田中 創一朗
メタバースサービス「Roblox」に詳しい有識者。GeekOut株式会社 代表取締役。デイリーポータルZとは長い付き合い。
GeekOut株式会社 PR担当。Robloxのアバターカスタマイズにハマり、けっこう課金している。
古賀 及子
デイリーポータルZライター。エッセイなども書いて糊口をしのぐ。一生ファミコンの「ワリオの森」をやっている。テトリスと麻雀も好きだが弱い。
石川 大樹
デイリーポータルZ編集。インディーゲームが好き。ネットのジャンクコンテンツが好き。
子供にめちゃくちゃ人気のメタバース
メタバースとは、ネット上のバーチャルな三次元空間のこと。数あるメタバースの中から、このシリーズではRobloxというサービスを紹介していく。
Robloxは「ゲーム版YouTube」とも言われる。ユーザー数が3億人くらいいて、メインのユーザー層は13歳前後。たくさんのエクスペリエンス(ゲームやチャット空間)があり、それらのうち大半はユーザーが作ったものだ。
今回はその中から、古賀さんにピッタリのゲームを体験してもらいます。
古賀さん大好き、投資のゲームです
田中:今日は投資やりましょうか。
古賀:えっ、やりたいです!絶対にやりたいです!億万長者になりたい。
※古賀さんは趣味が投資。以前「EDMとFX」という同人誌を作ったほど。
田中:ゲーム名はPancake Empire Tower Tycoonです。フィデリティ・インベストメンツという証券会社が、子供たちに楽しく投資を学んでもらうために作ったゲーム。
古賀:かわいい!
少し進むと、このゲームで重要な3つの場所が見えてくる。
- ①パンケーキタワー
- ②フライパン
- ③クリーチャー(カメやフクロウ、ドラゴン)
投資ゲームらしく、プレーヤーは財産を持っている。ヤムヤムと呼ばれる玉と、お金の2種類だ。
※本当は3種類あるけど説明が長くなるので割愛
ゲームの目的としては、それらの財産をうまく増やしたり消費したりしながら、パンケーキタワーを高くしていくこと。
田中:まずフライパンのところに行って、パンケーキを買ってください。
田中:買ったパンケーキはパンケーキタワーに並びます。するとそこから一定時間おきにヤムヤムが出てきます。
古賀:ヤムヤムってこのボールみたいなやつ?
田中:そうです。それを集めてください。そして、それを持って右側のドラゴンとか(クリーチャー)のところに行くと…
田中:ヤムヤムをお金に換えてくれます。そのお金でまたパンケーキを焼いて、タワーでヤムヤムを集めて、お金に換えて…の繰り返し。
古賀:クリーチャーの上の数字はどういうことなんですか?
田中:換金するときのレートです。リスクが大きい奴もいれば、ローリスクローリターンの奴もいるんです。
古賀:なるほど!それは絶対ハイリスクハイリターンの方がいいですよね!
田中:8割の確率で0.6倍ってだいぶリスキーですよ。
古賀:しかし我々はリスクを取って生きていくしかなかろうよ。
石川:それ完全に古賀さん個人の価値観ですよね?「我々」って言ったけど。
田中:じゃあ僕もハイリスクドラゴン行ってみますね。いま369ヤムヤムあるのが……
田中:739になりましたよ!
古賀:すごい!いきなり跳ねた。そういうの良いっすね!欲しいっすね!
続々出てくる異常なパンケーキ
田中さんの景気のいい換金結果に一気にテンションを上げた古賀さんだったが、プレイを続けるうちにだんだんこのゲームの果てしなさに気づく。
古賀:買えば買うほどパンケーキの値段がどんどん高くなっていくんだね……。
石川:ヤムヤム集めて換金してパンケーキ焼いてヤムヤム集めて……単純労働にもほどがありますね。
伊藤:パンケーキをアップグレードすると一気に効率が上がりますよ。タワーの横にボタンがあるので押してください。
古賀:パンケーキがレベル2になった!
伊藤:このボタンを押すと、パンケーキ3つを上のレベルのパンケーキ1つに変えてくれるんです。レベルが上がるとたくさんヤムヤムを出してくれます。
田中:お金でパンケーキを作りまくって、どんどんパンケーキのレベルを上げていくんです。投資の前にインカムが必要なんで。
石川:インカム(笑)
古賀:カニ、かわいい~!めっちゃかわいい。私も早くカニ欲しい!
石川:目がつぶら。
田中:カニはふつうのパンケーキの256倍のヤムヤムを出します。
石川:かわいいのにスペックがえぐい(笑)
田中:こうなると財産は増える一方ですね。
古賀:全損とか追証とかないんだ。
※全損とか追証とか…株価の急落や為替の大きな変動で投資家の証拠金(担保として預けたお金)がすべて失われるのが全損。さらに追加で保証金(追証)を求められる状態が追証。
田中:これは投資教育用のゲームなんですけど、これで投資が学べるかっていうと……現実の投資もドラゴンに喩えてもらわないとわからなくなりそうですね。「それはヤムヤムでいうとどういうことなんですか?」っていう(笑)。
古賀:グロスで預けて運用してもらうパターンのイメージなのかな。投資信託の良さは感じますね。3つ(のクリーチャー)から銘柄選べばいいだけだから。
田中:個別株じゃこうはいかないですからね。
カネのためのボス戦
そんな感じでひたすらパンケーキを焼いてお金を貯めるゲームかと思いきや、アクション要素もある。
田中:ワッフルボスが攻めてくるから、ワッフルタワーを登って倒しにいくという要素があります。
古賀:急だね(笑)
古賀:(攻略している田中さんに)がんばってください!
※古賀さんは3Dゲームに慣れてなさすぎて早々にアクションはあきらめました
古賀:めっちゃカネが舞ってる(笑)
田中:儲かりましたよ。ボスを倒して一攫千金、的な話みたいですね。
石川:即物的!世界を救うとかじゃないんだ。
古賀:資本主義すぎるよ!
投資信託が買いたくなる
伊藤:タワーをどんどん育てていくとこうなります。
田中:タワマンが建ってる(笑)
古賀:すごい!!
田中:億り人だ。もうクリアですよこの人生。
古賀:FIREだね。完全に。
石川:証券会社が作った教育用のゲームですよね?こんなに儲かっていいのかな。
古賀:やればやるほど儲かっていくからね(笑)。実際は損することもあるもんね。溶かしてなんぼですよ投資ってのはね。
石川:その投資観!
古賀:でもさ、やりながらフィデリティ(このゲームを作った会社)の投資信託のことちょっと調べちゃった。こんなに儲かるならと思って。
石川:古賀さんへの投資教育が成功しましたね(笑)
この企画でプレイするゲームを選んでもらうにあたって、事前に田中さんに古賀さんの好きなものを伝えていたのだけど、そこに「投資」と書きつつ、まさかそんなゲームないだろと思っていた。
なのにこんな大手の証券会社が作った投資ゲームがあるとは驚きである。ほんとなんでもあるな、メタバース。
そんな広大なメタバース世界の探求は、次回も続きます。
メタバースの端っこ探訪
メタバースサービス「Roblox」にある変わったワールドを訪ねるシリーズです。
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