やはりバジルに比べて香りがないため、気の抜けた味になっている。
古賀さんがおいしい離乳食だ!と言っていたが、たしかに味の少なさからしてなんとなく消化によさそうである。胃腸が弱ってるときに食べてほしいジェノベーゼです。

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実食の風景がまったく変わり映えしない

和っぽい大人の味 セルバチカジェノベーゼ

続いてはセルバチカ。これまで聞いてことがなかったが、ワイルドルッコラとも呼ばれていて、ゴマのような香りが特徴のイタリアンハーブらしい。胡麻和えパスタみたいになるのか。胡麻和えパスタなんて聞いたことないけど。

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マッチ度:★★★★☆
・ゴマダレっぽい匂い
・葉っぱ感、青っぽさがつよい
・からい、からし菜っぽい
・和食の味

ピリッとしたからさがあっておいしい。大人の味だ。あとあと調べてみたら「ロボウガラシ」という和名があるようだ。和風で上品な味で、これは個人的にリピートしてしまうかもしれない。
セルバチカのレシピを調べてみるとサラダとして食べるのが一般的のようだ。最初からペーストにして食べるのはきっとイタリアの赤ちゃんかわれわれか、といったところだろう。次はサラダとして普通に食べてみたい。

パクチー好きなら絶対これ パクチージェノベーゼ

パクチーは香りが強く、バジルよりも好き嫌いが分かれる曲者だ。パクチーは好きだが、添え物でなくパクチーメインとなると少し緊張感がある。

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マッチ度:★★★★★
・そもそもパクチー好きなのでおいしい
・オイルとパスタで少しマイルドになっている
・パクチー専門店にありそう
・パクチー好きに食べてほしい

筆者と古賀さんはパクチー好きであるから欲目かもしれないが、パスタとちゃんと合っていてかなりおいしい!爲房さんはパクチーが苦手とのことで、一口食べて「あっパクチー!」とノックアウトされていた。やはり人を選ぶ味ではあるようだ。

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古賀さん「合う合うこれ合うわ」

あとで調べてみたところ、パクチーのジェノベーゼのレシピはすでに結構あるようだ。そりゃそうだおいしいもの。筆者はタイ料理やパクチーが大好きだが、一人暮らしで消費するには量が多いといつも思っていたので、今度からペーストすればいいと発見できてとてもうれしい。多分パスタと和えるだけじゃなくて、何かしらのソースとしても使えそうだ。

改良の余地あり コブミカンの葉

今回のラインナップのうち最も未知だ。ただ、調理の過程で葉を千切ると完全に「ザ・タイ料理」の酸っぱいような、でもさわやかな匂いがした。タイ料理の匂いの正体はパクチーでもナンプラ―でもなくこいつだったのか!

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マッチ度:★★☆☆☆
・トムヤムクンの匂い、味はおいしい
・葉っぱを感じる
・かたい
・こりゃだめだ
・改善の余地あり

味はトムヤムクンっぽいさわやかな香りが口に広がり、おいしいのだが、葉の繊維がかなり強く、うまくペーストにし切れなかったため、葉っぱが口に残る。おいしさと食感がこんなにずれることってあるんだ、と思わず笑ってしまう。

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ブレンダーで砕ききれなかった葉っぱの茎。主張が激しい。
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のこったソース。ジェノベーゼというよりペペロンチーノのようだ。

こりゃだめだ、と口々に言うものの、味はおいしいのでどうにか改良してリベンジしたいところである。爲房さんがソースではなくて粗く刻んで食材として使ったらどうか、という意見をくれた。香り高いのであえて細かくする必要もないし、きっとそれが正解だと思いきや、撮影のあと下記の情報を知ることになる。

コブミカンの葉は硬く、煮ても柔らかくなりません。基本的にはローリエの葉と同じ扱いで、風味づけに使い、料理として一緒に盛り付け他としても最後にそれは残します。レモングラスなどとともに香りだけ移し、後で取り出すならお茶用のクロスパックなどに詰めて加えるといいでしょう。
引用元:こぶみかんの葉/バイマックルー/コブミカンの葉:旬のハーブ百科

そもそも食べるものではなかったのである。そりゃあそうだめちゃくちゃ固かったもん。以前大北さんがいろんな草でモヒートを作っていたが、この葉っぱもモヒートにしたらきっとおいしいと思う。 

