特集 2021年10月11日

たまごの“白身だけ”入りインスタントラーメンがうまい

インスタントラーメンを作る際、なんにも具がないのも寂しいからと、麺をゆでている鍋に生卵をポトリと落とすのが定番、なんて方は多いのではないでしょうか?

かくいう僕も、つい最近まではそのひとりでした。が、実はずっとどこか釈然としない気持ちを抱きながらそれを食べてきたのです。理由は後ほど説明します。

とにかく今回は、その解決法をついに見つけたかも! というお話です。

1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。

前の記事:しょうゆせんべいにマヨネーズをぬるとうまい


定番「玉子入りラーメン」の罠

まずは見てください。

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これです、これ

定番ですよね?

インスタントラーメンの麺をゆではじめ、若干ほぐれてきたあたりで鍋のすみに静かに生卵を落とす。すると麺がゆであがるころにはちょうど、ポーチドエッグ状態といいますか、いい感じの半熟玉子になっている。

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で、一見パーフェクトなラーメンが完成

このラーメンを、いぇ~い! うまそ~! なんつって食べ始める。実際、うまい。ところが、途中のどこかの段階で、どうしても黄身をつぶすことになりますよね? するととたんに、丼のなかが不穏な空気に包まれます。

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ここまではいい

麺にとろりとした黄身がからんでちょっと味わいが変わり、とても美味しい。

けれども次の瞬間、

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世界の崩壊が始まる

そもそもスープに浮かんだ半熟玉子って、そうそう上手に食べられるもんじゃなくないすか? 一度割ってしまったら最後、黄身がどんどん流出していく。とたんにスープがぬるくなる。しかも、黄身が混ざってしまうことでスープの味がぼんやりし、にごって見た目も悪くなる。さらには、せっかく大切に思っていた黄身を、自分はすべて食べきったのか、スープをすべて飲み干さない限り、確証が持てない。

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最終的に、なんだか悲しい気持ちで食べ終えることに

あの食べはじめのころのテンションはどこへいってしまったのか。というか、ふり帰ってみればむしろ、

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ぷりんぷりんの白身

を麺と一緒にかっこんでいたころのほうが、ずっと幸せだったと言えないだろうか?

毎度そんなことを感じつつ、次にラーメンを作るとき、うっかりまた卵を入れてしまい、同じ悲しさを再び味わう人生をこれまで送ってきました。

ちなみに同様の理由で、生卵を浮かべた「月見そば」にも釈然としなさを感じています(でもバカだからうっかりまた頼んじゃう)。

偶然の発見

ところが先日、すごいことに気がついてしまったんです! それ以来ひとまず、あの悲しみを感じることはなくなりました。

きっかけはまさにデイリーポータルZで、先日こんな記事を書かせてもらった際、卵黄をトッピングに使って卵の白身だけが余ってしまい、とりあえず冷蔵庫に入れておいたんですね。

で、翌日、お昼に最近気に入っている、マルタイの「熊本黒マー油とんこつラーメン」でも食べようと思って、白身があまっていたことを思い出し、なんとなく入れてみた。

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そしたら、これがすっごいうまい!

あれ? インスタントラーメンに入れる卵に限っては、もしかして黄身いらない? と気づいてしまったんですよね。

黄身は確かに美味しい。けれども、スープに浮かべるとさまざまな問題が生じる。ならば白身だけを入れればいいし、そもそも白身のぷりんぷりん感のアクセントがラーメンを食べる楽しさを倍増させてくれ、純粋にこっちのほうが美味しいと、僕は思ったのです。

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「白身だけラーメン」の作りかた

そこで、あらためて「白身だけラーメン」を作り、やっぱりちゃんと美味しいのかを確認してみることにしましょう。

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意味があるのかはわからないけど、白身をよく混ぜておきます

今日は贅沢に、なんと卵ふたつぶん!

そうしたら通常通りにインスタントラーメン(今回はサッポロ一番の醤油)を作りはじめ、

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おおよそ麺がゆだったところで溶き白身を、全体に回しかけるように投入
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すぐにふわふわと白身たちが固まりだします

そしたらば、あんまり固くなりすぎないうちに火を止め、スープを加えれば、

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完成! 「白身だけラーメン」

どうです? もう、写真を見ただけで伝わりません? 超うまそうなことが。

実際、つるつるのちぢれ麺をすすると同時に、ふわっぷりっと麺に絡みついてくる白身の味がものすごくいいアクセントになっていて、なぜこれが定番じゃなかったんだろう? っていう美味しさ。

普通に溶き卵を加える「かきたま」ラーメンとも違い、白身だけラーメンはどこまでも軽快なんですよね。

当然、最後までスープが濁ってしまうこともないし、生まれて初めて、卵入りのラーメンを食べきった瞬間、純粋に「ふぅ~、うまかった!」と思えました。

いや~、人生における大きな課題をひとつ減らすことができたぞ。

個人的にはこいつがベストかも

最後にもうひとつだけ試してみましょう。

何度か白身だけラーメンを食べてみた結果、思ったことがあります。それは、僕の最愛のインスタントラーメンである「サッポロ一番 塩らーめん」。あの、さっぱりとした味わいとクリアなスープこそ、白身だけラーメンにはふさわしいのでは? ということ。

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さっそく作ってみました
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あぁ、これは絶対にうまい……
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では、いただきま~す!
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思わず目尻の下がるうまさ

追加の具材として加えた、刻みネギとごま、そして白身と、さまざまな食感が麺と混ざり合う食べ心地は、快感のひと言! で、思ったとおり、塩ラーメンのスープと白身の味わいの違和感のなさ!

あくまで個人的な見解ですが、現状、白身だけラーメンの醍醐味をもっとも味わえるのは、ポロイチの塩と結論づけておこうかな。


というわけで、僕は大好きすぎた白身だけラーメン。ご興味ある方はぜひ一度、騙されたと思って作ってみてくださいね。もし食べてみて、「あれ? 黄身も入ってるほうが美味しいんですけど」と思った場合、騙されたということでご了承ください。

あ、ちなみに「残った黄身はどうすんだよう?」問題ですが、これはもう、小皿に入れてだし醤油でもめんつゆでも注いでおけば、卵黄の醤油漬け的なおつまみになりますので、

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その日の晩酌のおともにどうぞ

 

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