広告企画 2024年8月8日

指がつる!強制参加のハードすぎる連続陸上競技ゲーム~メタバースの端っこ探訪

メタバース上にあるフリーダムなコンテンツを紹介するコーナー。

ネットの黎明期にテキストサイトが流行ったように、いまメタバースには野放図かつ初期衝動にあふれた創作物がたくさんあるという。

このシリーズでは、有識者をナビゲーターに迎えて、そんな「メタバースの端っこ」を体験しに行きます。

インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

前の記事:ライター江ノ島茂道さんと窪田鳳花さんトーク

> 個人サイト デイリーポータルZ

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ナビゲーター
田中 創一朗

メタバースサービス「Roblox」に詳しい有識者。GeekOut株式会社 代表取締役。デイリーポータルZとは長い付き合い。
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伊藤 はる香
GeekOut株式会社 PR担当。Robloxのアバターカスタマイズにハマり、けっこう課金している。
 
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体験する人
安藤 昌教

デイリーポータルZライター。ゲームはずっと初心者。暇さえあれば外を走っています
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筆者
石川 大樹

デイリーポータルZ編集。インディーゲームが好き。ネットのジャンクコンテンツが好き。
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左、安藤。右、田中さん。安藤はジョギングやトレイルラン(山の中を走る)が趣味。そんな完全リアル志向の安藤さんを田中さんがバーチャルの世界にいざないます。

 

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子供にめちゃくちゃ人気のメタバース

メタバースとは、ネット上のバーチャルな三次元空間のこと。数あるメタバースの中から、このシリーズではRobloxというサービスを紹介していく。

Robloxは「ゲーム版YouTube」とも言われる。ユーザー数が3億人くらいいて、メインのユーザー層は13歳前後。たくさんのエクスペリエンス(ゲームやチャット空間)があり、それらのうち大半はユーザーが作ったものだ。

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強制参加・無限陸上競技ゲーム

田中:今回紹介するのは、トラック&フィールド:インフィニティ。安藤さんといえば、走る。走るゲームです。

安藤:大丈夫かな。家で車のレースゲームやってるけど、俺めちゃめちゃ下手なんですよ。

田中:大丈夫です。今日は足で走ってもらいます。

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ログインしたら陸上競技場だった
※都合により安藤さんは石川のアバター(玉子)を使っています

競技場ではすでに短距離走のレースが始まっていて、次のレースから参加可能なようだ。出番待ちの間に操作方法の確認をする。

 

田中:このゲームはいつもと操作が違うんです。方向転換がマウスで、移動はQキーとEキーを交互に連打です。右足と左足を交互に出す感じで。

安藤:(Q、E、Q、E、と押して)こう?

田中:うまい、うまい。

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実際にQキーとEキーを交互に高速連打してみてもらうとわかりますが、すげえ疲れます。

そうこうしているうちに前の競技が終わり、安藤さんの参加レースが始まる。

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出番がくると自動でスタート位置につく。位置について~
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よーい、スタート!(QEQEQEQEQEQEQEQEQEQ)

安藤:あ~、指がつる…!

田中:がんばってください!

安藤:両手でやっちゃダメなの?

伊藤:マウスで方向転換だから、QとEに両手使っちゃうと曲がれないんです

安藤:そうか…!

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指をつりそうになりながらなんとかゴール!
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10位だった(13人中)

という感じでシンプルな陸上ゲームなのだが、他にもハードルやリレーなど競技がたくさんあって、いろんなゲームを連続して次々遊ぶことができる。

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たとえば砲丸投げ。メーターを見ながらタイミングよくマウスボタンを押せばよいのだが…。田中「むっず」、伊藤「あまりにも無理」
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こちらは走り幅跳び

ただこの「連続して次々遊ぶことができる」が曲者。競技の終了後はたった5秒のカウントダウンをはさんで、勝手に次の競技が始まるのだ。連打に疲れた指に与えられる休息は、あまりに短い。

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長距離競技でリアルスタミナの限界を知る

みんなでワーワー言いながらいくつかの競技をこなしたあと、それは起こった。

安藤:なんか出てきましたよ。

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長距離走は時間がかかるのでスキップできるらしい

田中:指も限界だし、ここは飛ばしましょうか

安藤:そうですね。(スキップを押す)

伊藤:……800m走始まりましたね。

田中:あー多数決なんだ。いまゲームにいる人で多数決をとった結果、800m走やることになったみたいです(笑)

安藤:そういうことか!