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見るからに強そうである。柏の葉といい勝負。
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土手を感じる ヨモギジェノベーゼ

ついに雑草部門である。ヨモギはお餅とか団子とかの印象があるが、大人な味がしておいしい、という展開になるのではという期待と単純にめちゃくちゃたくさん生えていたので選出した。とはいえ野草を食べるのははじめてで急に怖い。

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お腹壊したらすみません、とあらかじめ謝罪しながら念入りに洗った。

路傍はお犬様のおトイレゾーンの可能性があるので、なるべく人の出入りが少なく鬱蒼と生い茂っているところから採取したが、それでもワイルドな草を食するのは初めてのため緊張感がすごい。入念に水洗いし、しっかりと加熱して出来上がったヨモギジェノベーゼ。見た目はすこし緑が濃い程度でいたって普通のパスタである。

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マッチ度:☆☆☆☆☆
・荒々しい、洗練されていない味
・えぐみを感じる
・おいしくない
・薬っぽさ
・爲房さん「土手を感じました」

大人になってから食べ物に対してあまり否定的な意見を言ったことはないが、これははっきり言えるくらいおいしくない。苦み、えぐみをはっきり感じられて自然の厳しさを教えてもらっているようだ。草餅、草団子などおいしい調理法を発見した人、ほんとうにすごい。

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爲房さん「アンデルセン公園で芝生にシート敷いてのんびりしたときの感じがしました」

新食感ぬるぬるパスタ オオバコジェノベーゼ

最後は同じく野草であるオオバコ。見た目がヨモギよりも野草感がなく、ルッコラとかベビーリーフみたいな感じだったのでそこまで警戒心はない。が、もちろん入念に洗浄し、加熱した。オオバコは食物繊維が豊富でどうやらダイエット食品として加工されることがあるらしい。おいしければヘルシーなパスタとして名を馳せることになるかもしれない。

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マッチ度:★★☆☆☆
・粘り気がある、ぬるぬるする
・からし菜っぽい
・味はおいしい
・荒々しさはない
・口がかゆい気がする

味の感想よりも先にぬるぬるする!と出てくるほどぬるぬるしている。とろろそばは聞いたことがあるが、ぬめり気のあるパスタは新しい。
味はヨモギほど荒々しさはなく、セルバチカよりは野性味を感じるがおいしい。こちらもからし菜のようなピリッとくる辛さを感じた。

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ぬめりで照っている割りばしとすこし糸を引いているソース。

ダイエット食品として加工されることがあると記したが、そのぬめりから片栗粉の代わりに糖質が抑えられ、食物繊維がとれるとして流通しているらしい。バジルと比べてどれくらいヘルシーになるかは不明だが、健康を意識した食品が多い昨今、オオバコジェノベーゼソースが流通する未来もそう遠くないかもしれない。とろろやなめこそばに混ぜたら人気が出そう。

ベスト・ペスト・ジェノベーゼはパクチー

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6品目試してきたが、今回筆者が選ぶベストジェノベーゼ、いや、ベスト・ペスト・ジェノベーゼはパクチーである。

すでに一部では人気があるようだが、まだ試したことがない方が多くいると思う。是非これを機に作ってみてほしいし、パクチーのジェノベーゼのレトルトソースがスーパーに並ぶ未来も近いはず。わたしは買います。


結論:野菜ってすごい

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雑草2種を食べてみて感じたのは「野菜ってすごい」である。野菜というのはパスタやオリーブオイル、その他の食材との調和が圧倒的に取れる。農家さんひとりひとりにありがとうと言いたい。野菜、めちゃくちゃおいしいです。

ただ思った以上に味のレベルは高く、なかなかにいい勝負だった。

実際に余った食材はコブミカンの葉以外、すべてジェノベーゼソースにして冷凍保存しているのですこしずつ食べていこうと思う。

コブミカンの葉は本当においしく、これ単体でトムヤムクンができてしまうのではないかと思うくらい万能な葉っぱであった。こちらのスキル不足でおいしく調理しきれず悔しい。

そもそも食べるものではない、という事実を突きつけられたが、ジェノベーゼにしたい願望が諦めきれないのでコブミカンの葉すらのペーストにできる強靭なフードプロセッサーを探す旅に出ます。冬のボーナスつぎ込んじゃうぞ。

おわり。

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