特集 2020年3月4日

あえて「よけいなことをする」とはどういうことか

今年はうるう年だ。先の2月29日。この暦の余力日を盛大に祝すべく、われわれデイリーポータルZは総力特集を打った。

その名も「よけいな1日によけいなことをする」。

総勢11名のライターが腕によりをかけ普段はしないよけいなことをして記事にまとめあげた。

人があえて「よけいなことをやるぞ」と意気込むとどういうことをやるのか。それを見ていきたい。(古賀及子)

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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こんな企画でした

よけいなことといえば日頃はネガティブなことだろう。

「よけいなお世話だ」「よけいなことを言ってしまった」など、行動についてとがめたり後悔をあらわすときに使うこともある。

しかし、そこを、ポジティブにやっていこうとなったとき人間はどう発想するのか。

この、更新された11の記事から、よけいなこととはどういうことだったのかを6パターンにわけてみて行こう。

パターン1「台無しにする」

まず最初にみていきたいのが「台無しにする」パターンだ。

無糖の飲みものに砂糖を入れる(ほり)

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わざわざ無糖の飲み物を買ってきて、わざわざ加糖する記事。せっかくの無糖が台無しだ。

ライターほりさんは冒頭で

つまり、無糖の商品に加糖するのは、商品購入時の取捨選択を踏みにじる、よけいな行為である。だがそれをする。

と書いている。

「だがそれをする」まさにやらなくていいことをやる見本のような態度だった。

そしてこちらも台無しの好例。

サラダを炒める(安藤昌教)

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サラダを買ってきて、炒めた。

つまりそれは、サラダではないものにするということだ。

シーザードレッシングの濃厚な香りが火を通すことでさらに濃さを増して、図らずもピザみたいな香りがしてきた。ピザの香りがするサラダである。混乱する。

やらなくてもいいことをやったことによって、普段では絶対にみることのできないよくわからない状況を生み出していた。

そのもののアイデンティティを奪う、台無しにするよけいさを見た2本だった。

パターン2「わざわざやる」

パターン1が台無しをいとわないわざわざだったのに対し、その先になにか可能性らしいものを見たチャレンジもあった。

のり巻きにのり巻こう(べつやくれい)

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のり巻きにわざわざもう一回のりを巻いたらどうなるのか。

わざわざよけいなことをしながらも目線はとてもポジティブだ。

実際、海苔の存在感が増す、うれしい方の結果が出た。

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オムライスに生卵をかける(林 雄司)

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ウェブマスター林は冒頭でこう言っている

やる理由は自分の中にしかない(ないかもしれない)

自分の中にしか理由がないのに、それすらないかもしれない。それくらいあやういことなのだ。よけいなことというのは。

結果的には生卵が全体をマイルドにしておいしくなるというOKな結果が導かれた。

しかし最後はこうまとめてあった。

いい結果を得るためとかそんな向上心があったらそれはよけいではない。だって、僕は目的もなくただやってみたかっただけなのだ。

よけいなことをする者のあるべき精神だ。

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パターン3「行動が誤差」

台無しにする、わざわざやる、おおむね同類語のようなパターン分けが続くが、次に紹介したいのが、やっていることが誤差みたいなものだった例。

牛皿とライスを買って家で牛丼にする(ジーン)

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タイトルどおり、牛丼を買わずに牛皿とライスを買ってあとでドッキングして牛丼にしようというもの。

ライターのジーンさんは「よけいなひと手間をかけてみよう」と明るくはじめているが、やっていることとしてはかなり微細なことだ。

結果、

普通に牛丼を買って持ち帰ると、家で食べる頃にはご飯がビチョビチョになってしまうが、それがない。

という結果も出て、考えてみたらびちゃびちゃが嫌でこうして買う習慣のある人もいるのではないかとも思わせる。

誤差だ。

パック寿司を海鮮丼にする(古賀及子)

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こちらもタイトル通りだ。スーパーでパック寿司を買って来て分解して海鮮丼にするもの。

寿司と海鮮丼の違いを誤差だと言ってしまうのは大変に乱暴なことだが、寿司を海鮮丼にしたときの違和感のなさはほぼ誤差といってもいい範囲だった。

言い換えれば、ほぼ意味がない。

寿司があるが海鮮丼が食べたい日がもしかしたら来るかもしれない。そういうときは、こうすればいい。

記事にはこうあるあが、そんな日はきっと来ない。

パターン4「多い」

よけい、という言葉には通常よりも分量が多いという意味がある。そこをやった例もある。

家で朝食を食べたあとモーニングを食べに行く(鈴木さくら)

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2回朝ごはんを食べるのだ。

もう一度言おう、2回、朝ごはんを食べる。多い。

飲み会で2次会に行くことはよくあろうが、朝ごはんの2次会はなかなかやることではない。圧倒的によけいだ。

しかし注目したいのは、単純に朝食を2回食べているのではなく、1回目を家で、2回目を店で食べているところだ。

ここで明らかになったことがある。

家での食事は『朝食』、喫茶店での食事は『モーニング』

別の物だったのだ。多さは豊かさでもあることを証明する記事だった。

家族で犬の散歩に行く(ヨシダプロ)

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人がよけいにいる、多いのがこちら。

この写真「先頭の犬を散歩させている集団」とは視認できない。しかし3人は一団なのだ。

一見してわからないレベルまでよけいさが高まった。

記事としてはおもわぬハートウォーミングな着地をしているのも見どころであった。

犬的には、家族連中を従えられていつもの散歩より満足そうだったので、それでヨシとしたいと思います。

パターン5「なにを言っているのかちょっとよくわからない」

ハンバーガーにポテトを挟むとダイエットによい(本当)(石川大樹)

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個人の感想になってしまうかもしれないが、ここまでわかりやすいよけいさが続いたところ、一瞬理解が及ばなかったのがこちらだ。

やってることとしては「わざわざ」に分類してもいいのかもしれないが、ハンバーガーになぜポテトを挟むのか、何度読んでもよくわからない。

「組み合わせるとこんな味なんだ…!」みたいな驚きは全然ない。まさに「ふつうにうまい」である。

結果的に何も起こっていないのもすごい。

通勤前にベートーベンちに行く(Satoru)

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タイトルを読んでどういうことなのかと思ったら、本当にタイトル通りだった。

ライターのSatoruさんはベートーベンちのそこそこ近所に住んでいるのだ(オーストリア在住)。

途中唐突にベートーベンの像がかたりかけるくだりなどあり気が抜けない。

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オチの写真が絵葉書のようであった。

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パターン6「ダジャレ」

ボトル湿布(藤原浩一)

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人生には思いついたからといってやらなくていいよけいなことがある。その一つがダジャレを実際にやることである。

との冒頭ではじまるダジャレ実行記事。なるほど、納得のよけいさだ。

ボトルシップを作るためにウィスキーを飲むところから始めているのも良いよけいさ。

これがボトル湿布が見せた新世界。輝ける大地の顕揚。

よけいであればあるほど声高になるのがライターの業だが、その味わいがあった。


だがそれをする

1本目に紹介した、無糖のお茶を買って加糖したライターほりさんの一声「だがそれをする」が本企画のすべてを語っているように思った。

よけいな行為である。だがそれをする。

それをすることによってむしろ何も生み出すべきではないという精神もウェブマスター林から語られた通りだ。

我々は、ただ、心のまま、湧き出すように、よけいなことをやった。そうして祝ったのだ、こよみの余力であるうるう日を。

4年後帰ってきます。またみんなで祝いましょう。

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