石川:安藤さん、トレイルランやってるから長距離走はお手の物じゃないですか。

 

限界の指を抱える3人を顧みず、非情にもゲームはスタート。

~そして3分後~

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先頭集団からどんどん差をつけられる安藤

安藤:トラックの悪いところが出てるよ!景色変わらないしどこまで行けばいいのかわかんない!

田中:指に乳酸が…

安藤:あ~、あ~~~(ずっと呻いてる)

田中:気づいたんですけど、右手の方が連打速いから、クロススタイルで行くといいですよ

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田中さんが編み出した、腕をクロスして左手でマウスを持ち右手でQEを叩くスタイル

ちなみに戦略要素として、スタミナの概念がある。速く走るとスタミナを消費し、ゆっくり走ると少しずつ回復する。
とはいえ圧倒的に指のリアルスタミナの方がシビアであるが。

 

安藤:もう無理無理無理無理。

田中:あ、もうゴールですよ!

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9位:安藤さん、10位:田中さん、11位:伊藤さん(11人中)


あんなにヒーヒー言いながら走ったものの、結果は最後から3位を独占。
いやしかし3人ともがんばった。順位よりもがんばって完走したことに価値があるのである。そうやって3人でお互いを慰めあった次の瞬間…

 

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次の競技が決まった

石川:ははははは。1600mですよ。

安藤:えっ!?倍になってるじゃん!!!

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しかも5秒後に始まる。

安藤:休憩短っ!!!おかしいでしょ!

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もう全然限界な3人

このあと「コントローラーのユーザーは操作が簡単だからずるいんじゃないか」(やったことないのに)、スマホも操作方法が有利なんじゃないか(やったことないのに)、など憶測だけで他のユーザーを卑怯呼ばわりしながら、4分半かけてなんとか3人は1600mを走り切った。

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伊藤さん7位、安藤さん8位、田中さん10位(10人中)

「え、がんばったじゃん」「ちょっと良いんじゃない!?」と讃えあう3人だったが、9位に知らない人が一人混じっただけで、ほぼ最下位である。

 

安藤:これずっとできるんですね。

田中:やばくないですか。この永久に休ませてくれない感じ。

安藤:しかも勝手に始まるから。強制参加の感じが運動会っぽっくてよかった。

石川:インターバル5秒しかないから。

安藤:やってるうちにちょっとコツがつかめてくるのはおもしろかった。

 

余談だが、この単純ながら過酷な操作感のためか厳しいチートツール規制が敷かれているようで、プレイ中に何度もほかのプレーヤーがBAN(強制退場)させられていた。治安が悪い。

治安の悪い世界を二本の指だけで駆け抜け、上位にのし上がっていく。そう考えるとかなり世紀末的な、そそられる世界観であると言えなくもないゲームだと思った。そのかわり指の疲労も世紀末になるが。

 

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カラオケのエッセンス

伊藤:つぎは、最近わたしが他のメンバーにすすめられたのを一緒にやってみたいと思います。Karaokeです。

安藤:カラオケ?

伊藤:っていう名前ですけど、これはカラオケと言っていいのかな……?とにかくやってみましょう。

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ログインすると妙にリッチなテクスチャのカラオケボックスの廊下に出る


安藤:人間になった。(※安藤のアバターはサメ)

田中:このワールドはアバターが変わるんですよ。

伊藤:部屋に入ると、カラオケボックス的な空間があります。お金(時間経過で増えるゲーム内通貨)で曲を買うとその中に音源が流せます。それだけ。
ゲーム性とかは全然ないんですけど、深夜のカラオケのあの腐った感じを味わえるっていう。

石川:腐った感じ(笑)

伊藤:飲み会後の深夜カラオケの、盛り上がり切った後の無意味な感じです。

石川:ははは。

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一人マイクを持ってノリノリで踊る田中さん、それをスンッと座って眺める3人。現実のカラオケでこういう感じ、ある。

石川:PCのマイクを使って歌えるんですか?

