まずは川にコイを捕まえに行く
マスグーフに必要なのは、もちろん新鮮なコイである。その辺の魚屋ではあまり売られていないので、アリサさんがわざわざ池袋の中華食材店で生きたコイを購入してくれることになった。
でもどうせなら捕まえて食べたいよね~ということで、希望者は午前中に網を持って集合。
アリサさんが事前にコイが溜まっている場所を調べてくれていたのだが、数日前に大雨が降った影響なのか、そこには一匹もいなかった。これは自然が相手なので仕方がない。
きっと下流に流されたのだろうとゴミ拾いをしながら川を下っていくと、コイらしき魚影が水中に消えていくのを目撃。少し深い場所だったので、先発隊が陸路から下流に先回りをして、川が細く浅くなっている場所で待ち伏せ。そこに追い込むという作戦が決行された。
私はコイを追う係として、バシャバシャと適当に網を振り回していたのだが、川を逆走してきたコイが私の網にドスンと突っ込んできてネットイン。思わぬ形で無事に天然のコイを捕まえたのだった。
なんだか二年分くらいの運を使ってしまった気がする出来事だった。
こうして捕まえたコイを持参して斉藤さんと合流したのだが、現地では養殖の丸々したコイを使うそうで、野生魚のマスグーフは食べたことがないと喜んでくれた。
コイを背開きにする
斉藤さんが現地で学んできたシリアの家庭料理を同時進行で習いつつ、イラクの名物料理であるマスグーフをみんなで作っていく。その会場はイラン人を父に持つアリサさんの家という平和な空間。戦争反対。
マスフーグの作り方は至ってシンプル。生きたコイを背開きにして、内蔵をとって、塩を強めにして、しっかりと焼くだけだ。
現地では、ちょっとしたご馳走としてマスグーフ専門店で食べることもあるし、開かれたコイを買ってきてバーベキューのように屋外で焼くことも多いとか。
大きな魚を直火で焼くのは難しい
マスグーフの理想形は、地面の上で焚火をして、その近くに開いたコイを立てる方式だろうか。だがその環境を用意するのはなかなか難しい。
そこで今回は専門店スタイルではなく家庭料理版として、バーベキュー台を使った焼き網式でチャレンジとなった。このサイズの焼き台が家にあるというのもすごい話だが。
鱗がついたままの皮側を下にして(皮は食べない)、直火で焼くことで煙の香りを纏わせるのがポイントと思われるが、さすがに火の勢いが強すぎる。
すでにすっかり日は暮れているので、程よい熾火になるのを待ってなんかいられない。コイを捕まえるところからやっているのでお腹はペコペコだ。
どうしたもんかとみんなで相談した結果、網を立てた状態で無理矢理固定して、火にかざすように焼くという、より本場感のある焼き方が導き出された。ナイス皆さんのDIYセンス。
こういう行き当たりばったりの試行錯誤が一番楽しい。
シリアの家庭料理も習いました
焼けるまでかなり時間が掛かりそうなので、先に斉藤さんが作ってくれたシリアの家庭料理をいただく。
どれもまったく知らない料理だったが、不思議と懐かしく感じる味だった。これもまた詳細をレポートしたいけれど、長くなるのでいつか別の機会にて。