特集 2025年5月10日

沖縄県民の常識?“締めのステーキ” を初めてやってみる

沖縄でまことしやかに伝えられている「沖縄県民は飲み会の締めにステーキを食べる」という噂。一般的に締めといえばラーメンだと思うのだが、ステーキだとどんな感じなのだろう。試してみようじゃないか。

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“締めのステーキ”という都市伝説

「沖縄県民は飲み会の締めにステーキを食べる」…そんな話を初めて聞いたのは某テレビ番組でだったと思う。その時は「食べた事ないけどなぁ」と思っていたのだが、いつのまにかそれが「沖縄県民あるある」みたいな事になっていてちょっとビックリしたものである。

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今回改めてXでアンケートを実施してみたところ「飲み会の締めにステーキを食べる」と答えた沖縄県民は20.4%。もちろんユーザーの偏りはあるものの、決してみんながそうするというわけではなさそうだ。ただ、

・某テレビ番組以前からお酒の締めにステーキを食べることはあった
・夜遅くなると開いているお店がステーキハウスくらいだったから
・全県的にあるわけではなく、那覇あたりのことではないか

などのコメントが付いており、これは完全に都市伝説というわけでもなく、那覇など一部の地域で存在していた習慣が「沖縄県民は」というデカい主語に置き換わったものなのではないかと思い至るなどした。

まあ、噂の真偽はさておいて。我々DEEokinawa編集部のメンバーはいずれも沖縄県外出身で、沖縄に住んでもう20年くらいになるというのに未だに飲み会の締めのステーキというものを食べたことがない。よし、それならやってみようじゃないか。

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締めステーキの前哨戦。まずは居酒屋へ

というわけで集まったのは那覇市の繁華街にある居酒屋。若い頃はけっこう頻繁に飲みに行ったりしていたけど、最近はみんななかなか飲み歩く機会も少なくなったので、ギラギラと賑やかな世界にちょっと緊張してしまう。

このあとステーキを食べることが分かっているので、ナスの煮浸しや海ぶどうなどヘルシーなメニューを選びがち

とりあえずお店のセンベロシステムに則って、それぞれおつまみ1品とドリンク3杯を注文。

それぞれセンベロをクリアして、時間は23時前。楽しくなってきたけど、わりとお腹はいっぱいである。あと眠い。果たして締めステーキは入るのだろうか。

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いよいよ初めての締めステーキに挑む

居酒屋から出てあたりを見回すと、那覇市内でもかなり賑わっている繁華街とあってステーキ屋も夜遅くまで営業しており、中には明け方まで開いている店もある。

もともとは戦後、沖縄に駐留していたアメリカ兵相手にお店を開けていた影響らしいが、ステーキ屋が深夜までやっているというのは沖縄ならではなのではないだろうか。

居酒屋を出て十数メートルの範囲内に3軒のステーキ屋が。

それぞれのメニューや価格帯をひととおりチェックした後、今回は1955年創業のステーキハウスの老舗チェーン「ステーキハウス88Jr.松山店」に入ってみることに。

かなり攻めた営業時間に“締めステーキ”の息吹を感じる。

深夜23時を過ぎて入ったのに、座席は既に6〜7割ほど埋まっておりちょっとビックリしてしまった。締めかどうかは分からないが、みんなおいしそうにステーキを頬張っている。客層は地元らしき若者グループを中心に、中年の男性客もけっこう多い。

ステーキといえば「特別な日のちょっとリッチなご馳走」的なイメージがあったのだが、沖縄では昔からなかりリーズナブルなお値段で提供されており(流通経路だったり関税だったりに違いがあったらしい)、「マック行く?」ぐらいのノリで気軽にステーキ屋に行っている気がする。

そして沖縄のステーキは、脂の少ない赤身肉がメインで、ステーキソースやニンニクを付けて食べるのが一般的。ステーキに対するスタンスは本土と沖縄ではけっこう違うのかもしれない。

居酒屋を出たときはお腹いっぱいだったのに、店内に入るとステーキが焼けるいい香りがしていて「あ、ステーキいけるかも」となった。人間の食欲というものは恐ろしい。

今回注文したのは、看板メニューの「Jrステーキ」。グラム数が選べるので、100g(1,000円)と150g(1,380円)で注文。100gから選べるのはありがたい!“締め”なのに何千円もするのであれば流石に躊躇してしまうが、このくらいの価格帯であれば気にならない。

ステーキを注文するとライス、サラダ、スープがセルフサービスでおかわり自由でついてくる。嬉しいサービスだが、今はそこまで嬉しくない。でもサラダとスープはとってみた。

このチキンクリームスープがちょっと驚くほどおいしくて、思わず箸(スプーン)が進んでしまった。ちなみにこのクリームスープの他に、牛肉の切れ端を使った牛汁もあった。

注文してしばらくすると、ジュウジュウという音とともにステーキが運ばれてきた。ついに締めステーキとの初対面!

目の前に鉄板が置かれると、一気にステーキを食べるモードに。脳内で『孤独のグルメ』の五郎さん無双モードの音楽が流れ出す。

スルスルと胃に吸い込まれていくステーキ。

沖縄のステーキ屋ではだいたいどの店もテーブルにいろいろな種類のソースが置かれており、店のオリジナルソースを試したりワサビと醤油でさっぱり食べたりと味変しながら食べる楽しみがある。

あっという間に完食。初めての“締めステーキ”を完遂した。
100gや200gなら、食べた後もそんなに胃が重いという感じもなく、最後までおいしく頂くことができた。

深夜に食べるなら、脂たっぷりのラーメンよりも赤身ステーキのほうが消化しやすくどちらかというと体に負担は少ないのかもしれない。


締めステーキを食べて気づいたこと

合計金額がゾロ目でちょっとうれしい。

というわけで、沖縄在住20年超にして初めての“締めのステーキ”を体験してきた。

「ありっちゃありだけど、締めるなら圧倒的にステーキよりもラーメン」
「100gが選べるなら、締めはラーメンよりもステーキを選ぶかも」
「べろべろに酔っている状態なら食べられないと思ったけど、逆にわけがわらなくて食べてしまうのかも」

感想はそれぞれ違うものだったが、深夜のステーキハウス店内の様子を見ていると、やはり“締め”としてステーキを楽しむ層は一定数いるのだなあと感じた。そして深夜にも関わらず思ったよりも活気があり、なんだか独特な世界があることに驚いた。これも沖縄のひとつの文化と言えるのかもしれない。

「ライスはやめといてよかった!」

ちなみに翌朝は胃もたれなどもなく、ちゃんと空腹で目覚めることができた。あの深夜のステーキは就寝中にしっかりと消化された様子で安堵した。

沖縄の“締めのステーキ”のように、もしかしたら他の地域でもその土地ならではの“締めの◯◯”があるのかもしれない。旅先などでそれに出会ったときは躊躇せず挑めるよう、これからも健康な胃腸を維持しようと改めて思うなどした。

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
飲んだあとにステーキなんか食べられるかしら、と心配してましたが赤身ステーキなので食べられましたね。若干テンションが低い気がしますが…。
23時に営業しているステーキ屋が3軒もあるところが、やっぱり関東とは違いますね。
ステーキを食べるとわかっていると、飲み会で注文するものがヘルシーになるというポジティブポイントも発見できました。(橋田)

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