伊藤:実際にカラオケの機能はないんです。雰囲気だけ(笑)

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そうこうしているうちに知らん人がいっぱい乱入してきて踊り始めた

安藤:えー、なにこれ?この人たちは勝手に入ってきたってこと?

田中:そう。入ってきちゃうんです。

安藤:自由!

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めちゃくちゃ盛り上がってきた

伊藤:海外でもけっこうカラオケが流行ってるみたいですけど、地域によっては店がなかなかなかったりするから。こういうところにくるのかもしれない。

安藤:どうやって踊るの?

田中:右下のボタン押すと踊れますよ

安藤:できた。楽しい…!

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ダンスのボタンがたくさんあって(右下)、押すと踊れる。一つ一つアクションしなくてもボタンを押すだけで勝手にずっと踊ってくれる。楽しい。

ちょっとびっくりしたのが、踊るといってもただボタンを一回押すだけなんだけど、自分が作ってさっきまで操作していたアバターが急に妙にいい動きで踊り始めるのはちょっとした爽快感がある。

 

石川:キビキビ踊れるから気持ちいいですね。

田中:カラオケ本来の楽しみってこういうことなのかなって思いますね。

石川:そうかな!?!?

 

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乱入してみよう

田中:じゃあ僕らもほかの部屋に乱入しますか。

安藤:いきますか!

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この部屋に行ってみる

安藤:うわ、みんな踊ってる!これどのダンス?

石川:「パロットパーティー」ですね。

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全員の動きがシンクロした

田中:言葉を交わさずにシンクロしましたね

安藤:ははは、楽しい!これすごい、なんで楽しいんだろう(笑)

 

これが安藤さんが言うとおり、ものすごく楽しいのだ。なんで楽しいのかはよくわからない。でも自分のアバターがみんなと同じ動きでキビキビ踊っているのを見ると、何ともいえない楽しさが沸きあがってくるのだ。漢字2文字で言うと「愉快」っていう感じ。

 

石川:わはははは(笑いが止まらなくなっている)
めちゃくちゃおもしろい!なんで面白いんだろう。こういう種類の面白さあるんだ!?

安藤:なんだろうこれ。知らん人の部屋に勝手に入って踊ってるだけなのに。

石川:一体感すごいですもんね。

安藤:カラオケのゲーム作ろうとしてさ、ここの面白さを抜き出そうと思わないよね。
普通だったら歌うたわせるじゃん。すごいよ。

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画面から目が離せなくなる安藤さん
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そう言ってる間もずっと踊ってる

伊藤:照明のライティングが絶妙なんですよね。

安藤:ライティングもいいし、ダンスの動きもいいし……でもなんでこんなに没入感あるんだろうな。
オールして朝方騒いでる感じするもんな~。

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味を占めていろんな部屋に乱入しに行く安藤
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こうしてRobloxの夜は更けていく…(実際は午後16時)

新たな扉が開いた

安藤:この快感、知るとやばいですね…。

田中:扉開いちゃいました?

安藤:開いちゃいましたね。すごいいまカラオケ行って帰ってきた気分になってるもん(笑)

田中:バーで飲んで外走ってカラオケ行って…。

石川:順番がおかしいな(笑)

安藤:陸上がハードすぎるんですよ。

田中:飲んでバッティングセンター行ってカラオケ行って始発で帰る、みたいな感じかな。

安藤:近い。それがちゃんとぜんぶ体験として残ってる感じがします。ゲームやったっていう感じじゃなくて、ちゃんと酒飲んでカラオケ行った体験として。体が疲れてないだけ。

田中:こういうメタバースもありますということで(笑)

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