家そば飲みの最適解かも?
家で乾麺のおそばをゆで、お昼に食べることは昔からよくありました。が、先日、晩酌時にちょうどいいおつまみがなく、何気なくおそばを1束ゆでて、それをつまみに飲んでみたら、なんだかすごく良かったんですよね。
もちろん、休日の昼におそばとともにビールを1杯、なんてことはこれまでも普通にやっていました。けれども夜、ひとり静かにそばと対峙しつつ、じっくりと飲む。その行為にここのところハマってしまっていて。
また、そんななかで気がついたことがあります。僕があくまで“家”でそば飲みをする際にいちばんテンションが上がるのが、個人的に「更科(さらしな)そば」だということ。

更科そばは、そばの実を挽く際に最初に出てくる胚乳の中心部分だけを集めた「一番粉」が原料の、細めで色白のそば。「砂場」「藪」と並んで、江戸そばの御三家と呼ばれています。色のついた甘皮が混ざって太めの「田舎そば」などとは対局の存在にあると言えるかもしれません。
で、僕が家更科飲みに行き着いたのも、自己分析してみるにその特性ゆえ。そもそも、強いそばの風味が味わいたいならば、きちんとおそば屋さんに行って食べるのがいちばんですよね。考えてみればもともと、乾麺のそばにそこまでを求めていなかった。あ、もちろん世の中には、僕の知らない美味しい乾麺のおそばもたくさんあるとは思いますが。
ただその点、更科そばは、そばの風味よりも、心地よい食感やのどごしを重視する傾向にあります。家でゆでてもお店っぽい雰囲気が、それなりに出せるジャンルと言えるのではないでしょうか。

マイ家更科の作法
というわけで、僕が家更科飲みでもっとも重視しているのは、雰囲気。味よりもむしろ雰囲気重視。
なので、ふだんはゆでた麺を流水で洗って締め、ざるのままどかっと食卓に持ってきてしまうことが多いけれども、ここはきちんとお皿に盛りつける。そのことでまずわくわく感が数倍になります(近いうちにきっと、そばざるも買ってしまうことでしょう)。
また、薬味もきちんと用意するのがとても大切で、特に刻みねぎはぜひともあってほしいところ。刻み海苔もあるとさらに気分が上がる。当然わさびも。さすがに本わさびを常備しておいておろしたてを、とまではいかなくても、スーパーの棚のなかでなるべくこだわってるっぽいやつを選ぶだけで、上がります。お安めのチューブわさびとは数百円の差はありますが、すぐに食べきってしまうものでもないし。

後半の味変用に、柚子胡椒などを添えてみるのも楽しい。
それからもうひとつこだわっておきたいのが、酒器。

合わせるお酒がなにかにもよりますが、個人的にはそばがつまみなら日本酒を飲むことが多く、ちょっとめんどうでも、とっくりとおちょこなど用意してみると、これまた気持ちが上がりまくります。よく飲んでいるふだん使いのお酒でも、とっくりに移すだけで1合500円くらいの味に感じられるし。
ちなみにつゆの定番はこちら。

ふだん家で料理やそうめんを食べるのに使っているのは、キッコーマンの「濃いだし本つゆ」なのですが、家更科のときはこれを使います。シンプルに、すごくお店っぽい味がするから。
ここまで準備ができたらあとはもう、少しずつ大切にそばをすすってはお酒をちびり。またとっくりからおちょこにお酒を注ぎ、次はそばにほんの少しわさびをのせてみようかな。なんて、自分の世界に浸りながら楽しむだけ。誰にもじゃまされない最高の時間がそこにあります。
