特集 2018年11月25日

東京の砂金を採る

どうも僕は光るものが好きらしい。

光るきのこ光るコケ、来年の5月には光る藻も見たいと思っている。MOだってとりあえずシャッターを手で開いて光るディスクを眺める。そういえばいま金髪だ。こんなに自分が金ぴか趣味だったとは思わなかった。

そんな折、都内の多摩川で砂金が採れると本で読んだ。当然行くでしょ。

2003年10月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載したものです。

1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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遭難だけは気をつけて

10月某日、雨。

青梅線の沢井駅を降りて多摩川に出る。多摩川といっても僕らが知ってる下流の飼いならされた多摩川ではない。ワイルドな多摩川だ。

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砂金が眠る川。多摩川。

しかも雨である。

雨が降ってもまあ大丈夫だろう。砂金が上流から流されてきたりしてね(砂金は多摩川の上流の鉱山から流れてくる)などと、すべてをいいように解釈する。ニヤニヤ。

川沿いの遊歩道から川に降りた。

コオオオオオ

もっと静かな川面を想像していたのだが、雨のせいか川の流れがはやい。
…………、ちょっと、怖い、かも、な。
こうやって軽装のハイカーが遭難するのだろうか。砂金採りという欲に目がくらんだ理由もニュース的にはキャッチーだろう。目覚ましテレビの大塚さんあたりにニュース読むついでにばかにされそうだ。遭難するわけにはいかない。

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このなかから砂金を探します。

砂金採りの方法(オレ流)

金は比重が重いため、石の隙間の砂や草の根っこに混ざっている。沈んでいるのだ。

川原に生えている草の根っこの砂をとり、ふるいにかける。小石を取って砂だけにするのだ。その砂を皿にうつす。

砂金採り専用の皿(パンニング皿)があるのだが、東急ハンズ新宿店では扱っていなかった。

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ふるいにかけて小石を取ります。

「比重を見るだけだから、なんでもいいんですよ。そこらの洗面器でも」

東急ハンズの店員は言っていた。そうなのか、というか東急ハンズの店員って砂金採りの経験もあるのか。その人の話を参考に、100円ショップで買ってきた盃に紙やすりをかけてパンニング皿として使った。盃は正月におとそを飲むようなやつだな。

さあ、砂金、とるぞ!

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手製のパンニング皿。

 

マニュアルどおりにはいかない

パンニングの基本的な動きは、

1.皿を静かに水面に沈める
2.ゆっくりと左右に回転させる
3.円を描くように揺らしながら水面から斜めに引き上げる

である。さんざん入門書や専門のホームページを見て覚えてきた。この動作を繰り返すと軽い砂が水に流れ、比重の重い砂金が皿の上に残るのだ。どうだ。

やってみる。

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このようにお皿を回すと、

川に思いのほか波があり、皿を沈めたとたんに皿の上の砂が流れていってしまった。

あああ!

マニュアル本の知識はあっという間に流されてしまった。10代のころ、同じような気分を味わったっけ。ええ、本にはそう書いてあったのに。この穴なに?そんな感じだ。

波が来ないところで再度チャレンジ。

だんだんわかってきた。皿をぐるぐる動かしていると遠心力で軽い砂が皿から落ちるのだ。ははーん。

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比重の重い砂が残るわけですね。

はかせ!なにか光ってます

水が冷たいかと思ったがそれほどでもない。
我慢できる冷たさだ。

ぐーるぐる ぐーるぐる(皿を回す)
………。
…………。
………おしっこしたい。

体の芯まで冷えてきた。
と、なにか皿の上に光るものを発見。これは!

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ん?

 

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1ピクセルぐらい、光るものが。

あらかじめ用意しておいた小瓶に水を満たし、砂金(らしき粒)を小瓶に落とす。

粒は水中をすとんと落ちていった。この重さ、ほんとに砂金かもしれない。

興奮のなかに尿意もわすれた。

靴だしっぱなしじゃん

1時間ほど砂金をとった。

長靴に履き替えて作業していたのだが、脱いだスニーカーを放置していたので中に雨がたまっていた。

金に興奮して正常な判断ができていない。
ちなみにここに来るまでの電車の中でも帽子と傘を忘れてきている。乗り換えるたびに荷物が少なくなっていた。

結局、砂金(と思われる粒)を3粒ほど採ることができた。

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靴がずぶ濡れだ。

うどんを食べながら

水浸しでぐっちゃらくっちゃらいうスニーカーをはき、川沿いにあった清酒工場の売店でうどんを食べた。
冷え切った体にうどんが染み入る。そして手元には砂金(と思われる粒)が入った小瓶。
むふふ。

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冷えた体にはうどんもゴールデン。

うどんを食べながら光にかざして見てみる。

皿の上では光っていた粒だが、ビンに入れるとあんまり光っていない。

光線のかげんによって光っていたりいなかったり。ツヤのある黒い粒が光を受けて光っていたり、微妙に鈍く光る粒たちよ。

砂金だと信じたい。

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さっきは光ってたのにな…。

家に帰って紙の上で撮影したのが右の写真。

………砂金だろうか。

いや、砂っていろいろあることがわかった。ひとつひとつ色や形が違う。ただの砂粒なんてない。

そんな視点を手に入れることができたのは金よりも尊い僕の宝だといえよう。

でも、悔しいのでまたいきます。

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ぶっちゃけ、雲母かもな。

 

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