特集 2025年5月9日

時間の旅に出る! 古いガイドブックの魅力

ガイドブックというものがある。どこか知らない土地に旅に出る時、ガイドブックは我々の心強い相棒となる。行くべき場所、食べるべき食事、泊まるべき宿などが記されている。それを見ながら我々は、まだ知らぬ土地への期待を心で育てる。

毎年新しいガイドブックが出版される。もちろんそれは当たり前のことだし、今を楽しむにはなくてはならない存在だ。しかし、古いガイドブックだって存在する。今回はそんな古いガイドブックを紹介したいと思う。

1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(ライターwiki)

前の記事:成田山新勝寺の歴代の本堂を巡る

> 個人サイト >note

古いガイドブックの魅力

本屋に足を運ぶ。本屋の大きさに左右されるけれど、それでも数多くの本が棚に並んでいる。その中からガイドブックのコーナーに向かう。日本は、世界は広いんだと実感する。数多くのガイドブックが並んでいるのだ。

002.jpg
るるぶとかまっぷるとかね!

最新のガイドブックが毎年出版される。近所の商店街を思い浮かべてみても、去年オープンしたお店がもうなくなっていることもある。街は日々形を変えていくので、情報を提供するガイドブックは毎年出す必要があるのだ。

003.jpg
古いガイドブックを集めています!

そんなことは私も強く知っているけれど、古書店に行って古いガイドブックを見つけると買ってしまう。なぜなのだろう、と考える。きっと今は行けばわかるけれど、前の時代は訪れたとて知ることができないからだと思う。

004.jpg
古いよね!

そんなわけで私の家には、今では価値があるのか否かわからない古いガイドブックが大量に並んでいる。今回はそんなガイドブックを紹介したいと思う。読んでいるだけでも面白いのだ。昔の情報と時代の香りをいっぱいに吸い込んだ本だから。

005.jpg
本棚を占拠しています!

 

いったん広告です

エアリアガイド

まずは昭文社が出している「エアリアガイド」。今は出版されているのかわからないけれど、国内も国外も出版されており、割と容易に手に入るシリーズだ。私の手元にあるもので一番古いのは「1」と記されている「北海道」になる。

006.jpg
エアリアガイド1「北海道」

最初に出版されたのは1981年のようだ。ただ私の手元にあるのは版を重ねたのか、リニューアルされたもので1990年に出版されたものになっている。なんにせよ、このシリーズの魅力はフルカラーで写真が豊富で、地図もあることだ。

007.jpg
エアリアガイド34「博多」
008.jpg
エアリアガイド33「四国」

地域で切って紹介しているものが多い。エアリアガイド34「博多」が出版されたのは1989年。読んでみると、小倉のモノレールがまだJR小倉駅とつながっていないことが確認できる。当時の私は4歳でその辺りに住んでいた。懐かしく感じる。

009.jpg
エアリアガイド43「東京遊びカタログ」
010.jpg
エアリアガイド49「東京から1泊2日ドライブ旅」

地域だけではなく、旅の提案をしてくれているものもある。エアリアガイド49「東京から1泊2日ドライブ旅」は1988年に出版されたもので「甲子・那須高原」の高原ドライブの提案では「ボルケーノハイウェイ」が紹介されている。今は那須高原線と呼ばれているはずだ。

011.jpg
エアリアガイド109「香港」
012.jpg
エアリアガイド123「西ドイツ」
013.jpg
エアリアガイド166「ソ連」

海外も豊富に出版されている。上記の3冊は今とは違う国の状況が書かれている。香港は返還前の情報で、ソ連はロシアになる前。西ドイツは東西に分かれていた時代のものだ。これを読んでから行けば、当時とは違う空気を吸えるはずだ。実際、私は海外に行く前には必ず古いガイドブックも読むようにしている。

014.jpg
こういうこともある

上記はどちらも「エアリアガイド158」なのだけれど、タイトルが異なる。内容も大きく異なる。たとえばブルガリアのページを読む。「東欧の旅」は1990年に出版されており、読んでみると首都・ソフィアのレーニン像が載っている。

015.jpg
「東欧の旅」は1990年

一方で「東ヨーロッパの旅」は1992年に出版され、先のレーニン像の話は出てこない。1990年辺りはブルガリアの共産党独裁体制が崩れたりといろいろあった時期。そのために同じ「エアリアガイド158」でも全く異なるガイドブックになっているわけだ。国の動きがわかるのも古いガイドブックの魅力だ。

016.jpg
「東ヨーロッパの旅」は1992年

 

いったん広告です

地球の歩き方

次は「地球の歩き方」だ。海外に行く人は絶対に買うのではないだろうか。私も海外に行く時はおそらく一度の例外もなく買って持って行っている。1979年に創刊され、今も毎年出版されている。

017.jpg
ご存知、地球の歩き方

今は2025年で1979年に創刊なので、当然古い地球の歩き方も存在する。古い地球の歩き方はカラーではないし、そもそも写真も少ない。その分、文章量が多くて当時の様子を脳内でイメージする必要がある。もちろん古い本としての魅力は詰まっている。

018.jpg
わかりますか、この感じ!

私の手元にある一番古いものが1988年に出版された「南米」だ。上記がそうなのだけれど、緑色をしているのだ。中は緑ではないけれど。また紙質の問題なのか、物理的に当時の匂いを存分に蓄えている。読んでいると懐かしく感じる。

019.jpg
1988年、南米
020.jpg
中は普通の色です!(「地球の歩き方南米」より引用)

いつまでこの紙質だったのかわからない。1992年に出版された「ベルリンとドイツ(東)」ではまだその色をしていた。ただ1992年になるとカラー写真が増えている。そのような変化も古いガイドブックの楽しみのひとつではないかと思う。

021.jpg
ベルリンとドイツ(東)
022.jpg
カラー写真が多くなっています!(「ベルリンとドイツ(東)」より引用)

数年前にドバイに行った時に、訪れる1年前に出版された地球の歩き方を持って出かけた。行ってみると、1年しか違わないのにまるで別の街のようになっていた。開発のスピードが速いのだ。実は古すぎなくても国によっては時間の旅が可能だ。

023.jpg
ソ連

ソ連時代の地球の歩き方も持っている。1989年に出版されたものだ。当時は1880円で売られていた。ただ私はこれを数年前に買ったのだけれど、確か2、3万円した。古いガイドブックは破棄される運命にあるけれど、価値に気づいている人もいるようで、生き延びたものは驚くほど高い時もある。清水の舞台から飛び降りるつもりで買った。

024.jpg
この3年後、ソ連ではなくなる
025.jpg
返還前の香港の地球の歩き方もあります!

 

⏩ まだまだあります

▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

katteyokatta_20250314.jpg

> デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